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「シングル・タスク」を心がけよう。仕事のやる気を「仕組み化」するための方法

「シングル・タスク」を心がけよう。仕事のやる気を「仕組み化」するための方法
Photo: 印南敦史

思い通りにいかない人生を変えるために重要なのは「行動の変化」、つまり習慣。そして習慣を変えるためには、大きな決心や努力は不要。毎日の行動を、毎日数分で実践できるような小さなやり方で入れ替えていくだけで、やがて大きな変化を生み出すことができる。

すなわち、それが「ライフハック」なのだと記しているのは、『ライフハック大全———人生と仕事を変える小さな習慣250』(堀 正岳著、KADOKAWA)の著者。ライフハック・ムーブメントにいち早く注目し、ブログ「Lifehacking.jp」を運営してきた人物です。

しかし、そんな実績を持っているからこそ、日本でも仕事術のひとつとして浸透したライフハックについては、ひとつの不満を感じてもいるのだそうです。効率方生産性を追い求めるあまり、ライフハックが本来的に持っていた「人生をもっとラクにしよう」「もっと楽しくしよう」というメッセージがいつしか薄れてしまったというのです。

そこで本書では、2004年の誕生からこれまで、私がウェブから収集し、書籍を通して学び、ブログで紹介し、自分でも実践してきたライフハックのうち、時間が経っても新鮮さを失わない、最もラクに実践できるものを厳選しました。(「はじめに 『小さな習慣』がここまで人生を変える」より)

きょうはSECTION 03「集中力・ストレス対策『やる気も仕組み化』のなかから、いくつかを抜き出してみたいと思います。

「シングル・タスク」を心がける

多くの仕事を、ジャグリングしながらマルチタスクで高速にこなせるという人がいますが、著者によれば多くの場合、それは「できているつもり」なだけ。2つの仕事やタスクを同時にこなすことはできないというのです。“同時”に最も近づいた状態でも、結局は短い時間にタスクを切り替えながら仕事をしているにすぎないということ。

アメリカ心理学会のとある研究によれば、2つの作業をマルチタスクに切り替えながら行うのと、シングルタスクで1つが終わってからもう片方を行うのでは、どうしてもマルチタスクのほうが遅くなったという報告がされています。そのロスは、シングルタスクに比べておよそ40%というのですから見過ごせません。(110ページより)

そこで重要な意味を持つのが、「一度に行う仕事は、常に1つだけ」をルールにして、いくら忙しいときでもシングルタスクを心がけること。そうするだけで、生産性を高い状態に維持できるわけです。

とはいえ電話待ちをしているときのように、ある仕事をホールドした状態で別の作業をしなければならないこともあるはず。そんなときは、タスクを切り替えるときに最も負担がかかるのだということを念頭に置き、「なんの仕事をホールドしているのか」「どの作業の途中だったか」をふせんに記し、いわば「記憶のセーブデータ」を残しておくといいそうです。(110ページより)

似た仕事は「バッチ処理」を基本にする

電話を取り、書類をつくり、印刷をし、メールに返事をして…と、私たちは一日中、さまざまな作業をこなす必要にかられます。そこで意識しておくとよいのが、似たような作業を「バッチ処理」で行うという手法。

バッチ処理とは初期のコンピュータ用語で、本来はプログラムをカード式のバッチで入力すること。その後、意味が次第に広がって、「同様の作業を一か所に集めること」を指す言葉になったというわけです。

たとえば、書類を作成してはメールの返事をして…という具合で作業をしていると、そのたびに頭や、使っているアプリケーションも切り替えなければなりません。しかしそれよりは比較的似た作業を連続して行うという意識を持ち、メールを5通返事したら、電話を2件こなし…というように作業を進めたほうが能率的。

バッチ処理を上手にこなすには、大きめのふせんを机の上に貼りつけておき、それぞれに「メール」「電話」というように書き、そこにタスクを蓄積しておくといいそうです。そうすれば、「まとめて処理する」ことがスムーズに行えるわけです。(111ページより)

ポモドーロテクニックで、より「長いペース」をつくる

集中時間と休息時間とを繰り返すことで、仕事にペースを生み出す有名な手法として、著者は「ポモドーロテクニック」というタイマーを用いた手法を紹介しています。ポモドーロとは、イタリア語でトマトのこと。提唱者のフランチェスコ・シリロ氏がトマト型のタイマーを使用していたことから、この名がついたわけです。

1. タイマーを25分に設定して作業を開始する

2. タイマーが鳴ったら、3〜5分の休息をとる

3. 4〜5回に一度は、15〜30分の長めの休息をとる

(112ページより)

25分という集中時間の長さ、そして休息時間の長さも目安であり、作業内容によって調整することが重要。しかし、ここで大きな意味を持つのは、数回に一度、長めの休息を入れるという部分。

さらに、「休息にも2種類ある」ことにも意味が。思考の緊張状態をリラックスさせ、次の集中時間に向けて準備するのが短い休息。一方、作業そのものの疲れを取り除くために利用するのが長い休息だというわけです。

たとえば難しいプレゼン資料を作成する際、1回のポモドーロ(25分)の間に2〜3枚のスライドをつくり、そのたびに休息したとします。しかし、いくら短い休息を入れていても、この調子で1日中スライドをつくっていると、次第にスライドづくりの作業自体に疲れを感じるはず。

そこで大切なのは、4〜5回のサイクルに一度は、作業自体から思考を解放してあげること。散歩をしてもいいし、別の作業の準備をするのでもOK。短い集中時間のペースづくりと、より長い時間の作業を可能にするためのペースづくりの2種類を意識することが、ポモドーロテクニックの妙味(みょうみ)だというわけです。(112ページより)

気の進まない仕事は「選択」に置き換える

「どうしても気分が乗らない」「やる気が出てこない」というように、モチベーションが低下してくるときにありがちなのが、頭のなかで「〜ならない」と心理的に繰り返していることだといいます。

・ この仕事はしなければならない

・ これに手をつけないといけない。さもなくば…

(118ページより)

無意識に繰り返しているこのような「脳裏の言葉」は、誰かに任されたのではない自分の仕事であったとしても、「やらされている」という視点がどこかにあるからこそ生まれるもの。しかし、こうしたモチベーションの低下は、その作業を「選択」に置き換えることで、もう一度能動的な状態に戻すことができるそうです。

・私はこの作業をすることを「選択する」

(118ページより)

このように自分に言い聞かせればいいということです。それでもまだモチベーションが戻ってこない場合は、選択が可能なところまで作業を分解するといいのだとか。たとえば「メールにすべて返事をする」ことが選択できないのであれば、「最初のメールに返信する」ことを選択してみればいいという考え方です。

選択を行うことで、無意識のうちに「やらされている」という状態になっていたマインドを、再度「私は」という主体的な状態に戻すことができるわけです。些細なことではありますが、こうした「小さな選択」を繰り返すことによって、より大きなモチベーションを引き出すことが可能になるというのです。(118ページより)

フルパワーで生きるための「睡眠の10-3-2-1ルール」

睡眠こそ、人生を変える小さな習慣のなかで最も重要なものだと言っても過言ではないと著者。毎日の睡眠を無理して1時間減らすことは、年間で365時間を増やすことになるかもしれません。しかし、その毎日の1時間を削ることで、倍にも相当する能率が得られると考えるべきだというのです。

そして、そうした睡眠を確保するための目安として紹介されているのが、ブログ「Early to Rise」でクレイグ・バランタイン氏が紹介していたという「10-3-2-1ルール」。

これは就寝時間を基準にして、

・ 10時間前にはカフェインを控えるようにする

・ 3時間前には食事も控える

・ 2時間前には仕事をするなどの緊張感を高める作業を止める

・ 1時間前には液晶スクリーンを見るのをやめる

というものです。

(125ページより)

カフェインを10時間前から減らすのは、体内でそれが分解されるのに通常6〜9時間(個人差は大きめ)の時間がかかるから。3時間前に食事を辞めるのは、消化によって睡眠が阻害されるのを防ぐため。仕事と液晶スクリーンを見るのをやめるのは、緊張を解き、スクリーンの強い光の影響を避けるため。

理想の睡眠時間は人によって7時間から10時間とまちまちですが、「実際のところ、多くの人は睡眠時間が足りていない」ということを念頭に置き、若干多めの睡眠習慣をつくることを心がけるべきだというのです。(125ページより)


初心者でも実践できるTo Doリストの書き方から、人生を緩やかに変えるためのテクニックまで、幅広い領域を網羅。どこからでも読み始められるよう、それぞれの項目に1つずつのテクニックをまとめた構成になっているため、とても利用しやすいはずです。

小さな習慣によって人生と仕事を変えてみたいのであれば、手にとってみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

印南敦史

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