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時間や体力がなくても大丈夫。家事を効率化する「知的家事」とは?

時間や体力がなくても大丈夫。家事を効率化する「知的家事」とは?
Photo: 印南敦史

実は私は、家事がとても苦手だったのです。毎日、仕事と家事の両立に悩み、つらくて泣いたことも数知れず…。

そんな経験から、いつしか時間や体力がなくても家事がラクにできる、「知的家事」という方法を考えるようになりました。今ではこの方法を、メディアや書籍、講演などのさまざまな場所でお伝えしています。(「はじめに」より)

こう明かすのは、“知的家事プロデューサー”として活躍している『忙しくても家をキレイにしておきたい! 「やらないこと」から決める 世界一シンプルな家事』(本間朝子著、日本実業出版社)の著者。

知的家事とは、ビジネスの考え方を応用してつくった手法だそうです。具体的には、生産性の高い工場の考え方や、仕事における業務改善の手法などを取り入れているというのです。なぜなら、家事も「作業」だから。効率的に行うためには、やるべきことを絞り込み、やらなくていいことは極力やらないという、ビジネスの考え方が役に立つということ。

なお家事を効率的にするには、大きく分けて7つの方法があるのだそうです。

1.発想の転換、2.環境整備、3.便利グッズ、4.最新家電、5.家事シェア、6.家事代行、7.小ワザ。

私はこれを「時短家事の7つの法則」と読んでいます。(中略)家事をうまく回している人は、少し手間や費用がかかっても家事がしやすくなるように、家の環境を整えたり、自分で小ワザや便利グッズの情報を集めたり、家族と積極的に家事シェアをしたりしています。つまり、この7つの法則を無意識のうちに駆使している人なのです。(「はじめに」より)

きょうは基本を知るために、「発想の転換」をテーマにしているという第1章「家事に対する考えを変える」に焦点を当ててみたいと思います。

家事をがんばらない

家事をラクにするテクニックや道具は多種多様なので、それらを試すのもひとつの手段ではあるでしょう。しかし、いちばん大切なのは、早くラクに家事をすることそのものだと著者はいいます。「自分や家族が笑顔でいるための家事」と考えてみれば、気持ちがラクになるということ。つまりはテクニックを駆使するよりも、「無理のないレベルを探し、調整すること」こそが、実はもっとも早くできて効果が高い方法だという考え方です。

家事がつらいと感じている人は、現在の家事のレベルが自分や家族のライフスタイルに合っていないかもしれないということ。そこで、一度見なおしてみるべきだというのです。たとえば、次のように考え方を変えてみるといいとか。

・ おかずを何品も作るのは大変 → 具だくさんの汁物とおかずが1品あれば、栄養バランスは取れるから大丈夫!

・ 毎日洗濯している → 着るものが間に合う程度に、ストックを増やして洗濯回数を減らしちゃおう!

・ ピカピカになるまで掃除 → ストレスを感じなければ多少汚れていてもヨシ!

(18ページより)

自分自身の忙しさに合わせて、家事のレベルを調整してみることが大切だということです。(16ページより)

「やらないこと」を決める

家事の時短、あるいは手間を省く方法を考えるとき、多くの人は、いま自分がやっているのとは違う方法で家事をやろうとするもの。しかし家事を時短するには、「やらなくてもいい家事をやめてしまう」のがもっとも早くて効果的な方法なのだと著者は主張します。

これまでとは違う家事のやり方を取り入れるよりも、まずは自分のやっている家事を俯瞰し、「やらなくてもいいことをやっていないか」「いまやっていることは本当に必要なのか」ということを考えてみる必要があるというのです。たとえば、次のような行動に思い当たることはないでしょうか?

□ 家事をやりたくないとぐずぐずしているうちに時間が経ってしまう

□ 疲れていて家事が思うようにできない

□ 家を片づけるのにいつも時間を取られている

□ 掃除や洗濯のために家中を稼働している

□ しつこい汚れを取るのに時間を取られている

(19ページより)

このような時間をなくすことができれば、それだけで家事の時間を短くすることができるというわけです。人は誰しも、「家事はやらなければならないもの」「家事はこうやるべきもの」といった思い込みを持っているものです。しかし、いまやっている家事を常識と思わず、「その家事が自分にとって必要かどうか」を見極めていくことができると、意外なほど簡単にできるものだというのです。(19ページより)

掃除の時間をつくらない

「いつ、どこを掃除すればいいのかわからない」という人は少なくないはずです。掃除は料理や洗濯にくらべると緊急度が低いだけに、ついあと回しになってしまいがち。そして気がつくと、棚に埃がたまっていたり、洗面台がうっすら汚れていたり…。忙しいと、まとまった時間をなかなか取ることができないわけです。

そこで著者は、まとまった掃除の時間が取れなくても、家をきれいにキープできる方法を紹介しています。そんなことができるはずがないという気もしますが、日々の暮らしで無意識に動いている生活動線のなかに、掃除をうまく組み込んでしまえばそれは可能だというのです。たとえば著者は、掃除の時間を短縮するため、次のような掃除を取り入れているそうです。

1. 夜寝るときに、リビングにあるフロアモップを枕元に持っていく

2. 朝、起きたら寝室のモップを持って、廊下を吹きながら洗面所に移動する(廊下掃除完了)

3. 洗面所で顔を洗ったあと、洗面台においてあるスポンジで洗面ボウルをサッと掃除する(洗面ボウル掃除完了)

4. 顔を拭いたタオルで洗面台と鏡と蛇口をサッと拭く(洗面台と鏡と蛇口の掃除完了)

5. 同じタオルで洗濯機の上をサッと拭いて洗濯カゴに入れる(洗濯機の掃除完了)

6. モップで洗面所の床を拭き、そのままリビングの床を拭きながら進み、モップを元の位置に戻す(洗面所とリビングの床の掃除完了)

(27ページより)

わざわざ掃除時間を取らなくても、「起きてリビングへ向かうとき=掃除時間」になるということ。この流れで、家全体をサッと掃除してしまうことも可能になるということです。(26ページより)

感情で家事をしない

「やらなくちゃ」と頭ではわかってはいても、体が動かないということは決して珍しいことではないでしょう。つまり「洗面台の排水溝の掃除」「使ったあとのコンロの油汚れの掃除」「玄関の靴の片づけ」など、なかなか行動に移せない家事もあるわけです。

しかし、おっくうに感じてしまう家事にサッと取り掛かれる人が、必ずしも意思が強いというわけではないのだと著者。そういう人は、「やりたくない気持ち」をうまく切り替えるのが上手な人だというのです。決して難しいことではなく、ほんのちょっとしたテクニックを使っているかどうかだけのことだというわけです。

そこで著者は、「家事の時間を意識している人はそのくらいいるのか」と問いかけています。やりたくない仕事にサッと取り掛かれる人は、その家事にどれくらいの時間がかかるのかを把握しているというのです。そこで、キッチンタイマーを用意し、火事にかかる時間を計ってみることを提案してもいます。

・ 排水溝の掃除…………30秒

・ コンロの掃除…………40秒

・ 靴を靴箱にしまう……15秒

(31ページより)

こんなふうに計測してみると、頭のなかで思い描いているときは「時間もかかるし、面倒だなぁ」と感じていた家事が、「え、これだけの時間しかかかっていないの?」と思えてくるというのです。あらかじめ時間を計測しておくことで、「やりたくない」と思っても、「でも、たった40秒だよね」と思いなおすことができるということ。(30ページより)


家事はたしかに面倒ですが、著者がいうように考え方を変え、新たな発想に基づいて行動してみれば、そこから先にすべきことが明確になってくるはず。ひとつひとつを具体化していくためにも、本書を参考にして見る価値はありそうです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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