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ランチ特集─ランチを制するものは、ビジネスを制する

サラダで午後の仕事の効率がよくなる!ニューヨークで行列ができる「昼サラダ」とは?

サラダで午後の仕事の効率がよくなる!ニューヨークで行列ができる「昼サラダ」とは?
Photo: 安部かすみ

全米ではサラダ専門店が、ここ5〜10年で一気に急増している。筆者は2年前までビジネスや金融の街、マンハッタンのウォールストリートで働いてきたが、ランチタイムになるとサラダバー(サラダ専門店)に長蛇の列ができているのを毎日目にした。

おもしろいのは女性客が主流というわけではなく、筋肉隆々のビジネスマン年配の人たちも「昼サラダ」を楽しんでいることだ。そして一過性の流行に終わらず、今日もマンハッタン中のサラダバーで大行列が続いているのである。

日本でも大都市圏ではサラダ専門店が少しずつオープンしているが、サラダ=副菜=脇役感がぬぐえない日本では、ランチにサラダをメインとする「昼サラダ」が流行と聞いても理解しづらいかもしれない。「サラダで満たされるの?」「お腹いっぱいになる?」そんな疑問がわくだろう。そこで今回は全米のサラダバー流行の背景を探るとともに、ニューヨークで人気のサラダバーを訪ねた。

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Photo: 安部かすみ

昼サラダ人気の秘密(1)

健康志向の上昇

サラダバーがこの10年で普及した背景には、アメリカ人の健康志向と大きく関係がある。ニューヨークで大人気のサラダバーとして、代表的な専門店「Just Salad(ジャストサラダ)」「Sweetgreen(スウィートグリーン)」「Chopt(チョプト)」のそれぞれの特徴と共に、昼サラダ流行の背景を紹介したい。

2006年ニューヨークで誕生したJust Saladは、創業のきっかけを「リーズナブルで健康的な食べ物の選択肢が少なかったため」としている。また、2007年ワシントンDCで大学生3人がスタートしたSweetgreenも「日々の人々の生活をより健康的にしたかったから」と明言している。

共通しているのは、「健康的な食べ物を届けたい」という思いだ(健康的な食べ物=その土地で栽培された食材で作った季節ごとの生鮮食品)。そしてこれらの企業は単に健康的な食べ物を提供しているだけではなく、健康の大切さを啓蒙し、地元の契約農家とタッグを組むことで、サステイナブル(持続可能)な社会を作ろうとしている。

近年マンハッタンのようなアメリカの大都市圏を中心に、日本のコンビニのようにいたるところにサラダバーがオープンし、健康的な食べ物にアクセスしやすくなった。時間がないときでも手軽にテイクアウトできるというのも普及を助けた一因だろう。

昼サラダ人気の秘密(2)

食感、見た目ともに魅力的

健康的な食べ物が体によいとはいえども、味がお粗末だったり食べる楽しみがなく飽きやすかったりすれば、長続きはしないだろう。その点、近年はやっているサラダバーのサラダは風味、噛み応え、見た目、量などにおいて、よく考えて作られていると思う。味は決して濃くないのに、コンビニなどの淡白なサラダとは比較にならないほど「おいしい」。

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Photo: 安部かすみ

サラダといえども、入っているのは葉物だけではない。肉や魚介類、卵、豆類、チーズ類、ナッツやベリー類、チップスや乾き物、カリカリベーコンなど、栄養のバランスや歯ごたえなどがトータルで考慮され、実にさまざまな食材がミックスされる。そして最後にすべての食材がドレッシングソースによって絡められる。

口に含むと、シャキシャキとした新鮮な野菜の歯ざわり、肉や魚介類の噛みごたえ、チップスや乾き物のカリッした歯ごたえを同時に感じられるだろう。

昼サラダ人気の秘密(3)

バラエティー豊かで飽きない

店ごとに食材やドレッシングがバリエーション豊かなので、極端な話、毎日通っても飽きない工夫がされている。つまり、行くたびに選ぶ楽しさが待っているのだ。

これを家で作るとなると、1種類のサラダを作るだけでも食材をそろえるのが大変だが、サラダバーだと10ドル前後で毎日違うサラダと出会える。

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Photo: 安部かすみ

昼サラダ人気の秘密(4)

量が多く満腹になる

さすがアメリカ、量は多い。だいたい手のひら大かそれ以上の大きさのボウルに詰められるので、アメリカ人でも食べ切れない人がいるぐらいだ。私は食べ切れないときは無理せず小分けにして、夕方小腹がすいたときに食べたりする。

昼サラダ人気の秘密(5)

午後の生産性が上がる

最後にサラダの魅力として、もう一つ付け加えたい。昼サラダを実践して気づいたことがある。それは「サラダを食べたあとは眠くならず、午後の仕事がはかどる」ということだ。

炭水化物のランチ(丼もの、パスタ、うどん、ラーメンなど)を食べ過ぎると、食事後に血糖値が上がり睡魔が襲ってきた、というような経験は誰でもあるだろう(過去記事参照)。しかし昼サラダはどんなに量を食べようと、眠気とは無縁だ。へぇ?と思ったあなた、早速今日から昼サラダを試してみては。きっとその効果を実感するだろう。特に大事な会議や会合などの前はおすすめだ。

日本への上陸が待ち遠しい! ニューヨークで大人気のサラダバー3選

ニューヨーカーに支持されているサラダはどういうものなのか? 今回はマンハッタンの人気サラダバーを3店紹介する。

(★マークは、あくまでもその日注文したサラダに対しての、独断と偏見による評価である)

Just Salad (ジャスト・サラダ)

おいしさ★★★★★

量★★★★

コスパ★★★★

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「Smokehouse Steak Salad」($11.49)。ロメインレタス、放牧飼育された燻製(くんせい)ステーキ、フェタチーズ、ハラペーニョ、黒豆&コーン、トルティーヤチップス入り。専用ボウル持参で追加2トッピング、またはチーズ1種類が無料。
Photo: 安部かすみ

ニューヨーク発のサラダバー。マンハッタンにリーズナブルで健康的なランチ処が少ないことに目をつけた、ニックとロブが2006年にオープン。現在はニューヨーク(20箇所以上)から全米中、そして香港とドバイにも海外進出するほどの勢い(全31箇所)。食材は地元産にこだわり、メニューにも産地を記載。そして、ほとんどがグルテンフリー。10ドル以下のメニューも多い。スポーツジムのCrunchと提携しており、クラス割引があるなど特典もあり。

個人的な感想として、数年前に比べてサラダおよびフォカッチャがややサイズダウンした感は否めないが、それでも相変わらずの味とボリューム。食材は、玄米、グリルされたゴマ豆腐などのオプションもある。また、この店はサラダのみならず、ラップサンドやスープ、スムージーもあるのが特徴。

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専用の3枚刃で瞬時にチョップされる。
Photo: 安部かすみ


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ミッドタウンのビジネス街。午後2時ごろでもまだ列ができていた。
Photo: 安部かすみ


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Photo: 安部かすみ

Sweetgreen

おいしさ★★★★★

量★★★★

コスパ★★★

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「Curry Cauliflower」($12.15)。アルギュラ(ルッコラ)、ローストチキン、キヌア、カレーロースト・カリフラワー、キャベツ、レーズン、赤キャベツ入り。
Photo: 安部かすみ

「四季折々のシンプルで健康的な食べ物」がSweetgreenのポリシー。ジョージタウン大学ビジネススクール在学中の3人の若者によって、2007年ワシントンDCで誕生した。全米72箇所に支店を持ち、ニューヨークでは19箇所に広がっている。地元の契約農家とタッグを組み、新鮮な食材を調達。また、公立校と提携し、子どもを対象に新鮮で健康的な本当の食べ物(加工食品でないもの)をとることに関心が持てるような教育にも力を入れている。

サラダの食材には、パッタイ風サラダ、オーガニック・ワイルドライス、ゴマ豆腐、ハーブ・ファラフェル、ソバなどのオプションもある。

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トライベッカ地区の店舗。メニューの種類は他店に比べると少なめ。
Photo: 安部かすみ

他店と違い、ここはチョップ(刻むこと)をせず、ボウルの中でミックスするスタイル。

Chopt

おいしさ★★★★★

量★★★

コスパ★★★

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「Creole Shrimp Bowl」($10.99)。サボイキャベツ、レタス、アメリカ南部のクレオール風エビ、ベーコンとコーンのミックス、サヤインゲンの漬物(ディル風味)、ネギ入り。パンもおいしい!
Photo: 安部かすみ

創業は2001年とサラダ店の中では、時代を先ゆく先駆者的存在。全米49箇所に支店を持ち、ニューヨークエリアでは23箇所に広がっている。ウェブサイトには食材からドレッシングに至るまで、細かく栄養が表示されている。スープもあり、サラダとのペアリングも提案してくれる。

60日ごとに新メニューが登場するので、いつ行っても飽きない。サラダは、放牧卵、黒豆、ソバ、オーガニック豆腐などのオプションもある。

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金融街にあるフードホールの一角。ここでも午後1時を過ぎるのに長蛇の列だった。
Photo: 安部かすみ


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専用刃(この店は1枚刃)で瞬時にチョップ!
Photo: 安部かすみ


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「より良い」というメッセージを着たスタッフ。
Photo: 安部かすみ

アメリカのサラダバーに行くときのアドバイス

(もしかしてニューヨークだけかもしれないが)昼時はどこも長蛇の列で、流れ作業となる。おじおじしている暇はないので、前もってメニューを決め、自分の番になったらまわりの雑音に負けないくらいの大きな声ではっきりとオーダーしよう。ちなみにメニューに迷った場合は、店であらかじめ用意されたフィックスメニューがあるので便利だ。

チョップ(刻む)スタイルのサラダバーは、サラダを刻むときは注視しよう。そうでないと、チョップ担当のスタッフの腕の勢いがすさまじすぎて、ガシガシ刻んでいる間に肉や魚介類といった大切な「プロテイン」がカッティングボードから飛んでいってしまう恐れがある。

ドレッシングをかけてもらうときも注意しよう。充分だと思ったときに「Stop」とはっきり言って止めること。さもなければ、過剰なドレッシングがかかってサラダの本来の味が台無しになる。


今後日本でも少しずつ増えていくであろうアメリカンスタイルのサラダバー。ニューヨークに来ることがあれば、まずは本場のサラダバーで、ニューヨーカーに支持されている「おいしくてお腹が満たされて生産性が上がる健康ランチ」を体験してほしい。


Source: Just Salad, Sweetgreen, Chopt

(取材・撮影/安部かすみ:Kasumi Abe)

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