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アメリカのセクハラ騒動に見る「謝らない」方法

アメリカのセクハラ騒動に見る「謝らない」方法
Image: fizkes/Shutterstock.com

アメリカではセクハラ疑惑が、次から次へと浮上しています。加害者とされている人々の一部は沈黙を守ったり、疑惑を全面否定したりしていますが、なかにはすぐに謝罪した人々もいます。

ただし、ほとんどの謝罪は、心から罪を悔いているとは言い難いものです。たとえば、H・W・ブッシュ元米大統領は、複数の若い女性の体を触ったという疑惑に対し、次のような声明を出しています

ブッシュ元大統領は、人々を安心させるためにお決まりのジョークを言います。女性のお尻をなでるのもそうした意図からであって、決して悪気はありません。それを無邪気だととらえる人もいれば、明らかに不適切だとみなす人もいます。気分を害したすべての人に対し、ブッシュ元大統領は心の底から謝罪しています。

これは典型的な「気分を害したようでごめんなさい」タイプの謝罪で「言われたらかなりムッとするセリフ」の上位に入ることは間違いありません。相手に害を与えた責任は認めず、相手の不快感に対して謝罪しているわけです。それではまるで、猫を殺してしまった本人が飼い主に対して「あなたの猫を死なせてしまって申し訳ありません」ではなく、「あなたが猫の死を悲しんでいることをとても残念に思います」と言っているも同然です。非常に遠回しな言い方で、「どう考えても謝罪に値しないようなことで気分を害するあなたのその性格に問題があるのではないか」とほのめかしているのです。

次は、米俳優アンソニー・ラップ氏の主張に対するケビン・スペイシー氏の反応を紹介しましょう。ラップ氏は14歳の時に、当時26歳だったスペイシー氏から性的暴行を受けたと声を上げました。

私はアンソニー・ラップ氏を俳優としてとても尊敬、称賛しています。彼の話を聞き、驚いたという表現では足りないほど衝撃を受けています。正直に言うと、彼とのやりとりを覚えていません。30年以上前のことですから。しかし、もし私が彼の言うような振る舞いをしたのだとしたら、私は彼に対し、酔った勢いで不適切な行為に及んでしまったことについて、心から謝罪しなければなりません。また、彼が30年以上もそのことについて考え続けていたことに対し申し訳なく思います。

この件は、自分の人生のさまざまなことに正面から向き合う勇気を与えてくれました。私はプライバシーをかたくなに守ってきました。そのせいで、いろいろな噂が立っていることは知っています。親しい人々はすでに知っていますが、私はこれまで男女の両方と関係を持ってきました。複数の男性を愛し、ロマンティックな出会いを経験しています。そして、これからはゲイとして生きていくと決断しました。この点に関して正直かつオープンに向き合い、自分の行動を振り返っていきたいと思います。

―ケビン・スペイシー

スペイシー氏はこの声明のなかで、覚えていないと述べ(相手の主張に疑問を投げ掛ける言い方)酔っていたと述べました(非難されるべき行動が、それを理由に許されるかのような姿勢)。おまけに、謝罪をカミングアウトの機会として利用するというとんでもない行動に出たのです。これでは、話をそらし、誘導しただけです。少年に性的暴行を働いたことに関して謝罪したわけではありません。

ハーベイ・ワインスタイン氏の声明も見てみましょう。

私は1960~1970年代の人間です。行動や職場に関するルールは今と全く異なっていました。それが当時の文化だったのです。

Twitterには、これをまねた文章が次々と投稿されました

(上記日本語訳)私は1970年代の人間です。当時は、ヒッチハイカーがたくさん殺されていました。ですから、ヒッチハイカーを殺すことが間違っているとは理解していませんでした。

心から謝罪するのは本当に難しいものですよね。弁護士から「謝るな」と言われているであろうことは理解できます(悪事を認めていると解釈されかねないためです)が、そのような場合は、何も言わないことをおすすめします。曖昧な表現で無意味なことを言っても、歯切れの悪い愚か者にしか見えないためです。

それでは、いい謝罪とはどのようなものでしょう? 心理学者のKarina Schumann氏が発表した論文では、効果的な謝罪が難しい理由のほかに「心からの謝罪を構成する8つの要素」が紹介されています。8つのうちで1番大切なのは「申し訳ありませんという言葉を使うこと」。その次は「自分の間違いを認めること」です。さらに、「どのように状況を打開するかを相手に伝えること」と「次は良い振る舞いをすると約束すること」。そうすれば、償いへの一歩が踏み出せるでしょう。

決して見習うべきではないのは、IT業界の著名ジャーナリストであるロバート・スコーブル氏です。NYMagによると、スコーブル氏は自身に対するセクハラ疑惑に関してブログに記事を投稿しました。そしてブログですべての疑惑に対して断固として謝罪しない意思を示し、実際に訴訟を起こしました。

スコーブル氏はブログ記事の2文目でこう述べています(H・W・ブッシュ元米大統領の声明を手本にしたのかもしれません)。

多くの女性が私から不当な扱いを受けたと感じているようで、申し訳なく思っています。

また、ベンチャーキャピタリストのジャスティン・カルドベック氏とデイブ・マクルーア氏も見習ってはいけません。両氏は、セクハラ疑惑が浮上して会社を解任されたあと、LinkedInのプロフィールに、「Head of Self-reflection」(内省部長)というふざけた肩書きを追加しました。罪を深く悔いていると人々に思ってもらえるかどうかを気にしないにしても、少なくとも余計なことを言わないようにしましょう。


Image: fizkes/Shutterstock.com

Source: The New York Times(1, 2), BUSTLE, Twitter, NYMag(1, 2, 3), Robert Scoble's Augment Your Life, Slate Magazine

Leigh Anderson - Lifehacker US[原文

(訳:米井香織/ガリレオ)

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