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劇作家、小説家、そして母。芥川賞作家・本谷有希子は何を見、どのように物語を紡ぐのか

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劇作家、小説家、そして母。芥川賞作家・本谷有希子は何を見、どのように物語を紡ぐのか
Image: Mugendai(無限大)

21歳で自身の名を冠した劇団を旗揚げ、23歳で小説家デビュー、36歳で芥川賞受賞という輝かしい実績を持つ人物とは? というクイズが出たとしたら、ピンとくる方も多いことでしょう。

演劇人であり小説家である本谷有希子さんのロングインタビューが、IBMのWebメディアMugendai(無限大)に掲載されていました。昨年ついに芥川賞を受賞し、現在は母でもある本谷さんは今、どんな世界を見ているのでしょうか。

プロットがあると退屈。本谷有希子の「小説の書き方」

2016年、4度目のノミネートで芥川賞に輝いた本谷さん。周囲の期待や雰囲気から賞を過剰に意識してしまい、受賞前は「邪魔なもの、目障りなもの」だと感じていたといいます。しかし、いざ受賞してみて楽になったかといえば、創作そのものが楽ではないという点で、ほとんど変わらなかったのだとか。

そんな本谷さんの芥川賞受賞作である『異類婚姻譚』は、結婚4年の主婦が「夫婦」という形に感じることを中心に展開される物語ですが、本谷さんはこの作品の執筆に関して、少し変わった手法を取りました。それは、プロット(物語の筋)を書かないということ。「物語の設計図」ともいわれるほど重要なプロットを、本谷さんはなぜ使わなかったのでしょうか。

プロットがあると自分が退屈してしまうのです。アイデアがぽんと出たときに、小説に心を委ねていくと、自分の想像を超えた文が湧き出てくることが多いので、1行先も決めずに書いていました。たとえば入浴中に、物語の大きな方向がビジュアルになって見えることはあります。でも、それ以上、深く考えない。ビジュアルがくっきり見えてしまうと書けなくなるので。ぼんやりとしたビジュアルだけ意識しておきます。

ボツにした小説は60篇。書き出しで決まった『異類婚姻譚』

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Image: Mugendai(無限大)

現在38歳にして、すでに多くの戯曲や小説を世に残してきた本谷さん。さぞかし、アイデアが湯水の如く生まれてくるのではと想像してしまいますが、少なくとも『異類婚姻譚』においては、書き出しが決まるまでに大変な苦労があったそうです。

『異類婚姻譚』を書き始める前に、書き出してはボツになった小説が60篇近くありました。自分でも不思議なのですが、小説になりうる書き出しの一文というものには「重み」みたいなものがあって、それが十分であれば、あとは自然にストーリーが転がっていくのです。自力で無理やり書こうとせずに、力を抜いていく感じでしょうか。

実際、それまで2年間も書くことができなかったのが、書き出しが決まるとわずか2週間で書き上げてしまったそうです。

酷評だった旗揚げ公演。「あまのじゃく」根性で再び立ち上がる

小説家だけではなく、劇作家としての顔も併せ持つ本谷さん。若干21歳で自身の名を冠した「劇団、本谷有希子」を立ち上げるなど、若くしてその才能を開花させ、順風満帆にも見えます。

しかし、その旗揚げ公演となった『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』のアンケート結果は酷評の嵐だったそう。「二度と演劇をするな」といった言葉が並ぶアンケートの束を抱えながら号泣していたという本谷さん。しかし、「そんなことを言うなら、また絶対やってやる」と心に決めたのだそう。ご本人は「あまのじゃく」と語っていますが、さすがのメンタルの強さを感じます。

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Image: Mugendai(無限大)

ほかにも、中学で部長を務めたテニス部がいつの間にか演劇部になっていた話や、自分の中に「巣食うもの」を探りたいという欲求など、本谷有希子ファン以外でも楽しめるロングインタビューは、Mugendai(無限大)からぜひ続きをお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

渡邊徹則

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