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聴覚障害を持つ「最強」バレーチームを率いる、元全日本選手のマネジメント術

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聴覚障害を持つ「最強」バレーチームを率いる、元全日本選手のマネジメント術
Image: Mugendai(無限大)

突然ですが、「デフリンピック」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。馴染みがない方も多いかもしれませんが、これは聴覚に障害のある人(deaf=デフ)が集まり、4年に1度開かれるスポーツの世界大会です。第一回の開催が1924年と、パラリンピックの1960年と比べても長い歴史を持っています。

そしてデフリンピックで無類の強さを誇るのが、日本女子バレーチーム。2017年7月に開催された大会においては、なんと相手に1セットも取らせない「完全優勝」で、見事金メダルを獲得しました。

その最強チームを率いるのは、狩野美雪さん。バレーボールに詳しくない人でもその名を聞いたことがあるかもしれません。八王子実践高校、久光製薬スプリングスと強豪チームでプレーし、全日本にも選ばれた名選手です。

狩野さんのような元トッププレイヤーが、デフスポーツの監督になるのはとても珍しいことだそう。IBMのWebメディアMugendai(無限大)に、狩野さんと選手たちによる熱い戦いが書かれていました。

「自分こそがマイノリティである」という気づきからのコミュニケーションの変化

聴覚障害を持つ「最強」バレーチームを率いる、元全日本選手のマネージメント術
Image: Mugendai(無限大)

紆余曲折を経て、デフバレーボールチームの監督を引き受けることになった狩野さんでしたが、最初に感じたのは違和感でした。いくら元全日本のトッププレイヤーとはいえ、いきなり自らの経験を応用できるわけではなかったのです。

そのときに狩野さんが心がけたのが、「この中では、自分がマイノリティである」という意識。選手だけでなく、スタッフもほとんどが聴覚障害者であるチームの中では、自分の経験やプライドなど邪魔になるだけ。不要なものはかなぐり捨て、ほかに合わせて動くことを決めたのだそうです。

そうして自分から積極的にコミュニケーションするようになった狩野さんは、あることに気付きます。聴覚に障害がある分、選手たちは「目で見る能力」が非常に高かったのです。

狩野さんはそれ以降、この長所を徹底的に活かすコーチングに移行します。自らとにかく動いて手本を見せたり、練習にゴム紐を使ってブロック時の球の軌道を「見える化」したりするなど、練習に工夫を凝らし始めたのです。

聴覚障害を持つ「最強」バレーチームを率いる、元全日本選手のマネージメント術
Image: Mugendai(無限大)

また、選手たちとのコミュニケーション方法も変わりました。バレーボール用語には「アタックはボールを切るように」などの言葉があるそうですが、手話でそのまま伝えても真意はなかなか伝わりません。狩野さんは、自然とそうしたバレーボール用語を使わないようになったそうです。

デフスポーツを取り巻く厳しい環境。それでも選手を甘やかさない哲学とは

デフバレーボールの選手は、普段は会社などに勤務しています。また、ほぼ全員が聴覚障がい者であるスタッフも協会の仕事はボランティアで行っており、決して恵まれた環境とはいえません。

しかしそんな状況でも、狩野さんは選手たちを決して甘やかすことはありません。むしろ、プロ選手と同じように厳しく接するといいます。

練習中にやる気のないプレーをすれば「練習に来なくてもいい」と言い放ち、「日本代表チームは、日の丸を背負ってプレーしている」ときつく檄を飛ばすのです。

ここに、障害者もスポーツ選手として平等に扱う狩野さんの哲学が垣間見えます。普段の生活で耳の障害に気をかけることはあっても、スポーツの場では別。障害があろうがなかろうが、一人のスポーツ選手なのです。

聴覚障害を持つ「最強」バレーチームを率いる、元全日本選手のマネージメント術
Image: Mugendai(無限大)

デフリンピックで完全優勝を果たし、監督としての任務も一段落した狩野さん。「デフバレーボールの監督を続けるかどうかは分からない」と語りますが、障害者スポーツのフィールドには関わっていたいと話します。それは、狩野さん本人の経験からくるものでした。

狩野さんは5年間を監督として過ごしてきましたが、デフ競技の指導者はそれだけでは生活の糧を得られないとのこと。よって、自分と同じ境遇の人だけでなく、選手やスタッフも含めたデフスポーツ関係者、ひいては女性が活躍できる時代を作るべく、社会の仕組みそのものを変えることにも取り組みたいのだそう。

聴覚障害を持つ「最強」バレーチームを率いる、元全日本選手のマネージメント術
Image: Mugendai(無限大)

圧倒的な強さで金メダルを獲りながらも、「次は健聴者チームにも負けないチームに」という果てしない向上心を持つ、狩野さんと日本女子デフバレーボールチーム。まだまだ興味深い話が満載のロングインタビューは、Mugendai(無限大)よりぜひ詳細をお楽しみください。

Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

渡邊徹則

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