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Amazonで「新品」の本を買ってはいけない理由

Amazonで「新品」の本を買ってはいけない理由
Image: Brittany Stevens/Flickr

ジェフ・ベゾス氏率いるAmazonは、出版業界のあらゆる人を一斉に怒らせました。Amazonには、できるかぎり安く本を売りたがる傾向があります。その目的を達成するために、Amazonはこの春、サードパーティが提供するオプションを、ページの上のほうに移動しました。

場合によっては、サードパーティ販売者がデフォルトの購入オプションになることさえあります。Amazonが販売する正真正銘の新品オプションよりも安い「新品」オプションを目にすることもあるかもしれません。でも、あなたが安いほうを選ぶと、損をする人たちがいるのです。

著者

アメリカの出版業界では通常、新刊本が売れると著者に印税が入ります。古本を買う場合、少なくともその本が最初に売られた時点で、そのぶんの印税が著者に行っているはずです。

ところが、サードパーティが販売する「新品」の本の場合、著者が何ももらえなかったり、ごくわずかな収入にしかならなかったりすることも珍しくありません。たいていの契約では、ほとんど、またはすべての著者の印税が、1冊あたりの定額ではなく、販売価格に対するパーセンテージとして決められています。ですから、安い本ほど印税は低くなります

いくつかの理由から、出版社が新刊本として売れない本を抱えることがあります。作家でアメリカの著作家団体「Authors Guild」の会員でもあるダグラス・プレストン氏がThe New York Timesに説明したところによれば、輸送中に本が傷んだ時や、書店が売れ残った本を送り返して払い戻しを受ける場合にそうした事態が生じるのだそうです。そうなってしまうと、もう出版社は、そうした本を新刊本としては売れません。大幅に値引きして、処分するしか手はありません。ですから、実際にそうします。そして著者には、ごくごくわずかな印税を支払うか、まったく何も支払いません。著者がその本からそれ以上の収入を得ることは二度とありません。

出版社

出版とはおかしなものです。情報を扱う業界ですが、ごく最近まで、実体のあるものを扱う業界のように振る舞ってきました。ただし、いくつかの例外はあります。その1つが、「残本」です。

一般的に、書店が出版社から買った本をすべて売りさばけない場合、書店は売れ残った本を返品し、払い戻しを受けることができます。これは奇妙な慣習ですが、出版社がこの慣習を維持しているのは、書店のリスクが低くなり、発売予定の本の購入数を増やすという賭けに出てもらいやすくなるからです。それに、どの出版社も書店に対して、「すみませんが、買っていただいた本は返却できません」と最初に言い出す役はやりたくないと思っています。

すでにお話ししたように、出版社は、売れ残って返品された本を新品として売ることはできません。本の底の部分に、以下のようなマークを書かなければいけません

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Image: Wikipedia

ところが、ときどき、売れ残りの本にマークがつけられないケースがあるのです。Amazonによれば、サードパーティの出品者が中古本を新品として売るのは認めていないということですが(中古品セクションで「ほぼ新品」として売ることしかできません)、プレストン氏とAuthors Guildは、Amazonではあまりにも多くの「新品」の本が、なんのお咎めもなく売られていると指摘しています。プレストン氏によれば、その多くは、Amazonのルールに従えば「中古品」とされるべきものだといいます。そして、そうした本がデフォルトの購入方法として表示されていいはずはないのです。

あなたに損はない……当面は

たいていの場合、新刊本とそうした「新品」の本の違いの区別はつかないでしょう。売れ残りのマークがついていても、読書体験にはなんの影響もありません。ですから、短期的に見れば、サードパーティの販売する本を買えば、なんの代償も払わずにお金を節約できることになります。

でも、長期的に見ると、あなたは実質的に海賊版書籍の販売を支援していることになります。出版は利益の薄い業界であり、著者や編集者などそこで働く人たちの大多数は、雀の涙ほどの収入しか稼いでいません。海賊版の書籍が出回れば、本の制作に携わる人が生計を立てるのはますます難しくなってしまいます。

そして、出版業界からお金が離れていくと、目先のことしか見えない出版社は決まって、セルフヘルプ本や「セレブリティの自伝」といった、ベストセラーになるのが確実な本ばかりに頼るようになります。リスクを避けるようになり、ニッチだけれど興味深い本や、ヒットするまでに時間がかかる本を出さなくなります。こうした反応は愚かでまちがったものですが、読者であるあなたにも影響を及ぼします。

本に使うお金を節約したいのなら、古書店で買うか、図書館で借りてください。そうすれば、たいていの場合、あなたが共有したり入手したりする本は、いちどは出版社や著者に利益をもたらした本ということになります。それについて、あなたにとやかく言える人はいないでしょう。

でも、心を入れ替えたという方は、新刊本の購入を考えてみてください。Amazonで買うなら、販売者がAmazonとなっているかを確認しましょう。あるいは、わかりにくいとは思いますが、出版社からお金を吸いとろうとしない会社から本を買ってください。


Image: Brittany Stevens/Flickr, Wikipedia

Source: The New York Times, IOBA, Aunthors Guild

Nick Douglas - Lifehacker US[原文

(訳:梅田智世/ガリレオ)

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