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米国の祝日「コロンブスの日」にまつわる本当の歴史とは

米国の祝日「コロンブスの日」にまつわる本当の歴史とは
Image: Sebastiano del Piombo/Wikipedia

米国では毎年、10月の第2月曜日はコロンブス・デー(コロンブスの日)として、クリストファー・コロンブスが1492年10月12日にアメリカ大陸へ到着したことを祝います。しかし、コロンブスが航海したのはスペインのためであり、実際に上陸したのは西インド諸島です。しかも、コロンブスはかなり嫌な人物でした。それなのに、どうして米国ではこの日を祝うのでしょうか?

コロンブスの所業

まず、簡単に歴史をおさらいしておきましょう。

ジェノバの探検家であったコロンブスは、「新世界」を植民地化しようとスペインの旗の下で航海をしました。当時、たどり着くことが大変困難であった伝説の東インドを目指して大西洋を横断した後、目的だった日本や東南アジアのかわりに、ヒスパニオラ島(現在のハイチ、ドミニカ共和国)に上陸します。

この島で、コロンブスは植民地を建設し、大西洋を横断する奴隷貿易をはじめ、原住民を金鉱山で働かせたり、腕を切り落としたり、先住民のジェノサイド(大虐殺)に精を出しました。こうしたすべての所業がキリスト教の名のもとに行なわれたのです。そして、この土地の先住民が今でも「インディアン」と呼ばれているのもコロンブスのおかげだったりします。

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Image: John Vanderlyn/Wikipedia

コロンブスが英雄になった3つの理由

なのに、どうして米国はこのような人物を国の英雄に祭り上げているのでしょうか?

私は3つの理由があると思っています。1つは、とった手段がどうであれ、コロンブスは大西洋を横断する貿易ルートの確立に貢献し、植民地化を促進。最終的に米国が今の形を成す礎をつくったことです。もちろん断言はできませんが、もしコロンブスが失敗していたら、世界はかなり違った形になっていたことでしょう。

2つ目は、ロナルド・レーガンや、1937年にこの日を連邦の祝日に制定したフランクリン・D・ルーズベルト、1892年にコロンブス上陸の400周年を祝うようにアメリカ国民に呼びかけたベンジャミン・ハリソンなど、何人もの大統領が「コロンブスの新世界発見」神話にロマンチックな夢を抱いていたことです。

しかし、事実ははっきりさせておかなければなりません。コロンブスはアメリカ大陸を発見していません。アメリカ大陸にはすでに先住民が住んでいました。また、あくまでヨーロッパ人が発見したと主張するのであっても、バイキングの探検家レイフ・エリクソンのほうがはるかに早く上陸しています(コロンブスの数百年前)。

そして、3つ目が最も重要なのですが、米国民がコロンブスの日を祝うのは…(ここでドラムロール)…イギリスが大嫌いだからです! コロンブスが上陸したのはカリブ海地域であって、北米大陸ではないことを覚えていますか? それに、11世紀以降で、北米大陸を初めて発見したのは、ジョン・カボットという名のヴェネチアの探検家です。なぜ米国民は毎年「ジョン・カボットの日」を祝わないのでしょうか? その理由は、カボットがイギリスの旗の下で航海したからです。

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Image: Giustino Menescardi/Wikipedia

コロンブスもカボットも、死後数百年の間は、ほとんど無名に近い存在でしたが、1776年にアメリカの植民地が独立すると、突然事態が動き出します。米誌Smithsonian MagazineのBrian Handwerk氏が説明するように、アメリカに入植した人々は、新しく生まれた国家のために「英雄の象徴」を必要としていました。

本来ならカボットが選ばれるべきでした。彼らの新しい土地に実際に上陸したのはカボットであり、先住民の大虐殺もしていません。実際、カボットは先住民と一切接触せず、上陸時も「クロスボウの射程距離を越えて」は進行しませんでした。しかし、Handwerk氏が言うとおり、カボットは不都合な旗の下に航海しました。独立を勝ち取った米国の民の誰もが、自分たちをイギリスのために働いた探検家と結びつけたいとは思わなかったのです。

18世紀の後半から米国でコロンブスの日が祝われるようになり(300周年にあたる1792年には大規模な祝典が開かれた)、1905年にコロラド州の祝日に定められ、1937年には連邦の祝日となったのはこうした理由があるわけです。しかし今日では、多くの都市で10月の第2月曜日は「アメリカ先住民の日」と定められています。米国の60以上の都市が、コロンバス・デーのかわりに、この日をアメリカ先住民の文化と歴史を称える日とすることを選んだのです。


Image: Wikipedia(1, 2, 3

Source: Smithsonian Magazine

Patrick Allan - Lifehacker US[原文

(訳:伊藤貴之)

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