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子どもにスマホを持たせたくない親ができること

子どもにスマホを持たせたくない親ができること
Image: Pabak Sarkar/Flickr

ここ10年ほど「スマートフォンは今の子どもたちの世代をだめにしている」といった趣旨の記事を、よく目にしてきたのではないでしょうか。しかし、そのような記事は、そもそも事実かどうかはわかりませんし、私は少し大げさではないかと思っています。

ちょうどこの件について調査していたとき、ある友人からメッセージが届きました。彼は、子どもにスマートフォンを持たせる時期を、できるだけ先延ばしにすべきだと助言されたのだそうです。スマートフォンのせいで「子どもが別人になってしまうから」なのだとか。

でも仮に、「子どもの友だちはみんなスマートフォンを持っていて、持っていないのはうちの子だけ」だとしたらどうしますか? 友だちの輪に入れない、という状況は避けたいのではないでしょうか。

実は、うまく対処している親もいるのです。子どもが8年生(中学2年生)かそれより大きくなるまで、スマートフォンを買い与えずに、それでも子どもが仲間はずれになっていないという親たちは存在します。そこで私は、スマートフォンを買い与える時期をうまく先延ばしできた親御さん数人に、その秘策を聞いてみました。

「8年生まで待とうの会」に参加する

アメリカには、「Wait Until 8th Pledge(8年生まで待とうという約束)」という運動があります。これは、「子どもが8年生になるまではスマートフォンを与えません」と親が誓約するオンラインの署名運動です。日本でいえば、中学を卒業するまでといえるかもしれません。

ただし、子どもを同じ学校に通わせている家族10組から署名が集まらなければ成立しません。署名数が10家族に達すると、「この誓約は、お子さんの学校で有効になりました」というメッセージが届きます。

「Wait Until 8th Pledge」は、テキサス州オースティンに住む母親Brooke Shannon氏が考案しました。Shannon氏は、電子機器を使わない遊び時間や、家族とすごす時間が少なくなっていくことに危機感を覚え、この行動を起こしたそうです。Shannon氏からのメールによると、2017年春の立ち上げ以来、49州に住む3000を超える家庭と500を超える学校が、「スマートフォンに待ったをかける」ことに同意してくれたということです。

緊急事態が発生したときに子どもが連絡できないのが不安だという人もいるかもしれませんが、その心配はいりません。この誓約はスマートフォンに限られているからです。

でも、あなたが誓約しても、ほかの親が誰も賛同しなかったらどうすればいいのでしょうか。この運動は、立ち上げられてから日が浅いので、聞いたことがないという人も多いのです。「そういうときこそ、コミュニティーの力が多少なりとも必要です」と話すのは、テキサス州ダラスで3人の子を育てる父親Walker Royall氏です。彼は最近、4年生の息子のクラスで「Wait Until 8th Pledge」をはじめました。

最小必要人数を得る

「子どもの同級生の親たちに話をすることが第1歩です」とRoyall氏は言います。「うちの子どもだけスマートフォンを持っていないので仲間外れにされるのではないか」と心配して悩んでいる親は、他にもかならずいます。Royall氏は、4年生の息子のクラスで何人かの親と話をすることからはじめたそうです。驚く親もいれば、理解を示す親もいました。

そこで彼は、自分が不安に思っていることをメールに書き、クラス名簿のアドレスに一斉送信しました。「送り先は65家族。1週間でかなりの家族が参加すると言ってくれました。ほぼ半分の同意を得られたのです。この誓約は、スマートフォンはまだ買い与えたくないと考えていた親の悩みを取り除いてくれるものなのです」

ちなみに私は、「4年生で(スマートフォンを持たせるかどうかを)悩むのは早すぎでは? うちの息子は2年生だし、悩み始めるのは6年生になってからで十分だ」と思っていましたが、それでは遅いようです。Royall氏の3年生の息子のクラスでは、すでに8〜9人の児童がiPhoneを持っているというのです。

学校側にも参加してもらう

学校関係者は誰もが、ソーシャルメディア絡みのいじめがあることに気づいているといっても過言ではないでしょう。Royall氏の子どもが通うダラスの小学校の校長先生は、年度はじめに保護者との懇親会を開いています。そして、今年の会で校長先生は、「学校が直面している2つの大きな課題があります。スマートフォンとインクルージョン(障がい者と健常者が同じ教室で学ぶこと)です」と話したそうです。もし学校側が家庭に向けて、スマートフォンの危険性や子どもの集中力の低下、ソーシャルメディアによるいじめなどについて話してもらえれば、それがきっかけとなって、あなたが呼びかける「Wait Until 8th Pledge」に賛同する親が増えるかもしれません。

その他親ができること

正直なところ、スマートフォンにべったりなのは、子どもだけではないはずです。Royall氏によれば、校長先生は、児童とスマートフォンの関係についての話の中で、親も子どもと同じくらいひどい状態だと指摘したそうです。あなたは、家族と会話するときや、電子機器を使わない活動をしているときに、それに全神経をそそがず、スマートフォンを見たりしていませんか? もしそうだとしたら、あなたの子どもは、読書をしたり、釣りに行ったり、絵を描いたりすることを、スマートフォンをいじることと比較してどちらが大切だと考えるでしょうか。大人たちが、レストランでの食事の最中や、週末のキャンプ中にスマートフォンを手放せないのを見たら、子どもだってスマートフォンなしですごす方法を学べません。スマートフォンの方が大切だと思うことさえあるかもしれません。

現実の世界を楽しむアクティビティを奨励する

「ボールや自転車を与え、子どもたちが体を動かすように支援しましょう」とRoyall氏は言います。彼の子どもたちは「とても社交的」で、遊び相手に不自由していません。Royall氏の場合は、子どもの遊び仲間のうち少なくとも2〜3組の家族を「Wait Until 8th Pledge」の仲間に引き入れたので、「現実の生活のおもしろさを知っているし、遊び仲間もいつもいる」そうです。

バージニア州在住で2人の息子を持つ母親のMolly Bosscher氏は、子どもたちが高校3年生になるまでスマートフォンを買い与えませんでした。彼女は、当時を振り返りつつ、こう話しています。「子どもたちと外に出ましょう。友だちとの川遊びや、高いところからの飛び込み、キャンプといった外遊びを促すのです。毎週の散歩やスポーツをさせましょう。そして毎晩、夕食を囲んで子どもと話をしましょう」。親は子どもに、お菓子ばかり食べずに健康的な食事をとるよう教えるものです(少なくとも、教える努力はします)。それと同じように、電子機器を使う時間と、現実世界で活動する時間のバランスをうまくとるよう導きましょう。

それでも私には、それが簡単なことには思えません。息子が中学校にあがったら、小学校のときと比べてクラスメートの親とのつきあいは減るでしょう。それに、ほかの家族がうちと同じ価値観を持っているとは限りません。Royall氏の子どもが通う学校でも、5年生の親が「Wait Until 8th Pledge」を呼びかけましたが、反応があったのは3家族だけだったそうです。

最終的には、決断するのは子どもです。けれどもその決断が、家に引きこもって画面を見つめることになる可能性もあるのです。


Image: Pabak Sarkar/Flickr

Source: The Atlantic, The New York Times

Leigh Anderson - Lifehacker US[原文

(訳:浅野美抄子/ガリレオ)

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