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イラストでわかる! 誰でも実践できる「プレゼンのテクニック」

イラストでわかる! 誰でも実践できる「プレゼンのテクニック」
Photo: 印南敦史

しっかり準備して抜かりはないはずのプレゼンテーションなのに、聞き手を飽きさせてしまったり、会議が盛り上がらなかったり、あるいは企画がなかなか通らなかったり…。誰しもが経験する悩みかもしれませんが、それはきっと「ジェスチャー不足」のせいだと主張するのは、『プレゼンのパワーを最大限にする50のジェスチャー』(ヨッヘン・バイヤー著、安原実津訳、日経BP社)の著者。ドイツシュヴェービッシュ・グミュント教育大学・教授学教授としてボディランゲージの指導と研究に携わっているという人物です。

私たちは普段から、相手のしぐさを読み取り、それに応じて行動していることが多い。人間が本当に言いたいことは、言葉ではなく、しぐさやジェスチャーにあらわれる。そのため、しぐさやジェスチャーに精通すれば、相手が口に出す一歩手前の考えを正しく見抜くことができる。(中略)またしぐさやジェスチャーを活用すれば、自分が言いたいことをこれまでよりもっと伝えることができる。(7ページより)

そこで本書では、基礎的なことはもちろん、さまざまな角度からジェスチャーのテクニックを紹介しているわけです。CHAPTER 06「プレゼンのテクニック」から、いくつかをピックアップしてみたいと思います。

聴衆が仮装していると想像する

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これから人前に出て話をしようとする人が、緊張せずに、好ましい印象を与えるためにはどうすればいいのでしょうか。この問いに対する著者の答えは、「そこにいる人(聴衆)がおもしろいコスチュームを着ていると思えばいい」というもの。ぶっ飛んだ発想ですが、そうすれば、自然と頰がゆるんでくるという考え方です。

つまり、聞き手に向かって笑いかけているような印象を与えることができるということ。そうすれば、やがて相手からも笑顔が戻ってくることになるといいます。とはいっても、すぐに反応があるとは限らないでしょう。そこで、最初は反応がなかったとしても、やめずに続けることが大切なのだといいます。(92ページより)

聴衆の数人にアイコンタクトを直接とる

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プレゼンの場では、聞き手とアイコンタクトを直接とるように心がけたほうがいいのだそうです。聞き手の数が多い場合は、会場内のバラバラの位置に座っている3〜4人を選び出し、プレゼンの間に何度もその人たちに視線を送るようにすればOK。

アイコンタクトを直接とることが苦手なら、聞き手のなかから特に好感の持てる人を選ぶか、友だちや知り合いに頼んで聞き手に紛れて座ってもらい、その人たちに視線を送るのでもいいそうです。

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演劇の世界には古くから、“広い会場ほど視線は上向きに”という鉄則があるのだといいます。満員のホールや大学の大講堂などで話をするときは、その考え方を取り入れ、会場のなるべく後ろにいる人に視線を送るようにし、会場全体を見渡すように心がける。そうすれば、効果が期待できるということです。

プレゼンをするとき、(たとえばパワーポイントの操作のためスクリーンのほうに体を向けるなど)聞き手に背を向けてしまう人は少なくありません。しかし、それは絶対に避けたほうがいいと著者はいいます。なぜならその瞬間、聞き手との一体感が必然的に絶たれてしまい、また一から関係を構築しなければならなくなるから。だいいち、頭をひねって自分の肩越しにスクリーンを見たところで、文句を言う人はいないわけです。(93ページより)

表情に変化をつける

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あまり表情をつくりすぎると、人の信用を得られないという考え方もあります。しかしその一方には、「表情の変化が乏しい人の話に耳を傾ける人はいない」という見方も存在します。このことについて著者は、「感情を込めなければならない部分には、それに合った表情が鉄則だ」と主張しています。

ただしその表情は、どの文化圏でもほぼ同じように表現される“基本的な表情”に絞ったほうがよいのだそうです。

“基本的な表情”とは、表情や嘘に関する研究で有名な米国の心理学者であるポール・エクマンが2004年の著書で触れているものだ。プレゼンの場では、そのなかでも喜び、悲しみ、怒り(これを使う場合には注意が必要だが)、驚きの4つに絞るといい。(96ページより)

ちなみにエクマンは嫌悪と不安も基本的感情に数えているそうですが、プレゼンテーションの場で使うにはマイナス要素が強すぎると著者。また、喜び、悲しみ、怒りは長めに表現してもかまいませんが、驚きの表情は長くても0.5秒程度にとどめるべきだといいます。(95ページより)

手のひらを見せる

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手の動きは、聞き手の受ける印象を決定づける重要な要素。内容が同じプレゼンであっても、使うボディランゲージによってフィードバックの結果が大きく異なるのだそうです。事実、数人に手のひらを意識的に聞き手に向けながらプレゼンを行ってもらったところ、そのフィードバックは「よかった」「どちらかといえばよかった」という肯定的な意見が最高で80%を占めたのだとか。

一方、同じ人たちが閉ざされた印象を与えるボディランゲージで同じ内容のプレゼンを行ったところ、肯定的な意見は50%しかなかったというのです。極端な言い方をすれば、話し手がオープンなジェスチャーで聞き手に率直さを表すことのほうが、プレゼンの内容よりも重要である場合があるということ。

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なお、上のような手のひらの見せ方もおすすめだそうです。(99ページより)

ペンであやつる

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もし、聞き手のなかの誰かの視線がそれたことに気づいたら、ペンを1本手にとって、大げさに動かしてみるといいそうです(著者の経験上、最も効果的なのは持ち上げることだといいます)。そしてそのペンの動きを、自分とその人を結ぶ線の上で止める。そうすれば、その人の目は無意識のうちにペンの動きを追ったあと、最終的にはこちらに向かってくるというのです。いわばペンを使って、自分とプレゼンのほうに意識を向けさせるということ。

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なお、商品の売り込みの場など、聞く側の人数が少ない場合は、このテクニックを応用するといいそうです。パンフレットや写真など、「相手の注意を引くなにか」を手渡し触覚に訴えると、相手がそれを手に持っている間は、その人の注意をこちらに向けられるというわけです。さらに、渡したものを下に降ろしたあと、相手が手をどこに置いているかにも注目。もしも渡したものの近くにあれば、それはいい兆候だといいます。(101ページより)

立ち位置から動かない

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プレゼンをする際は、舞台の上や会場前方の空きスペースのど真ん中、つまり人に最も注目されやすい場所に立ち位置の見当をつけておき、プレゼン中はそこから動かないようにすることが大切。

また、その場所に向かうときは堂々とした態度で歩き、これからプレゼンテーションが始まろうとしていることを印象づけることも忘れずに。あらかじめ決めておいた立ち位置にゆっくりと近づき、プレゼンの間は自分の体をその場に固定するような気持ちで足を止めるといいそうです。

プレゼンで起こしがちなミスは、話し手がなんの理由もなく立ち位置を離れること。そうした動きは、聞き手に“そわそわして落ち着かない”という印象を与えてしまうというのです。(110ページより)


このように決して難しいことではなく、とても実践的な内容。プレゼンにすぐ活用できるので、ジェスチャーのポテンシャルを大いに活用できそうです。これまでジェスチャーとは無縁だった人も、新たな可能性を見出すことができるでしょう。

印南敦史

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