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今さら聞けない! パリコレって何がすごいの?

今さら聞けない! パリコレって何がすごいの?
Image: Sam Aronov / Shutterstock.com

パリコレという略称でもおなじみのファッションショー「パリ・コレクション」は、世界の高級ブランドが新作を発表する場であり、トレンドを左右する重要な場所となっていることはご存知の通り。

最近ではパリコレに関するニュースが話題になっています。つい先日は、世界的な巨大ファッション・コングロマリットで、ライバル関係にあるLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)とケリングが、「痩せすぎのモデルは起用しない」ことを共同で表明したばかり。また、「レイプを扇動するかのような写真」を広告に使用したイヴ・サンローランに非難が殺到し、フランスの広告規制当局が同ブランドに注意喚起したニュースも記憶に新しいところ。

そもそもパリコレが誕生したきっかけは? なぜこれほどまでに特別なものとして認知されているのでしょうか? それを解き明かすために、この記事ではパリコレを知るための予備知識について紹介します。

パリコレとは?

今から100年以上前の1910年頃にスタートしたパリコレ。パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンで年2回開催されているのが、いわゆる4大コレクションです。有名・老舗ブランドの多くが、パリとミラノに集中していることもあり、ニューヨークとロンドンは質・量ともに大きく水をあけられています。東京コレクションも奮闘していますが、残念ながら大きな話題になることがありません。

その中でももっとも古い歴史を持ち、高い芸術性を求められるのがパリコレの特徴です。普段我々が耳にするパリコレと呼ばれるのは、「パリ・プレタポルテ・コレクション」(※プレタポルテ=高級既製服)のこと。レディスの秋冬は3月、春夏は10月に発表され、実際のシーズンのほぼ半年前に行われると考えてよいでしょう。また、パリ・オートクチュール・コレクション(高級仕立服)とパリ・メンズ・コレクションは、ほぼ同時期に開催され、秋冬は1月、春夏は6月に発表されます。

どんな人がパリコレにやって来るの?

残念ながら一般の人がショーを観ることはできませんが、1ブランドで年に数百万円も購入するVICVery Important Customer)である場合、稀に招待されることもあります。コレクション会期中には、世界中からバイヤーやジャーナリストが集まり、さまざまなイベントが併せて開催され、来場したセレブのスナップ合戦などが繰り広げられているのは周知の通り。

また、ジャーナリストとブランドPRとの会食や、デザイナーが同席するパーティなどでは、貴重な最新情報や裏話も飛び交います。現在はどのブランドでも、ランウェイのライブ動画をSNSなどで配信するのが当たり前の時代ですが、やはり現地でしか得られない情報もまだまだ少なくないのです。

ランウェイショーの場所はひとつじゃない

パリコレの会場は、ひとつの場所に限定されているわけではなく、シーズン毎のテーマやムードに合わせて会場を変えることがほとんど。パリの中心部の大きなホールや美術館がよく使われることが多いのですが、タクシーや電車で1時間ほど移動しなければならない郊外の会場で行なわれることも稀にあります。また大きな倉庫やホールを貸し切って、テーマに合わせて特殊セットを設営することもしばしば。その場合、数千万円という資金を投じることもあるのです。

パリ・コレクションとミラノ・コレクションの違いは?

パリコレのおもな参加ブランドは次の通りです。

【パリ・コレクションのおもな参加ブランド】

ランバン(仏)、シャネル(仏)、バレンシアガ(仏/ケリング)、ニナ・リッチ(仏)、バルマン(仏)、ディオール(仏/LVMH)、ジバンシイ(仏/LVMH)、ヴァレンティノ(伊)、クロエ(仏)、サンローラン(仏/ケリング)、ロエベ(西/LVMH)、セリーヌ(仏/LVMH)、ジャン=ポール・ゴルチエ(仏)、コム・デ・ギャルソン(日)、エルメス(仏)、ルイ・ヴィトン(仏/LVMH)、マルタン・マルジェラ(仏)、アレキサンダー・マックイーン(英/ケリング)、ベルルッティ(仏/LVMH)

※ オートクチュールに加盟、もしくはプレタポルテに参加した古いブランド順。 ブランドが拠点を置く国、前述したファッション・コングロマリットの傘下にある場合はそのグループも併記。

実はエルメスやルイ・ヴィトンなどの老舗ブランドが、既製服を手がけるようになったのはごく最近のこと。なお、ニナ・リッチとベルルッティの創業者はイタリア人、マルジェラはベルギー人、マックイーンは英国人です。 上記を見れば、パリコレの有名ブランドの多くが、LVMHまたはケリング傘下であることが分かるでしょう。それに対して、ミラノ・コレクションはより商業的かつウェアラブルであることが重要視されています。女性の憧れブランドが多く参加しているパリコレに対して、富裕層の成熟した男性向きブランドが多いのもミラノ・コレクションの特徴です。

【ミラノ・コレクションのおもな参加ブランド】

ブリオーニ(伊/ケリング)、エルメネジルド・ゼニア(伊)、フェンディ(伊/LVMH)、サルヴァトーレ・フェラガモ(伊)、ジョルジオ・アルマーニ(伊)、ヴェルサーチ(伊)、ドルチェ&ガッバーナ(伊)、ジル・サンダー(伊)、プラダ(伊)、グッチ(伊/ケリング)、エトロ(伊)、ボッテガ・ヴェネタ(伊/ケリング)

ようやくメンズ・コレクションがスタートしたのは、80年代

ここでも驚きなのは、超高級スーツで知られるブリオーニは、すでに1952年にコレクションを展開していたことです。その後に続いたのが、ゼニアアルマーニなど、スーツが主体のメンズ・コレクションでした。80年代前半には数々のイタリアブランドがメンズ・コレクションをスタートさせ、パリコレ参加ブランドがこの流れに追随していくようになります。また、プラダグッチが現在のようなコレクション(ランウェイショー)を展開するようになったのは、意外にも89年と90年のこと。

気になるファッションショーのお値段は?

会場の確保、モデルのキャスティング、舞台や内装の設営、照明や音楽などショーの演出、スタイリストやヘアメイクなどなど、たくさんの人手がかかるラウンウェイショー。誰もが知っているセレブや、広告にたびたび登場する人気モデルを起用すると、それだけで何百万円という出演料を支払います。少ないときでも30人、多いときには50人ものモデルを歩かせるので、その金額だけでも相当なもの。さらにサプライズとして、ミュージシャンやアーティストのパフォーマンスを入れることも。

1回のショーで最低でも2000万円以上かかるとされ、新しいブランドが継続するのが困難というのがパリコレの大きな障壁にもなっています。それゆえ、先ほどのLVMHやケリングなどに属する巨大資本のブランドほど有利な立場にあり、才気ある若手デザイナーであっても経営難によってコレクションを断念せざるを得ないということがしばしば話題になっています。特にここ数年は、ランウェイ形式を取り止めて小規模なプレゼンテーション形式に変更したり、メンズ・コレクションを休止したりするブランドが後を絶ちません。


100年以上の歴史で培われ、確立されたパリコレだけに、若手の新進デザイナーたちにとっては非常にハードルが高く、新しいブランドが育つ障壁にもなっているようです。明日公開の後半では、パリコレの起源にまで遡り、歴史をふまえたうえで、ファッションの最新事情を紹介します。

Image: Sam Aronov / Shutterstock.com

文/川瀬拓郎、編集/庄司真美

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