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5年後にリーダーになる人と、部下のままの人の違いとは?

5年後にリーダーになる人と、部下のままの人の違いとは?
Photo: 印南敦史

ご存知のとおり、『君を成功に導く49の言葉〜5年後リーダーになる人 5年後も部下のままの人』(岩田 松雄、大和書房)の著者は、スターバックスコーヒージャパン、ザ・ボディショップでCEOを務めてきた人物。2013年にリーダー育成のための(株)リーダーシップコンサルティングを設立したほか、数々の著作を送り出してきたことでも知られています。

新刊となる本書は、49のテーマに沿って、先人たちの名言を紹介しながら、「5年後にリーダーになれる人」と「5年後も部下のままの人」の思考や行動を対比させたもの。

私自身、日産自動車を振出しに、日本コカ・コーラ、スターバックスなど、七社で様々な経験を積むことができた。途中、何度も苦しく辛い挫折の経験を味わった。夜遅く弱った心を慰めてくれたのは、先人たちが残してくれた多くの言葉だった。

この本は、名言や格言を厳選し、少しでもリーダーを目指す人のお役に立ちたいという思いを込めて書きつづった。本の中から1つでも皆さんの心を救ったり、元気にしたりする言葉が見つかれば、とても嬉しく思う。(「はじめに」より)

5つのテーマに分けられた本書のなかから、「仕事」に焦点を当てた「Chapter 1 WORK 5年後のリーダーを目指すための仕事法」を見てみましょう。

雑事こそ期待以上の成果を上げる

たとえ自分は、

「今よりもっと大きなことをする人間だ」と思っていても、

その大きなことは微々たるものを集積したもの。

どんな場合も、些細なことを軽蔑することなく、

勤勉に、忠実に、誠意をこめて完全にやり遂げようとすべきなのだ。


渋沢栄一/実業家

(12ページより)

著者自身、これまでの人生を振り返ってみると、目の前のことを一所懸命にがんばっていると、それがのちのち、思わぬところで役に立ってきたことを実感するのだそうです。そのときはどれだけ辛くても、目の前のことを一所懸命にがんばっていれば、まるでなにかの大きな力に導かれ、予定されていたかのように、次々と目の前の門が開いて新たしいチャンスがやってくるというのです。

だから、「一所懸命にがんばっている限りにおいて、人生にはムダな経験はなにひとつない」のだと著者は断言しています。そしてアップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学卒業式のスピーチで話したとおり、まさしく「コネクティング・ドッツ(点と点が結ばれていく)」を実感するのだといいます。そのときどきは偶然の選択であったとしても、あとで考えると必然であったかのように、出来事と出来事がつながっていくということです。(12ページより)

5年後も部下の人

目の前の仕事がすべて雑事に思えて、

一所懸命に仕事に取り組めない。

物事を甘く考え、小さなことをおろそかにする。

5年後のリーダー

たとえ小さなことでもないがしろにせず、

きちんと結果を残し、期待された以上の成果を上げる。

そこで得た経験をマニュアルに残したり、人に教えたり、

何かを学んで人間成長しようとする。

(13ページより)

目の前の仕事に一生懸命に打ち込む

目の前の仕事に専念せよ。

太陽光も一点に集めなければ発火しない。

アレクサンダー・グラハム・ベル/アメリカの発明家

(16ページより)

新卒で入った日産自動車の3年目、19カ月にわたり、著者は大阪の販売店で車のセールスをしたそうです。最初こそ「メーカーに入社したのに、なぜセールスマンをしなければならないのか」と落ち込み、「同期は本社でスマートな仕事をしているのに…」と焦りにも似た気持ちを感じていたものの、「絶対に社長賞を取って自分の存在価値を見せたい」と思い、ひたすら飛び込み訪問を繰り返したのだとか。多くの本を読み、自分なりにセールストークを工夫しながら、地道にがんばったというのです。

その結果、前任者の9倍の台数を売り、歴代出向者の販売記録を塗り替えて、社長賞を見事に獲得することに。ここで注目すべきは、「あいつはなかなかできる」と感じていた友人たちも、同じように社長賞をとっていたということ。しかし日ごろから疑問視していた人は、社長賞を取らなかったのだそうです。

そこで著者が実感したのは、「できる人は、何事でもきちんと実績をあげるものだ」ということ。人それぞれやり方は違っても、目の前のことについてきちんと結果を残すことが大切。小さなことができなくては、大きなこともできないという考え方です。

「目の前にあることに全力を尽くしていれば、チャンスのほうがあなたを見つけ出してくれる。それがつまり『評価を高める』ことであり、『ひとつのことが次につながる』ということだ」

アンドリュー・マシューズ/オーストラリアのイラストレーター

(20ページより)

勝利に対する大きな夢を持ち続けながら、目の前の小さなことに一所懸命打ち込む。ひとつの夢が達成できれば、また次の夢に対してコツコツと努力をしていく。その繰り返しが人生だということです。

小さなことに一所懸命打ち込んでいれば、やがて周囲からの「あいつに仕事を任せれば安心だ」という信用が、次のより大きな仕事をもたらしてくれるもの。信用は、目先のお金よりも、その人の一生の貴重な財産となっていくということ。つまり、「仕事の報酬は仕事」なのだということ。

「径寸(けいすん)十枚これ国宝に非ず、一隅を照らすこれ則ち国宝なり」

最澄/僧(『山家学生式』より)

(21ページより)

大きな変革を成し遂げた人も、最初はただひとりの小さな行動からスタートし、少しずつその力を広げて人々を動かし、世の中を変えていったもの。いきなり世の中全体を明るく照らそうと考えるよりは、まず自分の持ち場である一隅を照らすことを考えるべきだということです。

世の中全体を明るく照らすためには、太陽のように大きなエネルギーが必要です。とはいえ、最初からそのエネルギーを発揮することは無理な話。だから、まずは自分の足元を照らすローソクの火になることを目指そうと著者は提案しています。ひとりひとりが足元を照らせば、世の中全体が明るくなるもの。そこで大きな志を持ち続けたまま、小さな目の前のことに全力投球する。その一隅を照らす気持ちが大切だということです。(16ページより)

5年後も部下の人

目の前の仕事に「つまらない」と不満だらけ。

自分の仕事に対し、誇りを持っていない。

言われたことだけをして、サボることばかり考えている。

5年後のリーダー

自分の仕事に誇りを持ち、つねに全力投球する。

色々な工夫をして褒められるので、

仕事がますます面白くなり、さらに一所懸命に打ち込む。

仕事の背景や意義なども考えて取り組むから、

期待以上の結果を残す。

そのため、より大きく重要な仕事を任されるようになる。

(17ページより)


よりどころになるものが自分の経験値しかないのだとしたら、先人たちの名言との出会いもおのずと限定されてしまいがち。そういう意味で、著者が自身の体験談とともに多くの名言をチョイスしてくれている本書は、視野を広げるチャンスとなるはず。5年後の自分について考えていくためにも、ぜひ読んでおきたい1冊です。

印南敦史

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