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外国人が剣道に感じる5つの魅力とは?

外国人が剣道に感じる5つの魅力とは?
Nickola_Che / Shutterstock.com

日本文化の一つである剣道。単なる競技としてだけではなく、芸術性や精神性が外国人を惹きつけ、海外でも拡大しています。今回は、外国人が剣道に感じる魅力についてご紹介します。

本記事を書くにあたり、Facebookのグループ「World Kendo Network」でアンケートをとったところ、165人の外国人剣士が回答してくれました(複数回答可能)。そのアンケート結果を元に、ご紹介していきます。

海外での「KENDO」普及状況は?

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Photo: 佐藤まり子

FIKによると、国際剣道連盟が設立されたのは1970年のこと。現在の加盟国は57カ国にものぼります(2015年5月時点)。世界剣道選手権大会は3年に1度開催され、2015年には16回目の大会を日本で迎えました。

世界剣道人口の7割以上を日本人が占めていると言われていますが、今後は海外でのさらなる広がりが期待できるでしょう。なかでも、世界剣道連盟への加盟国が32カ国にものぼるヨーロッパは剣道がとても盛んです。

私が滞在しているオランダにも、15前後の道場があります。オランダの面積は九州と同じくらいなので、けっこうな数の道場数です。

では、外国人剣士たちにとって剣道はどのように受け入れられ、何が魅力とされているのでしょう。外国人剣士165人に聞いた、剣道の魅力TOP5についてご紹介します。

第5位:真剣の演舞が美しい…日本剣道形

日本剣道形(にほんけんどうかた)は、剣道における形稽古です。剣道における礼法、目付、構え、姿勢…様々な基本動作の習得のために稽古をします。

最も基本的な動作を選んで制定された形であり、竹刀稽古と合わせて体得が必須とされていますが、近年は昇段審査や公開演舞のために稽古される傾向があります。

外国人剣士にとっては、真剣での演舞魅力的なようです。あるアメリカ人剣士からは「剣道形の魅力は、リアルな真剣での演舞です。私は、真剣の芸術性に魅力を感じます。」という意見が寄せられました。

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Photo: 佐藤まり子

また、こちらの写真はオランダで友人になった剣士の自宅の写真。刀剣への強い憧れを感じ取ることができます。

「剣道形を学ぶことで、剣道の理念・概念を理解することができます。竹刀稽古でも役立つでしょう。剣道の稽古では真剣を使いませんが、剣道形からは真剣の稽古を感じ取ることができます。(オランダ人男性)」

第4位:3歳から90歳まで…「生涯剣道」

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Photo: 佐藤まり子

剣道には「生涯剣道」という言葉があり、下は3歳前後から上は90歳前後まで剣道をしています。日本で剣道を始めたドイツ人剣士は「お年寄りの先生が競技を続けていることに衝撃を受けた。年をとっても続けられることは大きな魅力」とコメントしていました。

たしかに、剣道ではたまに老人とは思えない動きをする先生がいらっしゃいます。80歳を過ぎて子供と一緒に素振り1000本する先生も…。見ていると「大丈夫?」と正直心配になることもありますが、年を重ねても健康的な方が多いです。

また、「様々なバックグランドを持つ人達が世代を超えてつながっていることが魅力」と答えたアメリカ人も。

町道場では、分け隔てなく、みんなで子どもを育てようというボランティア精神も強いです。様々な年代が所属する道場は、他に類を見ない地域コミュニティとしても機能しています。

第3位:日本人の美意識

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Photo: 佐藤まり子

剣道には、長い歴史の中で培われてきた文化性があります。酒井利信さんの『日本剣道の歴史 英訳付き (剣道日本) 』によると、闘争技術が文化にまで発展したことは世界的に見ても奇妙な現象だそうです。

剣道は、その技術理論が構築されていく過程で神道や仏教、能楽や茶道といった芸道とも親しく関係性を持ち、文化性を備えるようになりました。

特に日本刀においては、折れず、曲がらず、よく斬れるだけではなく、日本人はこれを綺麗に研ぎます。優れた武器を研ぎ上げ、世界的に有名な美術品にまで昇華させる点には、日本人の精神性や美意識が垣間見れます。

また、美意識を感じ取るのは日本刀だけではないようです。

「防具、袴、竹刀、所作…侍の動きに美しさを感じる。(アメリカ人男性)」

職人が作る藍染の道着袴や、手刺しの防具、真竹から作られた竹刀、厳しく定められた所作など、モノや動作に美意識が込められています。

第2位:交剣知愛。剣道を通じた交流

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陽気なオランダ剣道代表選手たち
Photo: 佐藤まり子

交剣知愛」という言葉をご存知でしょうか。

「剣を交えて”おしむ”を知る」を読まれ、剣道を通じて互いに理解しあい人間的な向上をはかることを教えたことばである。愛はおしむ(惜別)、大切にして手離さないということを意味しており、あの人とはもう一度稽古や試合をしてみたいという気持ちになること、また、そうした気分になれるように稽古や試合をしなさいという教えを説いたことば。

出典:剣道用語辞典

あるオランダ人剣士は、「元々はスポーツを始めるような気持ちで剣道を始めたけど、今は剣友がいることが自分にとっては大きい」と言います。

年代、国籍にかかわらず、様々な人と関わり合いながら、人間的にも技術的にも向上できることが剣道の魅力の一つのようです。

第1位:日本人の精神性。心と身体を鍛える稽古

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Photo: 佐藤まり子

稽古のことを英語では「Keiko」「Training」「Practice」と表現しますが、あるスコットランド人の男性は、“Keiko is not training.”と言いました。

全日本剣道連盟のWebサイトには、「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」と記載されています。スポーツとしてではなく、人間形成の道を理念としているところが剣道の大きな特徴の一つ。“Keiko is not training.”は、それが理解されているコメントといえるでしょう。

あるベルギー人剣士は、「何かが出来たとしても、また新たな課題が見つかり、謙虚でいられること」が魅力だそうです。その謙虚さは、剣道の技術向上や身体を鍛えることだけではなく、精神や人格にもあてはまります。このように、絶え間ない向上の気持ちが生まれることを魅力と捉える方も少なくありません。


これまでご紹介してきた剣道の魅力は、外国人剣士だけではなく日本人も感じていることです。

向上心を持ち何かに打ち込む姿勢や、細かな所作にも気を配る美意識・気遣い、「交剣知愛」という言葉に象徴されるように、友情を広め深めようとする心は、日本人が世界に誇る美点ではないでしょうか。

佐藤まり子ブログTwitter

フリーのライター&Webディレクター。2017年5月にオランダに移住し開業準備中。オランダでは剣道セレクトショップBUSHIZO海外版をオープン予定。持っている資格は剣道五段、TOEIC880点。趣味は旅行と読書と寝ることとです。細かいことを気にしない性格です。

Image: 佐藤まり子, Nickola_Che / Shutterstock.com

Source: 日本剣道の歴史 英訳付き (剣道日本), International Kendo Federation (FIK)1, 2

Reference: Wikipedia

佐藤まり子

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