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「Web担当者」になったらまず知っておきたい、サイト運営の基本

「Web担当者」になったらまず知っておきたい、サイト運営の基本
Photo: 印南敦史

Web制作会社としての立場から、業種業態を問わずさまざまな企業と仕事をしてきたと明かすのは『「あるある」で学ぶ 右肩上がりのWebマーケティング』(山道正明著、インプレス)の著者。特筆すべきは、そのような環境に身を置くなかで、「Web担当者の業務の多様化」を実感しているという点です。

その理由として挙げられるのは、新しいテクノロジーやデバイスなどの影響を受け、Webサイトが多くの人にとって身近になっていること。また企業にとっても、事業の成長を目指すために「やらなければならないこと」や「できること」「できそうなこと」が増え、自社サイトの重要性や可能性がますます広がっているといいます。

しかし専門的なノウハウを持っている人ならともかく、これからWebの世界に加わろうとしている人にとってはわからないことも多いはず。だからこそ、本書の役割があるわけです。

本書にはそういった、まだWebの世界に馴染みがない、もしくは馴染みが薄い方々に向けて、どうやって一歩を踏み出せばいいのかをまとめました。

Web担当者のみなさんとの仕事で遭遇した数々の「あるある」を例に挙げ、それに対する解決策を提案するかたちで、Web制作やプロジェクト進行、そしてマーケティング活動に関わる考え方をお伝えしています。(「はじめに」より)

そんな本書のなかから、きょうは基本的な部分であるCHAPTER 1「Web担当者になったときのあるある」に焦点を当ててみます。

サイトの種類を理解する

目的が希薄なまま、誰も疑問を持たずに運営されているサイトもありますが、自社の事業であるからには目的があるはずなので、担当するサイトについてしっかり理解する必要があるわけです。まず知っておくべきは、サイトの種類。サイトの目的は、この種類によってほぼ決まってくるといいます。

・コーポレートサイト

顧客や取引先、投資家などに向け、自社に会社概要や事業、商品、IR、採用などの情報を正確に伝える目的を持つサイトです。

・プロモーションサイト(ブランドサイト)

商品やブランドなどをユーザーに広く訴求する目的のサイト。キャンペーンや採用情報などを期間限定で公開する場合もあります。

・ポータルサイト

ニュースや役立つ情報を発信するポータル(玄関)となるサイト。多数のアクセスが期待でき、プロモーションや広告収益を目的としています。

・ECサイト

商品やサービスを提供するサイト。「ネットショップ」とも呼ばれます。売上や利益に直結するため、特に事業性が高いと言えます。

・SNS

フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、LINEなど、コミュニケーションを行うサイトです。広告やクチコミの活用が有効です。

(以上19〜20ページより)

そして、サイトの持つ「機能」は次のとおり。果たすべき目的に合わせ、複数を組み合わせて実装されているのが一般的だそうです。

・全文検索

ユーザーが入力したキーワードで情報を探しやすくする機能。コーポレートサイトやポータルサイトでよく見られます。

・フォーム

「お問い合わせフォーム」が代表例。ユーザーが送信した情報を受け付けるための機能で、資料請求や各種申し込みなどにも使われます。

・会員登録/マイページ

ユーザーの氏名や住所などを個別に管理する機能。ECサイトには必須で、アカウントごとのログイン機能も伴います

・デバイス最適化

PC、スマートフォンなど、複数のデバイス(端末)に最適な見た目でサイトを表示する機能。多くのサイトで実装が進んでいます。

(以上21ページより)

これらは一例ですが、担当するサイトの目的を理解するうえでのヒントになるはずだと著者。これから新しくサイトをつくるときにも、そのサイトが果たすべき目的を強く意識することが大切だといいます。(18ページより)

5つのフェーズで制作が進む

Web担当者になったからといって、自分が実際にサイトをつくるわけではなく、Web制作会社に依頼(発注)するのが一般的。Web担当者は制作会社に指示を出す、つまりディレクションする役割にあるわけです。ディレクションとは、「どの段階でなにを進行させるべきか」「なにが決まっているべきか」といったことを把握し、管理すること。そのため、次のようなWeb制作の大まかな流れを理解しておくことが重要。

1.調査→2.要件定義→3.設計→4.運用

(23ページより)

こうしたステップを、Web制作では「設計フェーズ」「制作フェーズ」など「フェーズ」と呼ぶことが多いそうです。そしてこのように分かれている理由としては、各フェーズで撮られた合意内容を元に、次のフェーズを進行する必要があること、そしてフェーズごとに検討が必要な情報や担当が異なり、わかりやすく切り分けていることなどがあげられるといいます。各フェーズについて確認してみましょう。

調査:サイトの課題を浮き彫りに

自社のビジネスや商流、ターゲットとなるユーザー、競合他社および競合サイトについて調査し、社内はもとより制作会社との間で共有するためのフェーズ。既に存在するサイトを改修(リニューアル)する場合は、アクセス解析のデータやユーザーへのアンケート、お問い合わせ内容なども調査対象とすることに。

当事者間で情報を吟味し、「なにが課題なのか」について共通認識を持つためのフェーズだといってもいいと著者は記しています。必要な情報の多くは自社に眠っているため、制作会社への情報提供が不可欠。

要件定義:課題解決の方法を吟味

調査によって明らかになった課題を解決する方法を考え、新しいサイトや既存サイトのリニューアルでなにを達成するのかを決めるフェーズ。調査を踏まえて制作会社が提案をまとめ、自社がそれを吟味するわけです。

ここで注意すべきは、サイトの完成=サイトの目的達成ではないということ。サイトの完成は、あくまでスタート地点。そのサイトを通じて、ビジネスの目標を達成するのに必要な機能が、要件として盛り込まれているかを判断する必要があるということ。しっかり定義された要件は、その後の制作で意見のズレが生じたとしても、正しい方向に戻すための判断材料になるといいます。

設計:サイトの構成や動作を考える

定義した要件を満たすサイトを、制作会社が設計するフェーズ。基本(概要)設計と詳細設計に別れることが多く、ワイヤーフレームなどの資料をもとに、あるべき姿を検討するわけです。

基本設計では、ターゲットとなるユーザーにどのような体験を提供するのか、そのためにはどのような構成やレイアウトであるべきかなど、サイト全体の要素を決定。詳細設計では、ページ個別の内容や各機能の動作といったサイトそのものの設計の他に、評価に指標やリリース後の運用体制などの設計も。

制作:社内調整しつつ見た目を固める

サイトを実物に近い形で見られるようになるフェーズ。ここでは、狙いや意図が反映されているかを基準に、しっかり確認することが重要。また、実際にサイトを閲覧できるようにするためのコーディングやシステム開発なども、おもに制作会社側で行われるそうです。

運用:更新作業とPDCAのはじまり

完成したサイトをユーザーに公開し、日々の更新を行うフェーズ。サイトは「つくって終わり」ではなく、継続的に改善していくことも大切だと著者は主張します。よって公開後はアクセス解析やアンケートなどの手法を用い、サイトの目的が当初の意図どおりに達成されているかを評価し、問題点(新しい課題)に対応していく作業、つまりPDCAが不可欠

Web担当者の真価は、サイトの制作「後」に問われるもの。運用とは自社サイトがもたらすビジネスの成果を検証し、それを最大化させるフェーズだともいえるそうです。

以上、こうした各フェーズでやることを踏まえて全体の流れを知るだけでも、心強さが格段に違うのだとか。(22ページより)


注目すべきは、「すべきこと」を時系列でカテゴライズしている点。つまり、本書の流れに沿って読み進めれば、Web担当者としての広い視野を得ることができ、あらゆるノウハウを身につけられるわけです。Web制作に携わる方にとってはオススメの1冊です。


印南敦史

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