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「有害な」上司を持つ従業員のほうが熱心に働く?:研究結果

「有害な」上司を持つ従業員のほうが熱心に働く?:研究結果
Image: andriano.cz / Shutterstock.com

人間、さらにはこちらの愉快な実験からわかるように、サルでさえも生まれつき「公正の観念」を備えています。良い行いには褒美が、悪い行いには罰が、それぞれの影響度に応じて与えられることを望んでいます。もちろん、世の中では必ずしもその通りに事は運びませんが、何はともあれ公正であってほしいと考えているのです。

しかし残念ながら、コンサルタントの「Life Meets Works」が行った新しい研究で、「有害な」上司に関して言えば、公正であってほしいという希望は打ち砕かれてしまいました。その研究結果によると、有害な上司が速やかに罰を受けることはありません。そればかりか、部下をいじめる上司は、部下がより積極的に仕事に取り組むという見返りを得ることが多いというのです。

けれども、それほど腹を立てる必要はありません。そういった因果関係はやがて薄れ、長い目で見ると、有害な上司は当然の報いを受けることになります。ただし悲しいかな、目先のことしか考えない一部の企業はまず先に、「イヤなヤツ」を雇った方が利益が上がると信じ込んでしまうのです。

部下は有害な上司のためにより懸命に働く?

「Life Meets Work」が先ごろ、アメリカの大卒従業員1,000人を調査したところ、56%もの回答者が「自分の上司は有害だ」と答えました。これほど多くのイヤな上司が企業で生き残って昇進できたのはどうしてでしょうか? それはおそらく、部下を軽んじるなど、有害な振る舞いをする管理職の下で働く部下の方が実際には、公正に扱われている部下よりも懸命に働くからです。

実に腹立たしいことですが、それが調査でわかった実態です。「きわめて有害な上司――部下を絶えずいじめたり傷つけたりする管理職――の下で働く人は、そうでない従業員よりも仕事熱心になる傾向があります」と、「Life Meets Works」のVanessa Fuhrmans氏は話しています。この研究では「有害な上司を持つ従業員は、そうではない従業員よりも平均して2年長く会社に留まる」こともわかりました。

こうした結果にそれほど腹を立てる必要はない

今回の結果は明らかに、思いもよらないないほど多くの有能な人々が、イヤな上司の下で頑張って働いていることを示しています。けれども、良く考えてみると、この結果がそれほど腹立たしいものではない理由がいくつか見当たります。

1つ目の理由は、研究方法です。仕事熱心ではない人々は、「有害な上司の下でも辛抱強く働こう」という意欲があまりないので、イヤな上司だとわかると辞めてしまうことが少なくありません。つまり、仕事に熱心ではない従業員はいち早く、部下に優しい温厚な性格の管理職のもとへと移っていきます。でも、熱意のある労働者は上司にいじめられるような環境であっても辛抱して働きます。このような分離が起きるため、調査結果が歪められてしまうのです。有害な上司が部下の熱意を引き出すわけではありません。仕事熱心な従業員が有害な上司の存在を我慢してしまうのです。

さらに、管理職も従業員もともにそうした行動に出てしまうのは、使命感があるから、あるいはより高い役職から重圧を受けているから、という場合があるのも事実です。「今回の研究結果によると、競争が激しく、生きるか死ぬかという社風の企業で働く従業員は、有害な上司の下で働いていると答える場合が多くなっている」とFuhrman氏は述べています。

いつか必ず報いを受ける

けれど、こうした状況に絶望すべきではない理由は他にもあります。上司の非道な行いは短いスパンで見ると成果をもたらしますが(少なくとも成果を阻むことはありません)、長期的に見て従業員が成功できる社風を築きたいのであれば、有害な上司の存在はきわめて不都合です。「Life Meets Work」のリサーチ部門を率いるKenneth Matos氏によると、有害な上司の存在はやがて高い離職率へとつながり、従業員の燃え尽き(バーンアウト)訴訟のリスクを高めるそうです。そうなるのに時間がかかるだけなのです。

部下をいじめる上司は良い結果を生むという「Work Meets Life」の検証内容に対する反論材料を探しているなら、「虐待的な管理体制は企業に年間238億ドルの損害を与えるという推定」を示した2006年の研究を見てほしいとFuhrman氏は勧めています。

上司の有害な行いは、ある程度のあいだは成果をあげるため、いじめやいじわるな行為は利益につながるのだと勘違いしてしまう企業が出てくるのは何とも残念なことです。しかし長い目で見れば、そういった企業も部下に大目に見てもらっている有害な管理職もともに、愚かな振る舞いに対する報いを受けることになるでしょう。

この世には確かに、ある程度の公正さが存在します。ただ、それが明らかになるまでにはじれったいほど長い時間がかかるものなのです。


Study: Employees With Toxic Bosses Actually Work Harder and Stay Longer | Inc.

Image: andriano.cz / Shutterstock.com

Source: npr, Life Meets Work, Inc,The Wall Street Journal

Reference: PDXScholar

Jessica Stillman(原文/訳:松田貴美子/ガリレオ)

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