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「ハードワーク」についての大きな嘘

「ハードワーク」についての大きな嘘
Image: Nattanee.P/shutterstock

Inc.「ハードワークが成功につながる」という決まり文句は間違っています。ハードワーク、つまり、1つの目標に向かって長時間働くことは、むしろ失敗の温床です

説明のために、オリンピック選手について考えてみます。オリンピック選手は1日に何時間もトレーニングに費やします。しかし、選手もコーチも、過度のトレーニング(あまりにも厳しく、あまりにも長く、あるいは、間違った方法で訓練する)がケガを誘発し、勝つための力を弱めてしまうことを理解しています。

これと同じことがビジネスにも当てはまるのです。長時間労働を続けると、すぐに燃え尽きて、生産性が低下します。 そうなった人はくだらないミスをし、自分や周囲の人に余計な仕事を増やすのです。

また、”ハードに働く”人たちが、あまり役に立たないか、むしろ逆効果となるような仕事にエネルギーを注いでいるのを見かけます。たとえば、ひっきりなしに細かいことまで口をはさんでくるマイクロマネージャーです。そうした上司がハードに働けば働くほど、周囲に悪い影響がどんどん広がっていきます。

ハードワークは、機が熟す前にことを起こそうと無理をしたときに害悪となります。たとえば、潜在的な顧客をうんざりさせる、押しが強すぎるセールスパーソンなどがその良い例です(中国ではこれを「苗を引っ張って生長を助ける」と言います)。

また、ハードワーカーがハードワークをやめるべき時を知らないと問題です。その一例は、設計が”完璧”になるまでやめられないエンジニアでしょう。

もう1つの事例は、「分析麻痺」です。意思決定者が考えることにハードワークしすぎた結果、何も行動に移せなくなります(中国では、この傾向を「蛇を画きて足を添う」と言います)。

また現実の世界では、ハードワークの結果、キャリアが行き詰まってしまうこともあります。成功したエグゼクティブは、ハードワークよりも政治に精通しているものです(ハードワークをしているように見せかけられるほど政治に精通している)。

また、多くの組織で最もハードに働く人たちが、貧乏くじを引かされています。筆者はかつて、誰もコードを書こうとしないプログラマーのグループと一緒に仕事をしたことがあります。なぜなら、コードを書くと永遠にそれをメンテナンスしなければならず、新しいプロジェクトに移れなくなることがわかっているからです。

ハードワークのためのハードワークは、創造的な仕事をしている人にとっては特に有害です。人は集中して仕事をする時間と、リラックスする時間を交互に持つほうが、創造性が高まります。筆者も経験上、一度に何時間も連続で執筆しようとすると、創造性がすり減ってしまうことに気づいています。執筆以外の活動に精を出していなければ(趣味など)、何も書けなくなる地点まで追い込まれてしまうことでしょう!

成功は、ハードワークそのものからではなく、行動するのにベストなタイミングを知り、実際に行動することでもたらされます

「ハードワークが成功をもたらす」という言い方は、それだけでは「テレビでイッキ見をすると失敗する」と言うのと同じくらいバカげています。もし精神的に疲れていて、創造性がなくなっていると感じるときは、イッキ見が最高の戦略であることもありえるのです。頭をリラックスさせ、ストレスから解放してくれる可能性があります。

死の床で「オフィスでもっと時間を過ごしておけばよかった」と言った人など、ほとんどいないはずです。ある意味では、「ハードワーク」は成功の反対を意味します。ハードワークの報酬は、さらなるハードワークであることもよくあります。何百万ドルものお金を蓄えた筆者の叔父にとって成功とは、「いつでも好きなときに昼寝ができる」ことだったそうです。

「ハードワークが成功をもたらす」というコンセプトを鵜呑みにする前に、そのアドバイスをあなたにしたのが誰だったのか?を思い出してください。それは、あなたがハードワークをすることで利益を得る人たちではありませんでしたか?


The Big Lie About Hard Work|Inc.

Image: Nattanee.P/shutterstock

Geoffrey James(訳:伊藤貴之)

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