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ライオンが人間を食べた、意外な理由とは?

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ライオンが人間を食べた、意外な理由とは?

ギズモード・ジャパンより転載:1898年、ケニアで2頭のライオンが人間を襲って食べる事件がありました。当時、現場ではツァボ川にかかる鉄道橋の建設が進められており、その作業員135人が食べられたとされました。後の調査で、実際に2頭の犠牲になったのは35人だったとわかりましたが。しかし、このライオンたちが人間を狩った理由はまだ不明なのです。

人食いライオンの専門家であるフィールド自然史博物館のブルース・パターソン氏は、彼らが人を食べるようになった原因を理解すべく、ライオンたちの頭蓋骨と歯の分析を続けています。一般的には、ライオンは人間を食べません。私たち人間は、獲物としては最後の手段のようなものですから。しかし、ライオンたちはさまざまな要因から異常に振る舞い、異なる獲物を求めることがあります。そして人を食べるようになった理由は単なる飢えよりも、はるかに奇妙なものだとパターソン氏は考えています。彼が思うに、歯の疾患が原因かもしれないというのです。

「ライオンたちは歯で噛み殺すのだ」とパターソン氏は教えてくれました。1頭の人食いライオンの下の犬歯には、圧力からおそらく耐え難い痛みを生み出していたであろう、根尖周囲膿瘍がありました。ライオンはヌーのような大型な獲物を仕留める際に、歯で獲物の喉笛を押さえ付けるものです。「水牛を仕留められないようなら、逆に殺されかねないから飛びつくべきじゃない。なので到着した3,000人の鉄道作業員は、かなり興奮したライオンに出くわしたはずだ」

パターソン氏がライオンの歯の微小摩耗を調べてみたところ、驚くことに、どこもいたって普通に見えたようです。もし歯が擦り減っていたなら、このライオンたちは多くの骨を食べ、そして飢えた彼らは最後の手段として人間を食物としていたことを示していたかもしれません。しかし、パターソン氏と共同著者が先日Scientific Reportsに発表した情報では、ツァボのライオンたちの歯は健康的な食生活を送る、飼育されているライオンのような歯だったとのこと。そして歯の根尖周囲膿瘍があったため、有蹄動物よりもやわらかい人間を食すようになったのではないかと歯の疾患説を唱えたのです。

ライオンが珍しい獲物を食すかもしれない理由は他にもたくさんあります。ミネソタ大学のライオン研究センター所長のクレイグ・パーカー研究員は、歯の疾患のせいでライオンが人を殺したとは思えないと語りました。「人食いが起きたのは、とても重い牛疫(訳注:ウィルス性の牛の病)の発生と同時期だった」ので「自然界にあるライオンの獲物の多くが死んでしまった。非常に飢えた肉食動物に、いつもの獲物がない時期だったのだ」との見解を示しています。この説では人食いライオンの歯に特徴的な摩耗がない理由の説明にはなりませんが、歯の疾患説には疑問を投げかけることになりそうです。

パッカー氏は、人を食べた他のライオンの多くには、そういった歯の疾患はみられなかったと指摘しています。「連関のように見えるかもしれませんが、ただの相関なのです」パッカー氏とパターソン氏の両氏が挙げる説は他にもあります。例えばライオンたちが人間を狩ったのは、長年にわたってライオンの縄張りを侵してきたからだとする説。パターソン氏によれば、「アフリカのライオンで頻繁に人間に出くわさないものはいないと思う」とのこと。

人間たちが長いこと未開の地で交通路の建設に勤しみ、時に命を落とすなかで、彼らの身はまるでただ飯同然だったのです。パッカー氏が指摘したように人食いライオンが出たのは1898年の事件だけではありません。1991年にはザンビア、ムフウェのライオンによって6人が食べられました。こうやって長期にわたって、私たちはライオンが人を食べた理由を解明しようと務めていますが、明確な理由が未だ出てきません。

top image: Ivan Kuzmin/ Shutterstock.com source: Scientific Reports, Smithsonian

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文

たもり

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