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購買力が「日本の5倍」になる中国でモノを売るために必要なこと【ライフハッカーJOB】

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購買力が「日本の5倍」になる中国でモノを売るために必要なこと【ライフハッカーJOB】

BIZREACHが運営するウェブメディア「BIZREACH FRONTIER」では、FinTech、VR/AR、人工知能など、最先端の分野にチャレンジし、いま、ではなく未来、「次の時代の当たり前」になるサービスや技術を作らんとする日本の企業を紹介しています。


ライフハッカー[日本版]では、毎週その中から1本の記事をセレクト。前人未踏の領域へとチャレンジする日本企業をご紹介していきます。



日本に拠点を置いたまま中国市場でものを売る




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今や国内のEコマース市場は成熟し、もはや商品の品ぞろえと経営体力、物流の仕組みといった「規模」が勝負を決する状況になりつつある。ベンチャー企業がこれから参入できる余地は少なく、かつ日本全体で見ると今後は人口の減少とともに市場が縮小していく可能性が高い。そのような状況のなかで今、大きな注目を集めているのが、国をまたいで取引を行う越境ECビジネスだ。とくに中国への越境ECは2015年の時点で市場規模約5兆円、このまま成長すれば近い将来には20兆円を超すといわれている。


「ここ数年で中国の北京や上海といった都市部の平均月収は18万円ほどに上がりました。夫婦共働きが一般的であるため世帯の月収は30~40万円、年収は500万円ほどになります。そうした世帯に属する人たちが、今では上海、北京に約2億人もいるのです。彼らの購買力は非常に高く、今では上海のマンションやランチの価格は東京より高いほどです。さらに都市部の人口は2025年までに5億人にまで増加するといわれています。対して、日本の総人口が1億人強、そして世帯収入の平均所得額が500万円強。つまり2025年の中国市場は、現在の日本の約5倍もの購買ポテンシャルを秘めているのです」


中国と日本の双方に拠点を持ち、ワンストップの越境ECプラットフォーム「豌豆公主(ワンドウ)」を運営するInagora(インアゴーラ)株式会社の翁永飆(おう・えいひょう)CEOは、越境ECの可能性についてそう語る。


今、中国では「爆買い」の主流だった富裕層に加え、ここ数年で豊かになった新中流階級の人たちが、よりクオリティーの高い商品を求めるようになっている。とくに化粧品や食品、医薬品や子供用品などは、多少高くても安心できる外国製品を使いたいという人が多い。また高いクオリティーの要望に中国の製造業が対応できておらず、日本製品の人気がますます高まっているのだ。逆に言えば、これまで手が届かなかった日本製品を買える人が増えているということでもある。


「現在、中国の越境ECマーケットのなかで日本製品は5割の比率を占めています。中国人の生活習慣は、欧米人より日本人に似ています。家は狭いし、背丈や肌の色も近い。そこで、服や化粧品、サプリメントなどの日用品は、欧米のものより日本のものが圧倒的に好まれます。ただそのような需要に応じて、日本企業が現地法人を設立して中国でビジネスを展開するのはハードルが高いのも事実です。日本企業の体質や文化が中国のビジネス環境と合わず、失敗して撤退するケースも少なくありません。そこで事業の拠点は日本に置いたまま、中国市場でものを売ることができる越境ECに注目が集まっているのです」



カギは現地に徹底的に寄り添うマーケティング




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ただ一口に越境ECといっても、さまざまなビジネスモデルが存在する。現地の大手ECプラットフォームに直接出店したり、代行業者に委託したり、また現地の越境ECサイトに商品を卸したりなど、選択肢は豊富だ。しかしそれらの多くは中国の企業と直接やり取りをする必要があり、予想以上にコミュニケーションコストがかかることが通例だという。商習慣上のトラブルが起きる可能性も高い。


それ以上に難しいのが「日本で売れている製品を、そのまま中国に持っていっても売れない」ということだ。越境ECの場合、日本から製品を送るため、関税や輸送費の関係上、どうしても現地で買うより価格が高くなる。当然、ECサイトで注文してから消費者の元に届くまでにも時間がかかる。それでもあえてその商品を購入したくなるほどの魅力を、中国の人に感じてもらわなくてはならない。


また欧米人ほどではないにしろ、中国人と日本人との間にはやはり文化や習慣、ライフスタイルの違いがある。扱う商品のなかには中国人にとってなじみがない商品もあるだろう。そのようなアイテムを中国人向けに丁寧に紹介しなくてはならない。つまり越境ECビジネスでは、中国人に特化したマーケティングを、どこまできめ細かくできるかが命運を分けるのだ。翁氏はかつて日本最大手のECサイトを運営する会社で、海外ビジネスの立ち上げなどを経験していた。だからこそ、日本製品と海外の買い手との違いを埋める重要性を熟知しているのだ。


「日本の通販サイトだとまず商品の写真を掲載するのが普通ですが、私どものコンテンツでは、最初にユーザーからの投稿写真を掲載します。中国人はメーカーの言うことより、身近な人のリアルな言葉のほうを信じるからです。また中国人はせっかちなので、日本のように順を追って商品説明をしても最後まで読んでくれません。他の製品とどこが違うのか、何が良いのかを短いキャッチコピーで、端的に説明する必要があります。これももちろん日本企業が考えたキャッチコピーをそのまま翻訳するのではなく、中国人の心に刺さるように切り口を変えなくてはなりません。ただ、せっかちである一方で、中国人は気になったら製品の細かなところまで尋ねてくることが多いので、コンテンツの後半では使い方や機能、素材などについてもかなり丁寧に詳しく説明しています」


Inagoraでは現地のウェブマーケティングのプロフェッショナルが動画やSNSを駆使し、中国人のための徹底したコンテンツマーケティングを実施している。社内にビデオ制作チームがあり、中国人に大きな影響力を持つブロガーやモデルを起用し、まるでテレビ番組のような本格的な動画を制作し、膨大な量を掲載している。また、ひな祭りやお茶漬けなど、日本の文化を紹介する特集もひんぱんに組み、関連した商品の案内をしている。


さらに現地でのイベントやサンプリング、テレビ番組とのタイアップ、SNSの運営などで集客やブランディングなどのプロモーションも行う。このようなきめ細かなサービスは、中国にも拠点を持ち、自らプラットフォームを運営しているInagoraの圧倒的な強みといえるだろう。



今後はこのビジネスモデルを東南アジア全体で展開




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またInagoraでは、中国人のニーズをつかみ、中国市場に合わせた商品開発を日本の企業に提案することも行っている。例えば「一人っ子政策」が終わり、第二次ベビーブームを迎えている中国ではベビー用品がとてもよく売れる。そこでそのような製品の開発を日本の企業に働きかけるのだ。さらに同社では現在、中国を相手に展開しているこのビジネスモデルを、それ以外の東南アジアの国々でも展開することを考えているという。


「マレーシアなど東南アジアの人々は、中国のトレンドに影響を受けやすく、中国で売れたものは東南アジア全体で売れる可能性があります。私どものコンテンツの言語を変え、丁寧にローカライズすれば、マレーシアやベトナム向けのサービスとして展開することもできます。商品の発送に関しても、すでに日本からまとめてパッケージで送る体制を構築しているので、送り先を変えるだけで済みます。東南アジアはPayPalなどの電子決済の利用率が高いので、決済もよりスムーズに行えるでしょう」


このように越境ECは、今後の東南アジア全体の成長を取り込める大きなポテンシャルを持っている。日本市場が縮小していくなか、インバウンドに続き、越境ECに大きな注目が集まっているのは自然な流れだといえるだろう。とりわけ日本企業にとって、出店サポートからコンテンツ制作と運営、物流、中国でのマーケティングまでをワンストップで提供してくれるInagoraのサービスはメリットが大きい。日本企業側は日本語の製品情報を渡し、商品をInagoraの倉庫へ発送するだけ。あとはすべて同社がやってくれるので、手間がかからず、リスクも少ない。現在、Inagoraが取引する企業は約200社、約2,000ブランド、商品数は約3万SKU(Stock Keeping Unit/最小管理単位)に達するというが、その急成長ぶりもうなずける。


現在、日本の製造業は中国の10年ほど先を進んでいるという。しかし今後、中国製品の品質が向上し、日本に追いつくことも考えられる。日本製品にあこがれを持つ世代が多い今のうちに、どれだけ日本の製品やブランドのファンを増やせるかが勝負でもある。日本企業にとって今はその絶好の機会であり、ここで乗り遅れてしまえば「世界の工場」である中国に世界中の市場を席巻されてしまう可能性もある。日本の製造業の弱体化が叫ばれて久しい昨今、実はInagoraのようなサービスこそが日本の市場競争力を高めてくれるのかもしれない。


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