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TEDトークに学ぶ、プレゼンテーションを短時間に収める唯一の方法

TEDトークに学ぶ、プレゼンテーションを短時間に収める唯一の方法

Inc.:先日、今年のTEDカンファレンスで目立っていたスピーカー2人と直接話す機会がありました。2人とも、ディープな科学に関する著書がある大学教授です。TEDは時間制限が厳しいことで有名であり、彼らが短時間に情報を詰め込むテクニックは、あらゆるコミュニケーターにとって有益な情報となるでしょう。

その1人、アダム・アルター氏は、ニューヨークタイムズのベストセラー『Irresistible』において、依存性のあるデジタルテクノロジーの隆盛や、ゲームやアプリが人々をとらえて離さない理由について考察しています。同氏は社会心理学者であり、ニューヨーク大学スターン校でマーケティングを教える准教授でもあります。

アルター氏の本は8万ワードにも及ぶ大作ですが、TEDトークではそれを9分に収める必要がありました。しかも本の内容は、説得力のある豊富な内容と、依存性の背景にある神経科学の詳細説明が盛りだくさんあり、どこを切り捨てるのも難しい状況でした。私たちがスマホに1日1時間から4時間もの時間を費やす理由を知るためには、脳の働きや、開発者が依存性のある体験をどうやって組み込んでいるかを知る必要があるのです。

本の主な内容を全部紹介するには、最低でも90分は必要だとアルター氏は言います。もちろん、それはTEDでは受け入れられません。でも、講師であり心理学者でもある彼に取って、対策はお手の物でした。

何よりも、知っていることをすべて詰め込もうとしないことです。9分に複数のアイデアを濃縮して詰め込むのは無謀です。


彼は、1つのアイデアに集中して講演を作り上げました。挑戦したことがある人はわかると思いますが、これが、言うは易く行うは難しのアプローチなのです。

すべてのアイデアが我が子のようで、どの子もトークで紹介したくなってしまいます。でも、最終的には必ず誰かを選ばなければなりません。できるだけ多くのアイデアを伝えたいと思いがちですが、それは間違いなのです。


アルター氏は、本の非常にわずかな部分に過ぎないメッセージを1つだけ選び、トークで伝えました。しかし、その後メディアからのインタビューが殺到しており、トークが観衆の心をつかんだことを実感しているそうです。彼が選んだアイデアとは、「stopping cue」。つまり、やめるキッカケです。

テクノロジーの使用をやめられない主な理由の1つは、テック系企業がやめるキッカケを消し去ったから。やめるキッカケとは、「新しいことに移らなきゃ」と思わせるシグナルのことです。


1つのアイデアに絞り、肉付けする


TEDのキュレーターであるクリス・アンダーソン氏も、1つの大きなアイデアをもとにプレゼンテーションを組み立てることを強く推しています。彼は著書『TED Talks』にこう記しています。

限られた時間内で、1つだけのアイデアをできるだけ徹底的かつ完全に示すのが鍵です。


スタンフォード大学のロバート・サポルスキー教授は、世界でも有名な神経科学者です。新刊『Behave』では、人間が暴力行為に参加してしまう複雑な理由を考察しています。800ページにもおよぶ大作で、神経科学、人類学、心理学、遺伝学、進化生物学、政治科学、コミュニケーション理論など、内容は多岐にわたります。TEDカンファレンスでは、そのすべてを15分に収める必要がありました。

私は、彼がTEDトークを行ったサンフランシスコのPrezi本社から、サポルスキー教授に話を伺いました。彼のトークは、Prezi社の新たな「拡張現実」テクノロジーを使ってライブ配信された初のプレゼンテーションです。教授は、バンクーバーの画面に表示されるコンテンツをインタラクティブに操りながらプレゼンテーションを行いました。スタジオやグリーンバックは使用していません。

サポルスキー教授は、ストーリーをビジュアルで示すことで、15分間に山のような科学を詰め込むことができたと言います。それと、過去に大学院生がプレゼンテーションをするときに自分が与えていたアドバイスを参考にしたそうです。それは、すべての研究を1つの重要なメッセージにまとめ、1つの短いパラグラフにした後、さらに1つのセンテンスに絞ること。

つまり、たった1つのセンテンスでも、多くのことを語れるのです。プレゼンテーションのエッセンスを1つの中心的アイデアに濃縮することで、オーディエンスに強烈な印象を与えられるでしょう。

The 1 Tip Key to Keeping Presentations Short and Engaging, According to This Year's TED Speakers | Inc.

Carmine Gallo(訳:堀込泰三)

Photo by Shutterstock.


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