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実用的文章においては「新聞記事のような文章」はNG? 文章を読みやすくする接続詞の重要性

実用的文章においては「新聞記事のような文章」はNG? 文章を読みやすくする接続詞の重要性

文章が一瞬でロジカルになる接続詞の使い方』(吉岡友治著、草思社)の著者は、駿台予備学校、代々木ゼミナール講師を経て、現在はインターネット講座「VOCABOW小論術」の校長を務める人物。本書の冒頭では、テーマとなっている接続詞について次のように述べています。

「接続詞」とは別名「つなぎことば」と言われます。前の文と後の文の関係を明確にして、文章の流れを整える役目ですね。名詞とか動詞のように、内容を直接表す言葉ではないので、今までは、どちらかと言えば、補助的な要素とみなされて軽視される傾向がありました。しかし、実は、自分の述べたいメッセージを、正確で効率的に、わかりやすく伝えるのに欠かせない言葉でもあるのです。(「はじめに」より)

接続詞を正確に使えるようになれば、文章の洗練度を確実に向上させられると著者は記しています。なぜなら文章の内容に関わらないだけに、いいたいことをあまり変えなくても、よりクリアないい方に直せるから。それどころか、接続詞を変えるだけで、目の前にある文章の「どこが述べたりないのか」「どこが余計な記述なのか」も自然に見えてくるのだといいます。

つまり決して補助的な要素ではなく、文章の流れと構造、その意味内容までを決定する大切な要素だということ。そこで本書では、主要な接続詞を取り上げ、例文を交え、その意味と用法の違いを解説しているわけです。

きょうは第1章「接続詞の役割は何だろう?」に焦点を当て、接続詞の基本を確認してみましょう。

接続詞は「無駄な穴埋め言葉」ではない

接続詞は、前の文と後の文をつなぐための言葉で、代表的なものは「そして」「しかし」「だから」など。国語の試験などでは、接続詞の穴埋め問題もよく出題されます。たとえば次の例題は、3つの文から成り立っています。文1.と文2.の間、文2.と文3.の間に接続詞が入るわけです。

【例題】



1. 神社には鏡や珠や剣が祀られています。

2.[ A ]それらは、仏教寺院にある仏や菩薩、観音などの「ご本尊」とはちょっと性格が違います。

3.[ B ] 鏡や珠や剣は、神々や神霊が一時的に憑依するためのご神体であり、神そのものの具象的な表現ではないからです。


問:空欄[ A ] [ B ]の中に入る言葉を次から選び、記号で書きなさい。

ア そして

イ なぜなら

ウ また

エ したがって

オ たとえば

カ しかし

(16ページより)

[ A ]にはカの「しかし」、[ B ]にはイ「なぜなら」が入るわけです。まず[ A ]の前の文1.では「神社」の話をしているのですが、文2.で話題になっているのは仏教のお寺。神社とお寺は似たような感じですが、文2.の末尾に「性格が違います」とあります。

そのため「似たような感じ」とは反対の意味の言葉に結びつけられ、ちょっと意外な展開になっています。だから「しかし」という逆説=反対の内容を表す言葉が入るということ。

一方、文3.の最後には「…からです」とあり、文3.は直前の文2.の理由になっています。そのため[ B ]には「なぜなら」という理由を表す接続詞が入ることになります。

それぞれの接続詞には特有の表す意味があり、前後の文の内容に従って、真ん中でつなげるのが「接続詞」という種類の言葉。

[接続詞] = [特有の意味がある]+[前後の内容に対応する]

(18ページより)

つまり接続詞の働きは、このような式でまとめることができるのだと著者はいいます。(16ページより)

実用的文章では接続詞が大事

日常生活で書く文章は、小説に代表されるような「文学的文章」であることはめったにないもの。むしろ「実用的な文章」は、なにかを説明したり意見や考えを述べたりすることが圧倒的に多いはずです。そして、「どう書いたら伝わるか?」について悩むのも、このタイプの文章だと著者は指摘しています。

このような文章の目的は、相手が知らなかったり誤解していることに対して「新しい情報・考え方」を示し、相手の理解を深めたり、好意を促したりすること。とはいえ新しい内容であるだけに、すぐには飲み込みにくいものでもあります。そこで、読者の理解を楽にしてあげるための工夫が必要だという考え方。

たとえば、もしも「道の美観が損なわれる」ことを気にして道路標識を外したとしたら、事故を引き起こす危険が高くなります。道路は人や物を移動させる手段なのですから、重要なのは美観よりも安全であるわけです。

同じように、日常生活で書く「実用的な文章」においては、「重厚味がなくなる」という美的観点よりも「誤解を生まない」ことのほうを優先させる必要があるということです。

もちろん意図的に「一読してわかりにくい文章」を好む人もいますが、それはあくまで例外的な存在。早くきちんと理解したいのに、わざわざわかりにくい文章を読みたいという人はいないので、「実用的な文章」ではわかりやすさが優先されるわけです。

文学的文章 美観◎ わかりやすさ△

実用的文章 美観△ わかりやすさ◎

(31ページより)

ちなみに「新聞記事のような文章を書けばいいのか」と感じる人もいるかもしれませんが、新聞記事はお手本にならないと著者はいいます。理由は簡単で、事件=「起こったこと」を描く際には、基本的に時間の流れに従うものだから。そのため、接続詞は少なくていいわけです。

もちろん、説明したり意見を述べたりする記事も存在するでしょう。しかし、そのレベルは必ずしも高くはないというのです。新聞記事は「中学2年生にもわかるように書くべきだ」といわれます。そのため複雑な理屈を入れることは許されず、既知の情報から簡単に予想できる範囲の内容に限られることになります。すると当然、接続詞の必要性も低くなってくるというわけです。

たしかに意見文である新聞コラムなどでは、かなり特殊なスタイルが用いられます。たとえば普通の文章では使われない「▼」を段落の代わりにして、そこで内容の飛躍をすることがあるのです。

…もはや祭典が無条件に歓迎される時代ではないようだ。…2004年のアテネ五輪で多くの施設を建設したが、その後は放置されているものが目立つ。▼債務危機に苦しむギリシャは、借金の返済のため、空港や港湾、公営企業など売れるものは何でも売る姿勢だ。ただ、後の計画もなく造られた五輪施設には「買い手がつきそうにない」との声がある。無駄遣いの象徴になっている。▼さて4年後の東京五輪である。当初7億円とされた開催費用は見積もりの甘さや資材の高騰で、2兆円とも3兆円とも言われるようになった。(朝日新聞『天声人語』)(32ページより)

途中で「▼」を入れればどんな話題でもつなげられるため、季節の話題からはじまり、最近の社会の話題に触れ、最後は政治ネタで終わるというように、散漫な構成になりやすいということ。それに首尾一貫性も曖昧なので、お世辞にもよい文章とはいえない。だからこそ、なにかを伝えるという目的があるのなら、接続詞を効果的に用いた文章を書くべきだと著者は主張するのです。(30ページより)




こうした考え方に基づき、以後の章では接続詞のさまざまな特徴や、その使用法を解説しています。特筆すべきは、本書が「接続詞を理解することで、よりクリアな文章を書ける」ことに力点を置いている点。そのため、実践的に活用することができるのです。どんな職種であっても、文章を書く必要に迫られることはあるもの。だからこそ、接続詞の使い方を学んでおきたいものです。


印南敦史

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