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Google社ではマネージャーが人事権を持たない理由

Google社ではマネージャーが人事権を持たない理由
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Inc.:「Google社でマネージャーをするのは、他社とはちょっと違います。なぜなら、Google社ではほとんどすべてのことが社員のコンセンサスで決定されるからです。」『Radical Candor: Be a Kickass Boss Without Losing Your Humanity』の著者でベストセラー作家のキム・スコット氏はそう説明しています。スコット氏はかつてGoogle社でアドセンスとYouTubeの部署のマネージャーをしていました。このところ、同社はあらゆる努力を尽くして、社員が社内情報を外部に話すことがないよう徹底させています。しかし、最近のQualtrics Insight Summitのインタビューで、スコット氏はGoogle社で「上司であること」の実態について貴重な内部情報を提供しています。

「他社のマネージャーなら通常付与されている権限をGoogle社のマネージャーは基本的にほとんど持っていません。たとえば、社員の採用や解雇に関して独断的な人事権を持ちません。社員のボーナスは各人の成績で決まりますが、マネージャーは部下の成績をつけることもありません。」

では、そうしたことはどのように決定されるのでしょうか。スコット氏によれば、「パケット」を使って決定されています。「社員のグループが候補者を面接して面接パケットを書き、その人物を採用すべきかどうか意見を提出します。」この面接官のグループは、候補者が採用された場合は、その候補者の上司になるはずの人たち、同等レベルの同僚になるはずの人たち、それ以外の社員で構成されています。スコット氏自身もGoogle社に採用される前に、入社すると直属の上司になるはずの数名と面接しています。

面接が終了すると、パケットが委員会に提出されます。「採用マネージャーには採用の決定権がありません。」とスコット氏。「自分のチームに来てほしい」と希望することはできますが、採用された人は別のチームを選ぶこともできます

さらに、マネージャーは現在自分のチームにいる部下がGoogle社内で別のチームに異動することも阻止できません。現に、スコット氏も入社直後にこれを体験しています。「私がGoogle社に入社した時点で、直属の部下が5人いました。でも、私の入社直後の1週間で、そのうちの3人が社内の別の部署に異動しました。」とスコット氏は語っています。

マネージャーは社員の昇進に関してもあまり権限はありません。「特にエンジニアリングの部署では、とても面白いことになっています。」とスコット氏。「社員が手を挙げて『私はもう昇進する準備が整いました』と名乗りを上げます。それに関してマネージャーは助言はできますが、『君はまだ昇進すべき段階にはないと思う』と言っても、社員はパケットを作ってもらうことができます。マネージャーの助けがないと昇進は困難にはなりますが、できなくはありません。」

マネージャーは、昇進を承認する場合は、その昇進を支持する人たちの推薦を取り付けるなどして、その社員がパケットを準備するのを手伝うことができます。このプロセスが終わると、昇進パケットが出来上がり、委員会に提出されます。昇進の可否を決定する委員会には、当該社員のマネージャーは入りません。」とスコット氏は説明しています。

ちょっと複雑な感じに聞こえるかもしれませんが、この方法はとてもGoogle社のためになっているとスコット氏は言います。たとえば、昇進パケットを準備するプロセスがあるおかげで、「不公平な昇進はほとんどありません。」

仕事上の人間関係が全社にわたり良好になるという利点もあります。「有能なマネージャーになるには、良好な人間関係を築く必要があります。マネージャーが一方的な決定権を持たないことで、社内に良好な人間関係が築けるのです。」とスコット氏。

こうしたアプローチがすべての会社やあらゆる種類の社員にも有効に働くかどうかわかりません。しかし、ここには、あらゆる上司が教訓にすべきことがあります。それは、コンセンサスにより決定されることが増えるほど、社内の人間関係は良くなり、社員同士が協力し合う企業文化になるということです。

Here's Why Bosses at Google Are Not Allowed to Hire, Fire, or Promote Employees | Inc.

Minda Zetlin(訳:春野ユリ)

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