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「すごい人と一緒に働きたいから」──Microsoft・PayPal・テスラモーターズを渡り歩いた男のキャリアストーリー

「すごい人と一緒に働きたいから」──Microsoft・PayPal・テスラモーターズを渡り歩いた男のキャリアストーリー

「イーロン・マスクとも2~3回、会ったことがありますよ。私と2~3歳しか違わないのにものすごい威圧感・存在感があって、どこがどう変わればこうなれるのかと思いました」

そう語るのは、井尾慎之介さん。Microsoftやテスラモーターズ、PayPalといった有名外資系企業の日本法人に勤めた経験を持ち、現在はコイニー株式会社で取締役を務めています。先日、ライフハッカー[日本版]とクラウドヘッドハンターズ株式会社が共催したイベント「キャリアストーリー」での一幕です。

キャリアストーリーは、アラサー世代から見て少し年上ながら各分野で活躍する「先輩ビジネスパーソン」をゲストに、自身の山あり谷ありのキャリアを語ってもらい、それにインスパイアされた参加者自身が「自分のキャリアに役立つ知恵」を自由に質問して引き出せるというイベント。

今回はイベントで語られた井尾さんのちょっと破天荒なキャリアと、その背後にある「どんな会社で働くべきか」という選択基準、そして「予想外の出来事が次々と起こる人生をどうサバイバルするか」をご紹介します。

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ゲストスピーカー:井尾慎之介(いお・しんのすけ)

コイニー株式会社 取締役

大分県出身。富士通およびマイクロソフト日本法人にてマーケティング、企業ブランディングなどの経験を経て、2005年フィンランドのITスタートアップ企業にてカントリーマネージャーとして日本法人の運営に携わる。2009年よりPayPal、2010年よりTesla Motorsの日本法人立ち上げに従事。2013年10月よりコイニーに参画、2016年3月より取締役に就任。

新卒のときは「定時で帰って趣味に生きよう」と思っていたが...

学生時代に小学校から熱心に続けていたテニスでプロ選手になれないという大きな挫折を経験。大学時代を抜け殻のように過ごし、新卒で富士通に入社したところから、井尾さんのビジネスキャリアはスタートしました。

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就職する前は仕事に対して何の期待も抱いていなかったという井尾さん。「会社の自分への期待値」を下げるために入社早々髪を青く染めて出社することまでしたという井尾さん。大企業である富士通では、いきなり超大規模な予算を扱う経営企画室に配属されマーケティング・ブランディングを担当した。具体的には書くことができないが、イベントでは富士通という職場の内情やスケールの大きさが具体的な数字とともに語られた。

井尾さんは「いつまでも親の脛をかじっているわけにもいかないし、社会人にならないとなぁ」と思い就職したため、仕事に対してポジティブな期待は持っていなかったそうです。しかし、億単位の予算を動かす企業ブランディング担当に抜擢され、仕事のおもしろさを知ってしまいます。

その後、井尾さんは知り合いのヘッドハンターに「自分のような人材には需要がある」と教えられて、試しに転職をしてみることに。次の職場としてはWindows全盛期のMicrosoftを選びます。井尾さんはこの転職で、大きな裁量を自由に発揮できる環境で働き、生き抜く方法を学びます。

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Microsoft時代は毎日夜の2~3時まで働き、常にタクシーで帰宅していたという井尾さん。入社時に先輩に「定期は買わなくていいよ」と言われたことを、「今思うととんでもないブラック発言」と笑った。こちらも書くことができないが、当時のMicrosoftは良い意味で"クレイジーな会社"だったそうで、最先端IT企業で起こった常識外れの出来事なども披露され、場を沸かせた。

井尾:マーケティングプランの書き方がわからなかったので、ほかの人のプランを参考にさせてくれと先輩に尋ねたら、「参考にすると井尾くんオリジナルのプランが出てこなくなるから」と突っぱねられてしまいました。その時点で「やばい、転職する会社を間違えた」と思いました。

MicrosoftのOJTは「放置プレイ」と呼ばれていて、中途採用者も新卒もほかの人の仕事を盗んで覚えるという文化だったそう(2001年当時)。

井尾:どんなにショボくてもプランを紙に落として、先輩や上司に見せるんです。白紙のプランを渡されても彼らは何も言えませんが、自分がこうじゃないかと思うことを全部書くと意見を言ってくれるんです。

とにかく形にしてフィードバックを受ける中でプロダクトプランの書き方を理解していきました。とにかく書くしかありませんでしたね。

このように、現場に飛び込んでまずはやってみて仕事を覚えていくというやり方は井尾さんのその後のキャリアでも大いに生かされました。富士通、MicrosoftとIT畑で働いた井尾さんは、その後金融の会社であるPayPalや自動車の会社であるテスラモーターズの立ち上げに参画、自分の知らない単語が飛び交う職場でも「なんとかなるだろう」と面食らうことなく働き続けました。

「すごい人と働きたい」という気持ちに忠実に生きる

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井尾さんに質問をする参加者たち。トークセッションのあとは軽食とお酒を交えてのざっくばらんなクエスチョンタイムに突入。金融業界についての専門的な質問から、「キャリアの中でいつが苦しかったか?」といった素朴な質問まで、多くの質問が飛び交い、場は大いに盛り上がった。

いくつもの大企業や最先端企業を渡り歩いた井尾さんに、参加者からこんな質問が飛び出しました。

「すばらしい方との出会いが多くあったようですが、そうした出会いは引き寄せることができるのでしょうか?」

しかし、井尾さんのスタンスはその逆。井尾さんは、すごいと思える人と働ける会社を選んできたのです。引き寄せたのではなく、自分から歩みより、つかみとってきたのだと言えるでしょう。

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コイニー株式会社の企業紹介サイト。同社は電子決済サービスを提供するフィンテック系ベンチャー企業だ。クレジットカード決済等をスマホと専用のカードリーダーで実現し、新しい決済スタイルを提案している。また最近は訪日中国人観光客ソリューションとして、中国で爆発的な成長を見せる「WeChat Pay」の取り扱いも開始。さらにAI(人工知能)と蓄積された決済データから企業評価を実現する「Coineyエンジン」を開発し、金融機関と融資事業にも取り組んでいる。

新卒当時から「誰と働くべきか」は重視していたそうで、現在の会社であるコイニー株式会社に転職した理由も「一緒に働く人」にありました。

井尾:PayPalで一緒に働いていた後輩から一緒にやろうと声をかけられたんです。当時務めていたPayPalの完全な競合になるので冗談半分にしか受け取っていなかったのですが、半年くらいオファーが続いて、本気なんだなと。そんな風に誘ってくれたのが9歳年下の、今の会社の社長です。

彼女はPayPalの日本法人立ち上げに一緒に携わった後輩だったのですが、非常に優秀で尊敬していましたし、とても保守的な金融業界で起業して苦労している若手に、僕みたいなおじさんが役立つタイミングがきたのかもなとも思いました(笑)。

井尾さんは現在までに7社を経験。当初はIT企業に勤めていましたが、それを軸に今はフィンテック企業に務めています。井尾さんの場合は、ITという軸がまずあり、そこからピボットして金融にキャリアチェンジを果たしています。そうしたキャリアを実現させたのは、さまざまな企業での現場経験であり、「すごい人と一緒に働きたい」という思いだったわけです。


こうした先輩ビジネスパーソンの話は、今すぐに役立つものではないとしても、キャリア観に影響を与えたり、良い刺激になったりするのではないでしょうか? 今後も、キャリアストーリーはそうした場として定期的に開催していく予定です。記事でももちろん楽しんで頂けますが、実際にスピーカーと直接やりとりできるイベントで、ぜひ食事とともにお楽しみください。みなさまのご参加をお待ちしております!

ライフハッカー[日本版]サイト上や公式TwitterFacebookページで告知を行いますので、気になった方はフォローしてお見逃しのないように。

(神山拓生)

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