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子どもに偏見を持たせてしまう「大人の問題発言」

子どもに偏見を持たせてしまう「大人の問題発言」

親として、次世代の子どもたちが、現代社会をむしばんでいる性別や人種によるステレオタイプ(固定観念)を持たないように育てるにはどうすればよいでしょうか?

ジェンダーの違いによる固定観念は、幼少期の子どもにも影響を与えます。ある研究結果によると、小学1年生になる頃には、女の子は「本当に頭が良い子がするようなこと」を避ける傾向があるそうです。さらに、3歳の頃には、米国の白人の子供たちは「アフリカ系アメリカ人の顔が白人の顔よりも怒っている」というステレオタイプを暗黙のうちに支持しています。そして、長期的には理系における性差(理系をキャリアに選ぶ女性が男性より少なくなること)の原因になります。

なぜ、ステレオタイプは小さな子どもたちにまで影響を与えてしまうのでしょうか? 私は早期の認知と社会発達を専門とする教授として、話し言葉の驚くほど小さな変化が、子どもがステレオタイプを持ってしまうことにどう影響しているのか、研究を通して明らかにしてきました。

一般化する表現を避ける

多くの親は「男の子は算数が得意」「女の子はリーダーにはなれない」といった言葉を言わないことで、ステレオタイプの形成を防ごうとします。また、「女の子はなりたいものなら、何にでもなれる」といったポジティブな言葉がけをおこなっている親もいるでしょう。

ところが、私たちの研究で、発達途上の心には、こうしたポジティブな言葉がけさえも否定的な結果をもたらす可能性があることが明らかになりました。

実は、幼い子どもにとっては、多くの場合、言っている内容よりも言い方のほうがより重要です。たとえ「女の子は好きなことができる」「ヒスパニックがブロンクスに住んでいる」「イスラム教徒がいろいろな食べ物を食べている」など、肯定的または中立的なことだけを言っているとしても、性別、民族、宗教を知るだけで相手がどんな人か分かる、という一般化を教えることになってしまうのです。

Child Developmentに掲載された私たちの研究では、一般化を聞いてきた子どもは、2歳という低年齢で既に、どのグループに属しているかが、それぞれの個人の重要な違いを決める、と認識していました。

この研究では、「Zarpies」というグループの人を子どもたちに紹介しました(「Zarpies」とは、実験のために作られた仮想的な分類名です)。特定の個人についての情報だけを聞いたとき、(例:「Zarpiesのこの人は話すときに囁く」)、子どもたちはZarpiesが同じラベルでしるしをつけられ、似た服を着ていても、個人のこととして見ていました。しかし、一般化された情報を聞いたとき(例:「Zarpiesは話す時に囁く」)、子どもたちは「Zarpies」が他の人と大きく異なるのだと考え始めました。一般化された情報を聞くことで、彼らは違うグループの人で、グループのメンバーがどんな人か、と考えるようになったのです。

最近の別の調査では、こうした一般化の情報を聞いた5歳児は、その情報が否定的な内容でない場合でも、自分の属する集団よりも少ない持ち物(この時はカラフルなシール)しか、分け与えませんでした。

つまり、一般化された情報を聞くことは、たとえそれが良い内容または中立的なものでも、色眼鏡をかけて世界を見る傾向を作ってしまうのです。話す内容よりも「一般化する」という話し方が、大きな影響を与えているということです。

グループから個人に目線を移させる

私たちの研究から分かることは、内容が何であれ、一般化するというやり方自体が問題だということです。

幼い子どもが「イスラム教徒はテロリストだ」という攻撃的な言葉を耳にした場合、子どもはイスラム教徒やテロリストの意味は分からないかもしれませんが、何か問題があるグループだということを学んでしまいます。つまり、イスラム教徒は、誰であれ自分たちとは別のグループの人だと考えるようになるのです。そして、その人がイスラム教徒であるかどうかを知るだけで、どんな人なのか考えられる、と思うようになります。

一般的なグループを指すのではなく、特定の個人について語るようにすると、子どもたちは一般化をしなくなります。

「彼女の家族はヒスパニックであり、ブロンクスに住んでいる」

「このイスラム教徒の家族はさまざまな食べ物を食べている」、

「その女の子は数学がとてもよくできる」

「あなたはあなたが望むものになれる」

といった文章はすべてグループについての一般的な主張を避けています。

子どもたち自身や他の誰かが一般化した言い方をするときは、そうした考え方に挑む方法を教えるチャンスです。私の息子(3歳)は最近、多くの女性ギタープレイヤーを知っていたにも関わらず「男の子はギターを弾くんだ」と言いました。こういう言い方は、息子が性別によって、何ができるかが決まると考え始めたサインなので、ちょっと困りました。

でも、こういう場合にも、簡単かつ自然な切り返し方があります。

「え、誰のことを言っているの?誰がギターを弾いているのを見たの?」と聞いてみましょう。子どもはだいたい、誰かを思い描いています。「今夜レストランにいた男の人はギターを弾いていたし、おじいちゃんも弾くよ」と息子は答えました。こういう風に答えさせることで、人をグループとして見るのではなく、個人と見るように導きましょう。

こうした切り返し方は「大きな男の子は意地悪だ」、「イスラム教徒は面白い服を着る」など、子どもが言いがちな、よりデリケートな問題につながる一般化にも使えます。親は子どもたちに誰のことを思い浮かべているか、どんな出来事によってそう考えるようになったのかを聞けます。

時に、子どもたちは一般化という行為をしても大丈夫かテストするために、このような言い方をすることがあります。そういう時は、特定の出来事を話させ、一般化は賢明ではないことを伝えましょう。

すべての関わりに意味がある

話し方をほんの少し変えることに、どれだけの影響力があるのでしょうか? 親、教師や子どもの世話をする大人たちは、子どもが聞くことをすべてコントロールすることはできません。人種差別、男女差別、異端嫌いの考え方は、社会の規範と価値観に対する子どもの見方に影響を及ぼします。

とはいえ、子どもたちは、自分たちの人生にとって大切な大人と交わす会話すべてを通じて、世界の見方を発達させています。子どもたちにとって大切な存在の大人は、子どもたちの発達のための強力な基盤を作っているのです。親や保護者として、私たちは言葉を慎重に選び、自分や他人を個人として見ること、自分の道は自由に選べるということを教えられるのです。私たち自身が言葉を通じて、周りの人々のステレオタイプに反対し、挑戦する心の習慣を子どもが発達させる手伝いをしていきましょう。

Combatting stereotypes: How to talk to your children | The Conversation

Marjorie Rhodes (原文/訳:曽我美穂)

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