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非情なほど正直たれ──スティーブ・ジョブズから得た教訓

非情なほど正直たれ──スティーブ・ジョブズから得た教訓

Inc.:厳しい現実の話をします。もし成功が単純だったり簡単だったりしたら、誰もが実現しているでしょう。

近頃は、深呼吸をする、過去を忘れる、感謝の習慣を身につける、ベッドを整える...といった習慣を身につけさえすれば、人生を最適化できる、と言わんばかりの記事があふれています。

そのような健全な習慣で生活を向上させることはできると思いますが、もし成功が、多くの専門家が主張するように簡単だったら、誰もが成功していて、自己啓発のエキスパートなど、とっくに商売あがったりのはずです。やはり、現実世界で成功するには、困難に立ち向かったり、シビアな引き換え条件と格闘したりすることも必要なのです。ガイ・カワサキ氏は、その事実を身をもって知った人です。 彼がそれを学んだのは、1980年代にアップル創業期の社員としてスティーブ・ジョブズのもとで働いていた時代です。現在は全米屈指の投資家であるカワサキ氏が、質問サイトQuoraで、スティーブ・ジョブズを上司にもった経験や、そこから得た教訓について説明しています( そのことを取り上げてくれたQuartzに感謝します)。

スティーブ・ジョブズのIQテスト

端的に言えば、その経験はかなり過酷なものだったようです。ジョブズ氏の、摩擦の絶えないリーダーシップ・スタイルは伝説となっており、本や記事で知っている人も多いと思いますが、社員たちがどんなふうに扱われていたかを知らない人のために、カワサキ氏はこのようなエピソードを語っています。

ある日、スティーブ・ジョブズが、私の知らない人物を連れて、私のデスクにやってきました。そしてその人を紹介するでもなく、おもむろに聞いてきたのです。「Knowareという会社について君はどう思う?」

私は、その会社の製品は、可もなく不可もなく、平凡で、単純で、マッキントッシュにとって重要ではなく、取るに足らない存在だと答えました。しかし私がさんざん辛辣なことを言った後に、スティーブが言いました。「こちらはKnowareのCEO、Archie McGillさんだ」

やってくれたな、スティーブ!

これは、カワサキ氏(そしてMcGill 氏)にとって、人生で指折りの気まずい数分間だったでしょう。しかしカワサキ氏は、このひどくバツの悪いエピソードによって、ジョブズ氏のカワサキ氏に対する能力評価が上がったことはたしかだと言います。

「私はスティーブ・ジョブズのIQテストに合格したのです。もしあのとき、たいしたことのないソフトウェアについて聞こえのいいことを言っていたら、スティーブは私のことを愚かだと思い、私のキャリアはそこで止まったか、終わったと思います」と書いています。

非常な正直さには非常な価値がある

このエピソードは、ジョブズ氏のもとで働いていたカワサキ氏が学んだ大切な真理を示しています。その真理とは、徹底した正直さは、場合によってはきわめて不快な状況を生むので、敬遠する者が多いが、偉大な成功の基本でもある――ということです。

カワサキ氏は、ジョブズ氏のもとで仕事をした経験から、徹底した正直さが尊いのには3つの理由があることを学んだといいます。

第1の理由としてこう書いています。「本当のことを言うか言わないかで、人間性と知性が判断される。強くなければ本当のことは言えないし、知的でなければ何が本当かを認識できない」

第2は、「良薬は口に苦し」ということです。KnowareのCEOは、その晩、やけ酒が必要だったかもしれません。しかしカワサキ氏は「ネガティブ発言をしたくないからと、相手の製品について良いことばかりを言ったら、改良につながらない」と断言しています。

第3は、「真実は1つなので、正直でいれば、常に一貫した態度でいられるが、嘘をつくと、自分の言ったことをいちいち覚えていなければならない」という、非常に的を射た理由です。

カワサキ氏の投稿をまとめるならば、やさしい言動、心地よい言動、もっともな言動ばかりでは成功できない、ということだと思います。成功するには、情け容赦なく理念を貫くこと、とことん正直であれというような価値感を、頭の中だけでなく、行動指針の中心に据えることなども、必要なのです。少しも簡単ではありませんね。

How Steve Jobs Taught an Early Apple Employee a Lesson in Radical Honesty That We All Should Learn|Inc.

Jessica Stillman(訳:和田美樹)

Photo by gettyimages.
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