特集
カテゴリー
タグ
メディア

美術館で貴重な芸術作品を破損したらどうなるか

美術館で貴重な芸術作品を破損したらどうなるか

私は16歳のとき、ラッキーなことにフランス語のクラスのみんなとフランスを訪れることになりました。パリに到着したとたん、私たちがまず訪れたのはルーブル美術館です。でも、私は時差ボケでとても疲れていたので、腰を下ろして眠ってしまいました。そのとき私が座ってしまったのは、何とれっきとした古代芸術作品だったのです。もし、私がそれを破損してしまっていたら、いったいどうなっていたことでしょう?それはまさに悪夢のシナリオです。見事な美術品の並ぶギャラリーをぶらぶら歩いていたら、けつまずいて値段のつけようが無いぐらい高価な絵画に誤って穴をあけてしまうことが、実際にありえます。2015年には、12歳の少年が17世紀の画家パオロ・ポルポラの絵画(評価額は約1億6千5百万円)に穴をあけてしまったことがありました。その少年はどうなったのでしょうか。一生をかけて美術館に弁償するのでしょうか?

ニューヨークに本社を置く保険代理店AXA Art Americas Corporationで、保険金請求担当部長を務めるColin Quinn氏によると、普通は同氏のような保険会社の人間が美術館の中を歩き回っているそうです。価値の高い芸術作品には必ずたっぷり保険がかけてあり、美術館の客がしたことと考えられるなら、その作品は保険で補償されるとQuinn氏は言います

美術館も画廊も、そのような事故を避けるために妥当な措置をしているものですが、万が一のことがあってもこの世の終わりというわけではありません。保険外交員がダメージを見にやってきて、意図的に行われたわけではないことを確認します(監視カメラを見て確認するのが一般的です)。それから、作品の修理に関する提案をとりつけます。美術品を破損してしまった人は、後で連絡を取る必要がある場合に備えて、その場を離れる前に名前、住所、電話番号などを提出しなければならないかもしれません。

もちろん、意図的に作品を破損した場合、話はまるで違ってきます。犯人は修繕費用か作品価格全額の支払いを強制されますし、その上、刑事罰を科せられるかもしれません。ですから、もし私がルーブル美術館で居眠りをするために腰を下ろした古代エジプトの石でできた作品を破損していたら、罰金を科せられていたかもしれません(ところで、私は自分のしたことを心から後悔しています。時差ぼけで疲れ切っていた私の目には、その作品はベンチみたいに見えたのです)。

ただ、罰金は免れたものの、私は美術館来館者の人だかりの中で目を覚ますという恥ずかしい記憶に一生つきまとわれています。

Patrick Allan(原文/訳:春野ユリ)

Photo by gettyimages.
swiper-button-prev
swiper-button-next