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アイオワ州の小さな町が、消えゆくハチを救うプロジェクトを開始

アイオワ州の小さな町が、消えゆくハチを救うプロジェクトを開始

Popular Science:米国では今、ハチがトラブルに見舞われています。数十年も前から花粉を運ぶハチが減少しており、その影響で世界の食糧供給が脅威にさらされるかもしれません。そこで、アイオワ州の小さな町が、対策に乗り出しました。

その町とは、人口13万人のシーダーラピッズ市。この春、188エーカー(76万平米)の土地に草花の種をまく予定です。同市は、ゆくゆくは1000エーカー(400万平米)の"ハチの楽園"をつくることを計画しています。

科学者によると、ハチなどの授粉媒介者が危機に見舞われているのは、農薬、病原菌、気候変動のほか、たくさんの要因があるようです。また、農場、駐車場、芝生など、人間による開発が野生の花畑を奪い、彼らの居住地と食料供給が失われてきたのです。ハチが減少した要因にはまだたくさんの謎が残っていますが、羽根を休められる場所と食べられる植物を与えたいというのが、同市民の願いです。

Monarch Research Project」(MRP)との提携で、「1,000 Acre Pollintor Initiative」が生まれました。このイニシアチブの目標は、オオカバマダラというチョウの個体数を回復させること。1000エーカーの土地を授粉媒介者の居住地にしようと提案したのは、同市で公園管理に携わるダニエル・ギビンス氏。同プロジェクトはこれまでに、州およびMRPから18万ドルの資金を調達しています。

プロジェクトを率いるギビンス氏は言います。

100年ほど前の農業ブームで、アイオワ州の野生環境は99.9%が失われました。昔のアイオワに戻すことができれば、救われるのは野生の授粉媒介者だけではありません。鳥類、両生類、爬虫類、哺乳類など、この地に根差したすべての動物が、この地の原生植物に依存しているのです。

大草原の復活

シーダーラピッズ市は、野生の回復に役立つスペシャルシードミックスを開発しました。39種の野花と7種のプレーリー・グラスの組み合わせで、ハチやチョウは花に惹きつけられ、たくましいプレーリー・グラスは雑草や外来種からそれらの花を守ります。

ギビンス氏のチームは、草花を植えられる場所を求めて、使われていない公有地をすべて洗い出しました。人があまり行かない公園やゴルフコース、地方空港の片隅などのほか、下水溝、貯水池、道路境界など、リストには合計500エーカー近くの土地が載っています。そのほか、国内のほかの市と連携して1000エーカーの目標値を達成しました。

草花の種を植えるためには、望ましくない植生をつぶす必要がありました。つまり、雑草や外来種を刈り取ったり、焼き払ったり、場合によっては除草剤を使うことも。この春と秋、それらの土地にスペシャルシードミックスをまく予定です。

まいてそのまま放置というわけにはいきません。

とギビンス氏。芝生のように毎週の刈り込みが必要なわけではないものの、プレーリー・グラスにもある程度の世話が必要です。これには、年に1度の刈り込みや数年に1度の芝焼きなどが含まれます。

誰でもハチを救える

ハチやチョウを救うのに、1000エーカーの土地を用意する必要はありません。あなたの庭の、ほんの数平方フィートでもいいのです。いえ、小さなプランターひとつでも。そこに、その地域に原生の花を植えるだけで違いが生まれるとギビンス氏は言います。

アリゾナ大学の送粉生態学者で『The Reason for Flowers』の著者でもあるスティーブン・ブックマン氏は、こう述べています。

授粉媒介者の庭を作るには、春、夏、秋に花を咲かせる多様な野草や在来作物を用意することが何よりも大切です。

ブックマン氏は、除草剤や殺虫剤を使用しないこと、どうしても必要であれば、ハチが活動していない夜間に使用することを勧めています。特定種のハチのための営巣地を用意するのもいいそうです。

多くの人が、野花を植えればハチが来ると思っています。そういうケースもありますが、小さいハチほど遠くまで飛ぶことはできません。ほんの数百メートルしか飛べないハチもいるのです。

何もない地面など、固い生息環境を好む種もいます。あるいは、レンガの穴や砂場、カブトムシが穴だらけにした枯れ木なども。それらの敷地に、泥と水があるとなおいいでしょう。「Xerces Society」は、ハチの巣を作るためのハウツーガイドを掲載しています。

「1,000 Acre Pollintor Initiative」は、現在も今後4年間分の資金を求めています。また、授粉媒介者の急増は期待できなそうです。それでもシーダーラピッズ市はこのプロジェクトに自信を持っており、全米各地のモデルとなることを望んでいます。

近隣の企業や民間の土地所有者を巻き込むことができれば、1000エーカーにとどめる理由はないとギビンス氏。

このイニシアチブをリンカウンティーに最大1万エーカーまで拡大しようという強力な動きがあります。

A small city in Iowa is devoting 1,000 acres of land to America's vanishing bees | Popular Science

Sarah Fecht(訳:堀込泰三)

Photo by Shutterstock.
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