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社員のモチベーションを上げる「ボーナスよりも効果的な方法」

社員のモチベーションを上げる「ボーナスよりも効果的な方法」

Inc.:「現金が一番効く」とは、良く言われることです。給料日のことを考えるとやる気が湧いてくる、というのも誰でもあることでしょう。けれども、社員の能力をフルに発揮させるために金銭的な報酬をちらつかせてけしかけるのは、良い方法ではないのかもしれません。

「直観的には違うように感じるかもしれませんが、私は個人的に、ボーナスはそれほど役に立たないと感じています」。データ復旧と事業継続マネジメントサービスを提供するAxcientの共同創業者でもあるJustin Moore最高経営責任者(CEO)は、Inc.comに対し、そう語っています。

「仮に、あなたが私の部下だとしましょう。そして私たちは1月に、あなたが今年1年間で達成すべき大変重要な目標を3つ決定し、目標を達成したら私がボーナスを払うということで合意したとしましょう。あなたはその目標に的を絞って仕事をするつもりでしたが、1年の半ばを過ぎたところで優先事項が変わってしまいました。その場合はどうしますか? 困りますよね」

けれども、Moore氏が年次ボーナスを好ましい方法だと思っていないのは、柔軟性に欠けているからだけではありません。「目的意識を持って取り組むのは、やり遂げれば個人的に報われるからであって、最後に大金が手に入るからではありません。金銭的なインセンティブは、一定の状況下では効果がありますが、長い目で見れば創造性が損なわれ、真の達成感が得られないことがわかっています」とMoore氏は言います。

では、Axcientでは、社員のやる気を引き出すのに、ボーナスではなくどんなやり方を採用しているのでしょうか? それは、社員の意欲向上に結びつくとは多くの人が思いつかないこと、つまり「評価基準の設定」です。十分に考え抜いた上で評価基準を設定し、その基準を達成した人を公に評価する方が、年次ボーナスをちらつかせるよりも、チームからより多くの結果を引き出せる、とMoore氏は力説します。では、「適切な評価基準」とはどういうものなのでしょうか?

正しい評価対象を選ぶ

「評価する対象が間違っていると、何も評価しない場合よりも困ったことになります。すべてのエネルギーを誤った方向に注ぎ込んでしまうからです」とMoore氏は言います。Axcientでは一度、評価する対象の選択を誤ったことがあるそうです。「"未処理のサポート案件"を評価対象にしたことがあります。週の終わりに未処理の案件数が多ければ多いほど顧客のサポート体験は悪化すると思われたので、この基準は論理的だと考えたのです」

「ところがこれは、評価対象としては良くありませんでした。質の低いサポート体験の原因は違うところにあると気づいたのです。新しいサポート申し込みの電話がかかってきた時に、その電話に出るまでの時間を明確に設定していれば、相手は気にしません。大事なのは、期待値を設定し、それを守ることだからです。そこで私たちは別のところに目を向け、"顧客への返信はX時間内に行う""最新情報の連絡はY時間内に行う"と設定しました。その結果、未処理数は増えましたが、顧客満足度は大きく向上したことがわかったのです」とMoore氏は説明しました。そして、適切な評価対象を選び、自分が掲げた目標の達成に向かっているかどうかを追跡し、会社側がそれを毎日か毎週、少なくとも毎月確認することが大事だと強調しました。四半期ごとでは効果はありません。

評価対象と目標を社員に決めさせる

「私の会社では、トップダウンで目標を押しつけることはめったにしません」とMoore氏は言います。その代わりに、マネジャーが部下と面談し、達成すべきことを話し合い、部下自らが評価対象と目標を決めるよう手助けするそうです。「私も直属の部下と面談し、"確実に目標達成に向かっているかを確認するためには何を評価・測定すべきか?"と問いかけます。部下には具体的な目標を決めるよう言います。"週ベースで確認することは何か"というように」

マネジャーの中には、社員が野心的な目標を立てないのではないか、と懸念する人がいますが、Moore氏はその心配には及ばないとアドバイスしています。「マネジャーから聞かれたことがあります。"部下が意図的に低い目標を立てていないか、どうやってわかるんですか? 困難な目標をあえて掲げる人は誰もいませんよ!"と。でも私にはそんな経験は一度もありません」とMoore氏は言います。「会社が優れた人材を採用しており、会社のビジョンに信念を抱く強固な社内文化があり、そのビジョンの達成に貢献できるような権限を自分は持っていると社員が感じていれば、高すぎるくらいの目標を設定するでしょう。彼らは野心を持っていて、成功を望んでいるからです」

Moore氏はさらに、目標を設定する際にはむしろ社員に質問を投げかけて、彼らが非現実的な期待を自らに対して抱かないようにするのが良いと話します。たとえば、「その目標は本当に達成可能だと思うか?」「もう少し余裕を持たせた方が良くないか?」「想定外の事態を考慮したか?」といった質問です。

それに、社員たちはどうやら、目標の決定権が自分の手にあることを喜ぶようです。「目標は必ずお互いに合意した上で決定されますし、その際には自らも関与するため、それをきっかけに対立が生じることも、一方的にストレスを感じることもまったくありません」と話すのは、同社の戦略的アカウント担当マネジャーのJames Lii氏です。「ストレスを感じるとすれば、それは自分自身でかけているのです」

振り返りと報酬

Moore氏は、評価基準を振り返り、現場での実態に合わせて調整することはきわめて重要だと話します。「評価基準を検討し、"こうした評価基準で、望んでいる目的が果たせるのか?"について、じっくりと、率直に考えなくてはなりません」とMoore氏。そうしなければ「見当違いかもしれないことで行き詰ってしまう」というのです。

Axcientのサポート部門責任者Pam Lyra氏も、評価基準の定期的な見直しがいかに重要であるかを訴えています。「もし評価基準が、われわれが情報を得たいと思っていることを把握できないものであれば、それは修正されます」とLyra氏は述べます。

評価基準に達した人を公の場で評価することも、基準を設定することと同じくらい重要です。Axcientでは、社内のカフェテリアにスコアボードを設置し、基準を上回る成果をあげた人(そしてあげられなかった人)を公表して、社員に適度な競争心が生まれるようにしています。けれどもMoore氏は、部下の仕事をシンプルに認め、感謝を伝えることも軽視すべきではないと強調します。

「些細なことでかまいません。部下に面と向かって、"良くやった。まさに大成功じゃないか。達成するのが困難な目標だったし、会社に大きく貢献してくれた"と言ってあげましょう。社員が何よりも不満に思うのは、何か仕事をしても、それがあまり重要なことでなければ、誰も気づいてくれないことだと思います。心をこめて感謝の気持ちを伝えることは、驚くほど効果的です。私が思うに、お金よりも意味があります」

みなさんは、綿密な評価基準を設定してそれを達成した人を人前で評価する制度は、ボーナスよりもモチベーションの向上に効果的だと思いますか?

Metrics Are More Motivating Than Bonuses|Inc.

Jessica Stillman(訳:遠藤康子/ガリレオ)

Photo by Shutterstock.
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