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会社員は社外から学ぶ時代。「越境学習」を支援する3つの組織

会社員は社外から学ぶ時代。「越境学習」を支援する3つの組織

2017年2月15日に虎ノ門ヒルズにて開催された「働き方を考えるカンファレンス2017『働く、生きる、そして』」。一般社団法人「at Will Work」が主催したこのイベントでは、経済界を中心に50人以上の登壇者を招き、昨今注目を集める「働き方」について考える場が提供されました。

さまざまな企業が働き方についての取り組みや考察について発表する中、会社の枠を越えて社員が学ぶことで組織の革新を目指す「越境学習」を支援する企業に注目が集まりました。いったいどんな取り組みなのでしょうか?

越境学習とは(ビジネスパーソンが越境するメリット)

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越境学習プログラムを提供する3つの企業。

越境学習とは、ビジネスパーソンが所属する会社・組織の境界を自発的に越えて学びの場を求めることです。社外研修も、ある意味、越境学習ではあるのですが、ここでは「社外で実際に仕事をして、その経験から学ぶこと」と定義します。

通常、特定の雇用先があるフルタイムの会社員であれば社外で働くことはできないわけですが、社員が学びたいスキル、得たい経験が社外の仕事にある場合もあります。こうなると、転職というオプションを考えると思いますが、「転職することなく越境する」というユニークなアプローチを提供しているのが今回ご紹介する3つの企業です。

新興国の社会課題解決に取り組む団体に参画:NPO法人「クロスフィールズ」

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クロスフィールズの代表理事、小沼大地(こぬま・だいち)氏。

NPO法人の「クロスフィールズ」は、国内の企業で働くビジネスパーソンをアジアの新興国にあるNPO法人など、社会的な問題を解決しようとしている組織へ派遣するプログラムを提供しています。まさに「留学」ならぬ「留職」というプログラムであり、国境を越えた仕事場で、本業のスキルを活かして期間限定で働くことで、人材育成につなげることを目的としています。

例えば、これまで実施されてきた事例では、エンジニアが無電化の村に滞在して現地プロジェクトに参加したケースや、教育系の編集者が教育系の現地NGOで教材を開発したり、といったプロジェクトがあったそうです。ボランティアではあるものの、派遣される社員の特性や希望に合わせて、プロフェッショナルなスキルを使って課題解決が要求されるプログラムです。また、現地に実際に暮らして現地のプロジェクトに参画する経験を通して、出張などでは得られない現地の目線でモノを見るきっかけにもなります。

クロスフィールズの代表理事である小沼氏は「ビジネスパーソンに社会とのつながりを感じていただく環境を提供することで、自分がもっているスキルが社会をどう変えていくかという経験が得られる。この経験によって、自分の中にある主体的なリーダーシップを呼び覚ますことができる」とコメントしています。

異なるバックグラウンドの社会人たちが1つの社会貢献プロジェクトに参加:NPO法人「二枚目の名刺」

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二枚目の名刺の代表、廣優樹(ひろ・ゆうき)氏。

NPO法人の「二枚目の名刺」が展開するのが、本業を持ちながら、社外の社会課題に取り組むプログラムです。プログラムといっても提供してもらう課題ではなく、あくまで自分が参加したいプロジェクトを見つけたり、なければ立ち上げてしまう主体性が求められます。

実際のプログラムはさまざまなバックグラウンドを持つ社会人5〜6人が共通のプロジェクトに参加する形で始まり、週5〜10時間程度のコミットメントで3〜4カ月間取り組むそうです。

「お金を稼ぐだけの副業ではないし、自分が満足すればいいだけの趣味でもない」という代表の廣氏のコメントが印象的でした。

二枚目の名刺のプロジェクトの意義も、前述のクロスフィールズと近く、自分のスキルや経験に「社会との接点」を見つけていくことにあります。また、普段一緒に仕事をしないような人たちとも1つのチームとなって仕事をすることで、つながりが本業に活かせるなど、所属する会社にもメリットがあります。

大企業の人材をベンチャー企業に移籍:株式会社ローンディール

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ローンディールの代表取締役、原田未来(はらだ・みらい)氏。

企業間レンタル移籍プラットフォームを掲げる「ローンディール」は、大企業の人材をベンチャー企業に派遣し、越境学習してもらうというプログラムを提供しています。

大企業は研修がしっかりしているので、気づき・ノウハウといったメリットをベンチャー企業に教えることができます。反対に、ベンチャー企業は新しい事業をイチから立ち上げるという実践的な経験を移籍してきた大企業の社員に提供できます。

このアイデアの起点には、ローンディールの代表取締役であり、同じ会社で13年間働いてから転職した経験がある原田氏の実体験に基づいているそうです。

「13年間同じ会社にいて転職したらインプット(学び)が多かったんですね。そのとき、同じ学びを転職する前にできていたらもっといろいろできたのにな、と思いました。できることがたくさんあるのに気づけなかった、という個人的な思いがローンディールの原点です」

長い間同じ会社に在籍していると、スキルは伸びてくるものの伸びしろは少なくなってきます。「今の会社を辞めたいわけじゃないけど、外の世界が見たい」、そんなときにありがたいプログラムと言えるでしょう。


上記でご紹介した3社は、学ぶ場所は違うけれど、所属する会社という枠を超えて社員に学びの場(越境学習の機会)を提供する、という意味で共通しています。そして、最も重要なポイントなのですが、このようなプログラムは社員の個人的な成長のためだけにがあるわけではなく、所属する会社にも利益をもたらすという点です。

企業にイノベーションが求められる昨今、社内の課題だけではなく、社外の課題にも目を向けるという、イノベーティブな働き方をする姿勢が求められているのかもしれません。

(文・写真/大嶋拓人)

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