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労働時間が1週間あたり48時間を超えると生産性が低下」:その解決法は?

労働時間が1週間あたり48時間を超えると生産性が低下」:その解決法は?

働く人なら誰だって、もっと短い時間で仕事を済ませたいと望んでいるのではないでしょうか? とはいえ、片づけるべき山積みのタスク、残業が当たり前になっている職場の空気、さらには締め切りに追われる中では、時短の実行は容易ではありません。気がつくと毎日、毎週、残業していることがしばしばです。しかし、こうした長時間労働が、実際には生産性を下げていることが、さまざまな研究から明らかになっています。

そこで、働き過ぎると生産性が下がるメカニズム、できる限り少ない時間で仕事を終わらせる方法について解説しましょう。

学術研究に見る「労働時間と生産性の関係」

2015年に学術誌『Economic Journal』に掲載された「The Productivity of Working Hours」(労働時間の生産性)という論文は、このテーマに関してもっとも頻繁に引用されている研究の1つです。スタンフォード経済政策研究所のシニアフェロー、John Pencavel氏によって執筆されたこの論文は、労働時間が1週間あたり48時間を超えると生産性が下がると結論づけています。

仕事の成果に関しては、次のような結論が導き出されています。

限界生産物(生産要素の投入量を1単位増加させた時に得られる生産物)が減少に転じるポイントは、それぞれの労働者や仕事の内容により異なります。労働時間が48時間以下の場合、週単位の成果は、労働に費やした毎週の時間に正比例する傾向があります。一方、48時間を超えると、時間単位の限界生産物は逓減していきます。

さらに、最後のケーススタディの結論として、以下のような記載があります。

(前略)長時間労働に従事する従業員は、疲労やストレスを覚えるおそれがあります。これにより、生産性が下がるだけではなく、ミスや事故、病気などのリスクが高まり、そのコストは雇用主にのしかかってきます。

このように、長時間労働は生産性を下げる要因になるだけでなく、従業員が問題にぶつかるリスクも高めることは明らかです。これは非常に納得のいく結論です。働く時間が長くなるほど疲労が増し、集中力が削がれるからです。こうした状態では、生産性が下がり、ミスをしてしまう確率が上がるとともに、働く業界によってはさらに危険な状況に陥るおそれさえあります。

時短がそれほど簡単ではない理由

この研究の全文を読んで、頭ではその通りだと納得したとしても、解決できない問題は残るはずです。そう、実際に労働時間を減らすにはどうしたら良いのでしょうか?

この問題をあっさりと解決してしまう人もいるでしょう。1週間に40時間しか働かないと決めて、あとはきっぱりと職場をあとにするというやり方です。しかし多くの人にとって、そこまで割り切るのは簡単ではないはずです。仕事の分野や役職によっては、長時間労働が避けられない場合もあるでしょう。あるいは、周囲からの期待や、罪悪感、自己満足、あるいは恐怖といった感情から、もっと長い時間働かなくてはならないと自己判断するケースもあるはずです。

まずはこれまでの働き方を見直そう

もしあなたが1週間の労働時間を自分で決められる立場なら、自力で是正できるはずです。本来なら1週間に38時間あれば終わる業務量なのに、50時間かけるのが普通になっているとしたら、なぜそうなるのか、自分に問いかけてみましょう。この「余計な12時間」の間に、本当にどれだけの成果が上がっているのか、見直してみるのです。そして、そこまでして働く価値があるのかよくよく考えてみましょう。

では、こうしたケースとは異なり、長時間労働が避けられない立場にいる場合はどうでしょうか。働く時間を減らすのが無理だとしても、心配はいりません。ほかにもできることがいくつかあるからです。

解決策を実際に試してみよう

長時間労働に関して自らに裁量があるかどうかにかかわらず、以下に挙げるような提案は、負担軽減に役立つ「はず」です。1つの解決策ですべてがうまくいくことはまずないので、いくつかを組み合わせて試してみてください。自分に一番あったやり方を見つけ、それを実行に移すのです。

休みを有効活用しよう

まずは、得られる休みを有効活用する方法があります。有給休暇、あるいは夏休みや冬休みなどの制度を使って、仕事から離れる時間をつくるのは良い効果が期待できます。

こうした休暇中には、リラックスし、友人や家族と一緒に過ごす、日ごろの疲れを取る、楽しい息抜きをするなど、さまざまなことができます。いつも一生懸命働いているのですから、たまに休みを得るのは当然の権利です。精一杯活用しましょう。

時間を賢く管理しよう

過度な負担やストレスを軽減するには、時間の管理方法を見直すのも大切です。便利なツールの採用や習慣の変更、そして時間の使い方を調整し、改善することが、時間の有効活用の近道になるはずです。時間管理術は、時短とはまた別の独立したテーマですが、このような管理術の基本的な考え方を身につければ、時短にも確実に役立つはずです。

時間の使い方の実態を記録しよう

手始めに、自分の時間の使い方について、その実態を記録しましょう。これによって、それぞれのタスクにどれだけ時間を費やしているのか正確に把握できます。どこでどんな風に時間を使っているかがわかれば、改善もやりやすくなるでしょう。

こうした時間記録ツールとしては、『Toggl』という優秀なアプリがあります。ブラウザの拡張機能として組み込むウェブ版とモバイルデバイス版、両方のタイプが用意されています。1クリックでタスクの記録開始/終了ができ、集めたデータから、1日、1週間、1カ月単位で時間の使い方を検証できます。

タスクに優先順をつけよう

自分の時間の使い方を把握したら、次は優先順をつけましょう。後回しにしてもかまわないタスクに、やたらと時間をかけた経験はありませんか? 一番重要なタスクに真っ先に取り組んでいますか? 本当はやらなくても良いタスクもあるのでは?

優先順をつける時によく使われている方法として、「アイゼンハワー意思決定マトリクス」と呼ばれるものがあります。これは、押し寄せてくるさまざまなタスクを、「すぐにやる」「スケジュールを立ててやる」「人に任せる」「やらなくて良い」という4つのカテゴリーに分類するものです。この方式なら、1番、2番、3番、4番というやるべき順番が、ぱっと見ただけですぐにわかるというわけです。

ほかの人に任せられるものはないか考えてみよう

手元のタスクに優先順をつけたら、その中でほかの人に頼めるものはどれか、判断しましょう。必ずしもすべての項目を自分ひとりでやる必要はないはずです。ほかの従業員やチームのメンバーに肩代わりしてもらえるのなら、頼みましょう。

ほかの人に頼むタスクの管理には、『Meistertask』のようなツールを使うと便利です。このアプリは先ほどの『Toggl』と同様に、ウェブやさまざまなモバイルプラットフォーム向けのバージョンが用意されています。こうしたツールを使えば、それぞれのメンバーが担当しているタスクやその完了時期を把握できます。

時間を管理するためのこうしたアイデアをいくつか導入するだけでも、仕事にかける時間を減らし、自由時間をつくるのに役立つはずです。さらにこれを継続すれば、生産性が向上するだけでなく、気持ちの上でもプラスの変化があることに気づくでしょう。

長時間労働の影響は?

あなた自身は、生産性と長時間労働の間にある関係に気づいていますか? 働く時間が長くなると生産性が下がるという実感があるなら、そうした状況を変えようとしてみましたか? 現実問題として、労働時間の削減が難しい業界も多いのですが、適切な時間管理を導入すれば、問題の軽減に役立つはずです。

Sandy Stachowiak(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)

Image Credits: alphaspirit/Shutterstock
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