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「無料」から使える3Dモデリングツール「Fusion 360」とは? DIYでオリジナルのライフハックツールをつくろう!

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「無料」から使える3Dモデリングツール「Fusion 360」とは? DIYでオリジナルのライフハックツールをつくろう!

目覚めよ、3Dプリンター! 1カ月あれば3Dモデリングで遊べちゃう世の中になりました。

ガジェットやウェブサービスなど、日々の暮らしに役立つ便利なツールを紹介する連載今日のライフハックツールでは、「伸縮自在なカメラストラップ」や「好きな位置に固定できるUSBハブ」などを取り上げてきました。

今回紹介するツールは3Dプリンターで出力したマネークリップ...なのですが、それよりも注目してほしいのは、それを作るために使った無料の3Dモデリングツール

趣味利用であれば無料といえど、ビジネス目的でも盛んに利用されているだけあって、実力は折り紙付き。日本語にも対応しています。300万円以上するソフトに搭載されているプロ仕様の数々の機能も使えて、世の3Dモデラーを熱くしているAutodeskFusion 360です。

小銭を減らしてスマートに暮らすなら、マネークリップがおすすめ

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「今日のライフハックツール」では100以上のツールを紹介しましたが、いまだに「これ!」というマネークリップと出会えていませんでした。

でも、マネークリップが活躍する環境は整ってきたように感じます。電子マネーやクレジットカードで支払える場所もますます増えました。僕が好きな銭湯の1つ、東京・立川「梅の湯」も電子マネーでいつもラクラク払いです。お札や小銭でいっぱいの財布を持つのはスマートではないし、現金を下ろすためにATM手数料を払い続けるのもムダというもの。

以前にマネークリップの良さを愛用者が話した記事では、ポケットが軽くなる、領収書をマメに整理するようになる、ちょっとした無駄遣いをやめられる(小銭を増やしたくない)...といったメリットを挙げていました。

そこで、ライフハッカー伝統「無いなら作ればいい!」のDIY精神を発揮した編集部では、オリジナルのマネークリップを作ってみることに。せっかくならば、誰でもダウンロードできる3Dデータを用意して、3Dプリンターで出力をすれば使えるようにすると、みんなで楽しめて良さそうです。

愛好者オススメの3Dモデリングツールで始めよう!

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そこで、今回は日頃から3Dモデリングを楽しみ、ブログでデジタルファブリケーションの情報発信もしているしめばら@とものりさんにご協力いただきました。

その際、しめばらさんが勧めてくれた3Dモデリングツールが「Fusion 360」でした。メニューがシンプルで使いやすく、業務用に搭載される機能も有しており、なおかつ学生、趣味利用、年間売上高10万ドル未満のスタートアップ企業の方なら無料。スタートアップに該当しない企業でも年間で36,000円(税別)で利用することができるので、いずれにせよ非常にリーズナブル。

64ビット版のWindowsとMacに対応しており、環境を選ばないのもポイントです。 64ビット版のノートPCでメモリが8GBあれば、そんなに複雑ではない3Dモデルなら難なく作業できるそう。大掛かりなデータを作るなら、デスクトップPCでは「NVIDIA」などのグラフィックボードを積んだり、外付けGPUを追加するのも手です。

また、ローカル環境でも使えますが、「Fusion 360」はクラウドベースなのも魅力。ネットにつながればデータや作業環境を呼び出せるため、いつでも「自分の作業場」にできます。

さて、作りたいマネークリップのイメージを伝えて幾日。しめばらさんから「完成!」の知らせが届きました。製作過程をおさらいしつつ、早速データを拝見します。

「Fusion 360」でオリジナルマネークリップのデータを作る

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こちらが出来上がったデータ。おお! カードケースとマネークリップの一体型ですね。

「よくある金属製のマネークリップを模したものを3Dプリンターで出力しても、薄くて折れてしまいます。ある程度の厚みが必要ですが、厚すぎても野暮ったい。そこで、強度を持たせながらもスマートさを出すために、マネークリップ部分は2mm厚に落ち着きました。その上で、カードは落ちないようにホルダーへ収納し、はめ込むようにしました」

しめばらさんが考えたように、「家庭用3Dプリンターで出力すること」を常に意識すると、デザインにも一定の制約ができ、現実性が増すのだそう。たとえば、ホルダーの穴は、3Dプリンターが樹脂などを薄い層に積み上げて立体にしていくため、真四角にすると長辺の部分が中空になって、長いほど垂れ下がってしまいます。サポート材を極力使わなくてすむデザインと現実性のバランスを取って八角形になりました。

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さて、製作工程を見ていきましょう。

しめばらさんがまず作ったのは、収納するカード現物のサイズをノギスで計った実寸データ。そもそも収納するものからモデリングして作れば、実際にプリンターで出力してもぴったり合う、という考えです。なるほど。今回は見た目通りに交通系ICカードを採用。

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カードホルダーにはめ込むマネークリップ部分は、0.2mmほどのスキマを開けています。その理由は「3Dプリンターで出力したものは冷えると若干縮むので、ほんの少し余裕をもって作ったほうがぴったり入るようになる」という、しめばらさんの経験によるもの。3Dプリンターの特性を理解し、興味を持って調べることでナレッジが貯まっていくのですね。

また、マネークリップやカードケース部分の造形は「押し出し」機能を使うとスムーズ。まずは二次元の平面図をスケッチし、その平面図を伸ばしていくイメージです。まさに3Dプリンターの出力にも通ずる発想でしょう。

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"lifehacker"の文字部分はマネークリップを凹ませて表現する、印刷で言うところの「空押し加工」が施してあります。こちらも平面の文字データを「押し出し」ているのですが、そのまま型抜きしようとすると、平面部と曲面部で抜け方が変わってしまいます。

そこで、設定にひと工夫。抜きたい部分を「オブジェクトから」にして、「指定した面に対して何ミリ厚で抜くのか」と指示することで曲面にも対応できるようになります。

この柔軟な設定も、数ある有償ツールには搭載されているものの、無償のものでは珍しいそう。「Fusion 360」にも半年ほど前から搭載された追加機能で、「表面刻印が便利になった」としめばらさん。

他にも、数々の優れた機能が「Fusion 360」には用意されています。前述のように「有償ツールには当たり前にあったけれど...」といった高機能が試せるのは大きな利点です。

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また、しめばらさんが「Fusion 360」の魅力に挙げたのが高性能なレンダリング。ざっくり言うと、3Dデータから実際に出力したようなイメージ図を製作できる機能です。

「家庭用の3Dプリンターは時間もかかりますから、レンダリングで写真のように見て、出力せずに楽しむことも多いです(笑)。写真やイラストを見て、癒されるような感覚にも近いですね。新型iPhoneが出る度にリーク画像が出回るように、「実物がなくてもそれが見られる」というワクワク感もあります」

上記画像は「Fusion 360」の作業画面ですが、たしかに出力した現物写真のよう...とはいえ、今回はちゃんと出力してみます!

いざ、3Dプリンターで出力してみよう!

しめばらさんに製作していただいたデザインデータを元に、「DMM.make」の3Dプリントサービスを利用して、マネークリップを出力しました。とはいえ、やったことはサイト上からデータをアップロードして届くのを待つだけ。カンタンです。

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そして、ライフハッカーオリジナルのマネークリップが届きました!

素材は宝飾品の原型などに向いているという「アクリル(Ultra Mode)」を使用し、カラーはロゴに合わせてグリーンに。今回はちょっと良い素材を使ったこともあって、ケースとクリップの合計で1万円ほどかかりました。

このアクリルは、他にもイエローやピンクなどのカラーが用意されているので、好みに合わせて変えられるのも楽しみです。3Dデータの原型だけがあり、出力素材で遊べるのも3Dプリントの魅力といえるでしょう。

「1万円は高いなぁ」と感じたら、ナイロンなどのより手頃な素材を選ぶと、もっとコストを下げられるようですよ。

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しめばらさんが工夫をした、ケース部分の八角形の穴もきれいに出力できていますね。3Dプリンターならではの「冷えて縮む特性」も考慮したおかげで、交通系ICカードやクレジットカードもぴったり収まります。

ちなみに、それらの厚めのカードなら3枚は収納できます。ポイントカードの類の薄さなら、もう少し入りそう。これだけ入れば持ち歩くには十分でしょう。逆に「ここへ収まる分だけ」と考えられるので、持ち物の整理にもなります。

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お札をはさんでみると、こちらもしっかりホールドされます。アクリル素材なので、お札がうっすらと透けてみえるのも、スッキリ感に一役買っているような。

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お札とカードだけをまとめて、胸ポケットへ。早速、マネークリップ生活を始めた編集部員に感想を聞いてみました。

「思っていた以上に、というと失礼かもしれませんが、お札・カードともにしっかりとホールドしてくれるので、実用性が高いですね。シャツの胸ポケットにジャストサイズで入るから、出し入れが楽なのもありがたい。財布をお尻のポケットに入れるとかさ張るし、かと言って鞄にしまうと出し入れが面倒。そう感じていた僕にとっては、便利なだけでなく小さなストレスを減らしてくれるこのマネークリップは、まさに『今日のライフハックツール』となってくれそうです」

しめばらさんに聞く「初心者でも3Dモデリングが上達する近道は?」

カード数枚とお札だけをコンパクトに持ち歩ける、オリジナルのマネークリップができました。今回はしめばらさんにご協力をいただきましたが、アイデアを思いついたら「Fusion 360」で自ら造形を楽しめるようにもなりたいものです。しめばらさんは「初心者でも1カ月あれば、基本的なことはできるようになりますよ」とエールを送ります。しめばらさんも本職は業務系ソフトウェアを手がけるエンジニアで、3Dモデリングは趣味として始めたそう。

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しめばらさんの作品一例。3Dモデラボより。

ブームに乗る形で3年ほど前に3Dプリンターを購入、まずは「Thingiverse(シンギバース)」といったコミュニティサイトからデータをダウンロードし、出力していました。そこから3Dプリンターをより活用したいと考え、さまざまな無償ツールを手探りで使っていくうちに、それらのナレッジを含めてブログで情報を発信するようになったのだとか。

「以前作ったものの中に、とあるシステムキッチンのパーツがあります。ある時、私のブログを見て、こんな質問してきた人がいました。『メーカーサポートが終わってしまって部品が供給されていないパーツがあり、現物は残っているけれど、3Dプリンターを活用してどこかで作ってもらえますか?』と。そこで、私が製作を代行したんです。ノギスで現物のサイズを計って、3Dプリンターで出力して贈ったら喜ばれましたね」

他にも、なくなってしまった「折り畳み傘の先端部品」を作ったことも。すでに手に入らないパーツを作る、というのは3Dプリンターの活用法として非常に有益でしょう。

しめばらさんに3Dモデリング上達のコツを聞いてみると、ある先輩メイカーのアドバイスを教えてくれました。

「3Dデータモデリングなどを手がける株式会社ストーンスープCEOの浦元淳也さんから教わった『モデリング脳』の考え方は大いに役立ちました。モノは複数の形状が組み合わさってできている、という考え方です。たとえば、ペットボトルならキャップは円柱で、本体は立方体で...と、形状をパーツひとつずつに分解して見ていくのです。その組み合わせイメージがつかめれば、立体造形はずっとやりやすくなりますよ」

3Dデータモデリングは「優秀なツール」と「考え方」で、ずっと身近になった

ライフハッカーオリジナルのマネークリップは、こちらからダウンロードが可能です。

クリス・アンダーソンの著書『MAKERS』が翻訳刊行されたのが2012年末。そこから家庭用3Dプリンターが流通するようになり、私たちは未来へ期待を寄せました。しかし、肝心の「3Dデータを作る」というハードルがずっと高く、二の足を踏んでいた方も多いのではないでしょうか。

無償から使える「Fusion 360」は、そこから次のアクションを起こすのにぴったりなサポーターといえそうです。ツールを触るうちに疑問が芽生えても、各地のFabスペースでユーザーと交流したり、あるいはウェブ上のフォーラムやサイトを調べたりすれば、解決のヒントはずっと見つかりやすくなりました。

まさに「時は来た! それだけだ」。自宅に眠れる3Dプリンターを目覚めさせ、趣味としての3Dモデリングを始めてみるのは、数年前よりずっと手軽なことになったようです。「モデリング脳」でモノの形状をとらえたら、あとは「Fusion 360」で平面からの「押し出し」を活用して、簡単な造形からスタートしてみませんか。

趣味目的のご利用はこちらからどうぞ。
商用利用の場合はまずはこちらのページからお問い合わせください。

Fusion360|3D Fab

(長谷川賢人)

Photo by shutterstock.
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