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米Amazonが肉体労働者が失業する世界を見据えたキャリアプログラムを発表

米Amazonが肉体労働者が失業する世界を見据えたキャリアプログラムを発表

Inc.:シリコンバレーでは、現在アメリカ人が担っている単純作業の仕事の多くをこなせるような物理的能力と人工知能を備えた新しい機械がどんどん開発されています。これが、いわゆる自動化と呼ばれるもので、すでに、製造業、ファストフード、長距離輸送といった業界で、人間の労働者の仕事が置き換えられています。だからこそ、Amazonがアメリカで10万人を新たに雇用すると発表したことは、とても意味深いのです。

これがドナルド・トランプ大統領の影響――彼のチームは、自分たちの功績にしようとしていますが――なのかどうかは別として、今回アマゾンが提供するような仕事こそ、今年、ブルーカラー労働者が探すべき仕事の見本です。なぜかというと、その仕事には、Amazonが「キャリア・チョイス」と呼ばれる、非常に重要な福利厚生プログラムがついてくるからです。

1月12日、Amazonがこのような発表をしました。「Amazonの「キャリア・チョイス」プログラムは、従業員がAmazonの社内や他社で需要の高い仕事に就き、この国のイノベーション経済の恩恵を十分に享受できるよう、その訓練を手助けするものです。このプログラムは、高需要・高報酬の分野の職業に就くための教育訓練費用の95%を支払います。そこで得たスキルを、将来Amazonで使っても使わなくても関係ありません」

つまり、対象となった従業員は、Amazonから給与をもらって働きながら、自動化の煽りを受けない職種に就くための訓練を受けられるということです。この制度の対象となる仕事の多くは、各地の「フルフィルメントセンター」の仕事です。ということは、これらの倉庫はいずれなくなる可能性が高いということなのでしょう。しかし、この制度を活用した従業員は、将来の雇用に備え、自動化の脅威に打ち勝つことができるというわけです。

Amazonは、10万件の新規雇用のうち何件に対して「キャリア・チョイス」が適用されるのかについてはコメントを控えていますが、Inc.の取材に対し、フルフィルメントセンターで働く時間制従業員の多くが「キャリア・チョイス・プログラムの対象となり、既定のオンサイト研修室を利用することができます」と回答しています。

現在求職中のブルーカラーの人は、近い将来、肉体労働の仕事がなくなってしまうので、このような福利厚生プログラムを求めるべきです。

たとえば、オンライン配車サービスUberの例を考えてみましょう。サンフランシスコを拠点とする同社は、多くの雇用を創出したと主張していながら、自動運転車の開発を積極的に進めることで、それを自ら潰しにかかっています。また、カリフォルニア州マウンテンビューのZume Pizzaは、大半の店舗に調理ロボットを導入してコストを下げている、というのがウリです。

今のところはまだ、この制度を活用しているAmazonの倉庫従業員は少ないようで、「キャリア・チョイス」の研修を受けているのは、既存従業員18万人中、わずか9000 人です。しかし、このような制度をつくったAmazonは、社会的意識が高いと言えます。ブルーカラー労働者が有給で働きながら明日に備えられる機会を創出しているのですから。

またこのプログラムは、企業が、ここ数年で苦難の変革期を乗り越えなければならない労働者を導くための、新たな基準となるかもしれません。Amazonは、従業員の再教育にかかわることは、すべてをオープンソース化し「他企業がこのモデルを模倣し、独自のキャリア・チョイス・プログラムを導入できるよう、積極的に働きかけている」と言っています。

Amazon Helps Workers Prepare for Life After Automation|Inc.com

Salvador Rodriguez(訳:和田美樹)

Photo by Shutterstock
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