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大学時代の友人ネットワークには「3つのタイプがある」:研究結果

大学時代の友人ネットワークには「3つのタイプがある」:研究結果

大学生は多くの時間を友人と過ごしています。平均的な大学生では1週間のうち授業に出ている時間がわずか15時間なのに対し、友人と過ごす時間は86時間にものぼるとの調査結果があるほどです。

しかし、学生時代の友人関係が果たす役割や、それが学業や社会的な成果に及ぼす影響については、どれほどのことがわかっているのでしょうか?

筆者は近著『Connecting in College: How Friendship Networks Matter for Academic and Social Success』(大学内の人脈作り:友人のネットワークが学業と社会的成功に及ぼす影響)の中で、友人同士のネットワークに着目し、これを分析しました。その結果、大学生が作る友だちのネットワークが、さまざまな形で影響を与えることがわかったのです。

学生時代の友人には、モチベーションの源泉となり、困った時の助けとなる面もありますが、逆に友だち付き合いが学業の足を引っ張るケースもあります。

重要なのは、こうした友人関係のネットワークが果たす役割を自覚することです。友人そのものだけでなく、お互いを結ぶつながりの役割についても、よく知っておくことが肝心なのです。

人的ネットワークが人に与える影響

人的ネットワークが私たちの生活に及ぼす影響は、健康や幸福度、経済的成功、感情、さらには体重にさえあるほどです。実際、社会学研究者のNicholas A. Christakis氏とJames H. Fowler氏が刊行した著書『Connected』の中で記しているように、人的ネットワークは、人の「感情や思考、行動」のすべてに影響を与えているのです。

人的ネットワークの重要な一部分を占めるのが、人と人とのつながりです。私たちは家族や友人、職場の同僚、さらにはより緩やかなコネクションによって、さまざまな人々とつながりあっています。

一例を挙げると、40年ほど前には社会学者のマーク・グラノヴェッター氏が「弱い紐帯」の重要性を指摘しています。これは職探しなどの状況では、あまりよく知らない人、単なる顔見知り程度の人とのつながりが大切だという説です。グラノヴェッター氏の研究は、人的ネットワークに誰が含まれるかだけでなく、つながりの種類が果たす役割を提起しました。

こうした人的ネットワークにはプラスの効果も期待できますが、すべての人がこうしたメリットを享受できるわけではないということもわかっています。

前述のChristakis氏とFowler氏のように、「友だちの友だちの友だち」といった非常に広い範囲のつながりに関する研究もありますが、筆者は対象を限定し、より狭いネットワーク内でのつながりについて突っ込んだ分析を行いました。

筆者はまず、調査対象者の友人と、友人同士の関係に着目しました。その結果、人的ネットワークには3つのタイプがあり、もたらされるメリットやデメリットもそれぞれ違っていることが判明したのです。

大学生の友人ネットワークをマッピング

筆者は大学生同士の人的ネットワークを調査することにしました。学生の成績に影響を与える要素の中でも、友人関係は非常に重要なのにもかかわらず、一番見過ごされているものの1つだと感じたからです。

2004年に、筆者は「MU」(仮名、米中西部にある大規模な公立の4年制大学)に通う82人の学生を対象に、各人の友人関係について聞き取り調査を行いました。

調査対象となった学生は、さまざまな階層出身の白人、黒人、ラテン系の男女と多様で、大学内で属している組織も多岐にわたりました(中にはどの組織にも関わっていない学生もいました)。それぞれの学生が友人としてあげた人の人数は3~60人でした。

筆者はそれぞれの友人についての情報と、友人同士のつながりについても情報を得ました。これに基づき、友人関係のネットワークについてマッピングを試みました。

さらに調査対象となった学生を、ネットワークの種類に基づきカテゴリー分けしました。ネットワークには、緊密型コンパートメント型ピックアップ型の3タイプがあることがわかりました。

以下に説明するように、緊密型の学生のネットワークは毛糸玉、コンパートメント型は蝶ネクタイ、ピックアップ型はヒナギクの花に似た形をしています。

では、こうしたネットワークの詳細と、そのメカニズムについて解説していきましょう。

1. 緊密型ネットワーク

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緊密型のネットワークを持つ学生は、非常に密接に結びついた友人のグループを形成しています。このネットワーク内の友人は、ほとんどがお互いのことを知っています。

筆者が調査した、アルベルトというラテン系の男子学生は、この緊密型に分類されます。彼の友人グループは、地元の友だちとMUに入学してからできた新しい友人から構成されていて、アルベルト自身はこのメンバーを「家族」と呼んでいました。

アルベルトが大学のキャンパスで人種差別的な扱いを受けた時にも、この友人グループが彼の力になってくれました。アルベルトは友人たちにこうした出来事について打ち明け、大学の教官や同級生が、彼から見るとラテン系の人たちを「軽蔑」する「失礼な」言動をした時のことについて話し合いました。

アルベルトの場合は、緊密型の友人ネットワークが、学業と社会性の両面で彼を支えていました。友人たちは一緒に勉強し、気持ちの面で大学生活を支え、さらには知的好奇心を刺激する会話を楽しんでいました。

とはいえ、緊密型のネットワークが常にこうしたプラスの効果を発揮するとは限りません。一部の学生では、かえって学業の邪魔になっているケースも見られました。

筆者の調査では、緊密型の学生のうち半分では、友人たちのネットワークが支えになはならず、かえって授業に出席したり勉強したりする上での妨げになっていることがわかりました。例えば、ラターシャという女子学生は、勉強しようと思っても、寝ている友だちを見かけると自分も疲れていたのに気付き、結局勉強もせずに寝てしまうと話していました。

3種類のネットワークの中でも、一番行動の連鎖が起きやすいのがこの緊密型です。アルベルトの友人のように、学業に役立つ行動でも、ラターシャの友だちのように勉強の妨げになる行動でも、ネットワーク内ではすぐに伝播していきます。

3タイプの中でも、学業や人付き合いの成果に一番大きな影響を与えるのが、緊密型ネットワークなのです。

2. コンパートメント型ネットワーク

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筆者が「コンパートメント型」と呼ぶ2つ目のグループでは、ネットワークが2つ~4つのクラスタに分かれています。同じクラスタ内に入る友人同士は知り合いですが、クラスタをまたいだ知人関係はほとんど存在しません。

例えば、白人で中産階級出身の女子学生、メアリーの場合は自分の友人を地元の友人とMU内の友人という2つのクラスタに「コンパートメント化」しており、それぞれから別のメリットを得ています。

メアリーは、社会的には地元の友人に支えられていると感じていますが、大学生活に関しては、大学内の社交組織に属する友人たちも感情面で頼りにしています。しかし、学業に関して一番頼りになるのは、こうした友人たちではなく、同じ授業を取っている知り合いの学生たちだということもわかりました。こうした学生たちと、メアリーはノートを貸し借りしたり、試験の前にお互いに質問を出し合ったりしていたのです。1つしかない友人グループが多様な面で支えてくれる緊密型の学生と違い、コンパートメント型の学生では、複数のグループがそれぞれ違った種類の支えを提供しています。

全体的に見て、コンパートメント型の学生はより恵まれた環境の出身であることが多く、他のタイプの学生と比べても、キャンパスでの生活に問題なくなじみ、友人からの支援がそれほどなくても良い大学生活が送れる人が多いと言えます。

この型の学生にとって難しいのは、それぞれのクラスタを維持していくことです。

例えば、ジムという学生は筆者に対し、「友だちと過ごす時間が少ないと、みんな離れていってしまうのではないかと不安です」と話していました。ジムはすでに地元の友だちとは「疎遠になっている」と感じていて、2つあるMU内の友人クラスタとうまく付き合いながら、大学の授業について行くのは難しいとのことでした。

3. ピックアップ型ネットワーク

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3つ目のカテゴリーとなる「ピックアップ型」の学生は、学内組織や授業、アルバイトの職場など、さまざまな場所から1人1人友人を選び、個別に友人関係を結んでいます。その結果、友人同士のつながりは薄いのが特徴です。

緊密型やコンパートメント型の学生の多くが、学業や社会性の面で友人が助けになっていると感じているのに対し、ピックアップ型の学生は独力で勉強に励み、良い成績を上げるタイプです。

調査対象となった中でこのタイプと判定された1人、スティーブは労働者階級出身の黒人男子学生でした。スティーブはさまざまなイベントやフードコートなどの大学内の施設で、個別に友人関係を結んでいました。筆者が調査した有色人種の学生の多くと同様に、スティーブも大学内で人種が原因でほかの学生から距離を置かれた体験を語っていました。

とはいえ、ほかのピックアップ型の学生と同様に、スティーブがこうした体験を友人と話し合うことはめったになく、孤立したままの生活を送っていました。また、学業においても孤独感を覚えていました。

多くの友人を持ち、多岐にわたる学生組織に参加して活発に活動を行っているにもかかわらず、MU内でスティーブは人付き合いと学業の両方で自分が孤立していると感じていたのです。

ピックアップ型の学生の場合、友人が学業の妨げになることはないのですが、筆者自身は「友人からの助けがあれば、さらに良い成績を挙げられていたのでは?」という疑問を抱きました。

大学卒業後の友人ネットワークは?

さて、学生たちが卒業したあと、こうした友人ネットワークはどうなるのでしょうか?

最初の調査から5年後、筆者は同じ学生たちから聞き取り調査を行い、卒業後の自らの立場や友人ネットワークの状況について話を聞きました。この2度目の調査の時点で、調査参加者たちは大学を出て1~4年が経っていて、年齢は23~27歳の間でした。

この時筆者が興味を持っていたのは、5年経っても友人関係が継続しているケースがどのくらいあるのか、また、ネットワークの種類に変化があるのか、という点です。

特定の友人関係やネットワークの種類が卒業後も維持されるかどうかという2点については、大学時代の友人ネットワークの状態が大きな意味を持つことがわかりました。

ネットワークの種類に関しては、全般的に、コンパートメント型の学生は5年経ってもそのままコンパートメント型で、緊密型も同様でした。これに対し、ピックアップ型だった学生のうち、卒業後もこのタイプのままだったのは1人だけでした。

この結果からして、ピックアップ型の学生はほかのタイプと違い、本人のもともとの性格や友人関係に対する好みというよりは、MUという環境への不適合からこの型の友人関係を結んでいたと考えられます。

こうした全体的傾向に従うように、アルベルトは5年後も緊密型で、メアリーはコンパートメント型のままでした。また、スティーブは緊密型に変わっていました。緊密型のネットワークを結んだことで、スティーブは人から支えられていると感じ、大学卒業後はひとりぼっちでいることもなくなったといいます。

また、個別の友人に関しては入れ替わりが激しく、5年後も関係が続いていた友人は全体のわずか25%でした。言い換えれば、学生時代に20人を友人として挙げていたとしても、卒業後もネットワークに残るのはそのうち5人だけということです。

5年後も友だちだった人の割合が一番高かったのは緊密型で、コンパートメント型とピックアップ型の23%と比較して、30%が友人ネットワークに残っていました。緊密型の学生は大学時代に密接な絆を築くため、全体的に友人のネットワークには比較的変化が見られませんでした。当然ではありますが、緊密に結ばれたつながりは長続きするというわけです。

この調査の結論は?

学生の学業および人付き合いに友人関係は大きな影響を与えます。アルベルトやメアリー、スティーブの例で分かるように、ネットワークの各タイプにはそれぞれにメリットとデメリットがあり、その影響は大学在籍中も卒業後も続きます。

学生たちは自分の友人ネットワークについて自覚し、それが自分に対して与えるプラスとマイナスの影響についても理解する必要があります

例えば、緊密型の学生は、友人が学校の勉強に関して自分を高めてくれるのか、それとも足を引っ張っているのかについて、特に意識すべきです。

コンパートメント型の場合なら、自分のネットワーク内にある複数のクラスタに留意するべきでしょう。大切な友人関係や大学生活が損なわれないように、自分の時間の多くを割くべきクラスタはどれなのか、意識的に優先順をつける必要があります。

ピックアップ型の学生は、友人に頼ることも時には価値があると理解し、友人同士で助け合うグループを作るよう、積極的に動くこともできるかもしれません。

それ以外では、学生は友人の人となりだけでなく、友人同士のつながりも重要だという点を忘れないようにするべきだというのが、この調査の結論です。

How your college friendships help you ? or don't | The Conversation

Janice M. McCabe(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)

Photo by Pixta, mathizworks via Getty.
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