
複数の銀行口座、証券口座に電子マネーとさまざまな形で保有されている自分の資産、その全貌はよくわからない状態にあるものです。
「どこかに数千円あるかも、と給与振込日前にあまり使っていないキャッシュカードを順番に残高照会した」「クレジットカードの支払い明細が見当たらず、どこの銀行にいくら入れておけばいいか分からず支払日に焦った」という経験をした人もいるのではないでしょうか?
覚えておけない、というのは罪ではありません。仕事術として有名なGTD(Get Things Done)のアプローチでは「創造性を発揮するためには"覚えておく"ために脳の容量を使わず、できるだけ外部に記憶やメモを保存しておくように」とアドバイスされますが、お金の問題も同様です。
「記憶に頼って、覚えておく」のではなく「忘れてもいいが、いつでもチェックできる」ようにしておくのです。発想を逆転するという点で、これもマネーハックだと言えるでしょう。
今回のマネーハック心理学では、「アプリを活用してあなたのお金の流れを見える化する方法」をご紹介します。
「アカウントアグリゲーション」で一発表示可能
アカウントアグリゲーションという仕組みをご存知でしょうか? これは複数の口座を一元管理する仕組みのことです。
私たちは複数の金融機関と取引としています。
- 銀行(メインバンク)
- 銀行(ときどき使う銀行)
- 銀行(ネットバンク)
- 証券(少しだけやっている投資の口座)
- クレジットカード(メインで使うもの)
- クレジットカード(電子マネーやETCなど一部の利用で使う)
- ...
たとえば上記のように、日常的に使うカードは何枚もあるはずです。電子マネーも含めるとさらに枚数は増えます。そして、以下のことがすぐに分からない状態になっているために、私たちは日々右往左往するハメになっているのです。
- 合計でいくらあるか/それぞれいくらあるか
- カードの引き落としはいつでいくらか
- 電子マネーにはいくらずつ入っているか
しかしアカウントアグリゲーションを活用すれば、アプリ1つで問題を簡単に解決することができるのです。
最近流行のフィンテック(金融とITの融合)でも、アカウントアグリゲーションは注目株の1つですが、それは身近なスマホで誰でも簡単に使えるものだからです。
「最初の一手間」が便利の元になる~『マネーフォワード』をインストールしてみよう
日本で今のところ、一番便利だと思われるアカウントアグリゲーションサービスは『マネーフォワード』です。これはiPhoneでもAndroidでも利用できますから、まずはアプリをダウンロードしてみましょう。
そして初期設定で、自分がもっている銀行預金口座、証券口座、クレジットカードの登録をしていきます。国内で流通しているほとんどの口座は対応していると思います。ユニークなところでは確定拠出年金口座も対応しているので、会社の退職金(企業型)や最近はやりのiDeCo(個人型)の口座も一元管理できるようになります。
ただし、この最初の手続きだけが面倒です。それぞれのオンライン口座ログインのためのIDやパスワードをとにかく何度も入力しなければならないからです。場合によってはパスワードを再発行したり認証方法を変更する必要があるかもしれません。
アカウントアグリゲーションは一度使い始めると「こんな便利な仕組みが!」と思いますが、初期設定の面倒だけはいかんともしがたいところです。仕事もちょっとゆったりしているときに一気に設定してしまうことをオススメします。
自分のお金が「一目」で見えるようになる!
『マネーフォワード』でアカウントアグリゲーションをしたらまず使ってみたいのは、自分のお金の一覧が一目で見えるようになる機能です。
「口座」のタブをクリックすると、以下の情報を確認することができます。
- 自分の全財産チェック
- 各口座ごとの残高一覧
- 各クレジットカードの支払い額
実はこれだけであなたの「お金の便利」は大幅に拡大します。マネーフォワードを起動して簡単に残高チェックでき、必要があれば最短コースで資金移動ができるようになるからです(残高を確認後、メインバンクのATMに行って、その後コンビニATMで入金する、などが不要になります)。
もし、あなたの使っている銀行がオンラインバンキングの他行振込手数料無料条件をクリアしていれば、資金移動もスマホで無料でできてしまいます。
「それだけで、そんなに便利になる?」と思う人ほどだまされたと思って試してみるといいでしょう。各サービスサイトやアプリでひとつひとつログインし確認しなくてもよい、ということのシンプルな便利さに驚くはずです。
気がつけば「お金の流れ」も可視化されていく
給与振込口座である銀行口座が登録されていて、利用するクレジットカードがすべて登録されていれば、大まかなお金の流れが月単位で把握できるようになります。すべての口座の「入金額」と「出金額」が分かるようになるからです。つまり家計簿的機能が実現されるわけです。
なんといっても、自動的、ということがいいことです。クレジットカードや銀行口座から自動引き落としは自動的に転記されていきます。自動引き落としされているガス代や電気代をわざわざ手入力する必要はありません。クレジットカードで購入したものは履歴をベースに金額が入力され、仮仕分けまでされます。
現金でおろしたお金についても「下ろしたお金」として認識されますから支出としては認識されますし、明細の入力も行えます。
グラフ化も自動で行えるので、口座全体の流れが見える化し、家計改善にもつながっていくことになります。
マネーフォワードは、フルバージョンで機能を利用したり、1年以上の過去ログを残しておきたいと思ったら、有料プランに加入する必要がありますが、まずは無料期間である30日間、使ってみてはいかがでしょうか? 課金するかはそのあと考えてもいいと思います。
なお、アカウントアグリゲーションとしては、他にも『Moneytree』等のアプリがあります。好みで比較してみてもいいでしょうね。
登録の「一手間」を、もしかすると年末に「やってよかった」と振り返ることになるかもしれません。ぜひ利用してみてください。
(山崎俊輔)
Photo by マネーフォワード.山崎俊輔
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