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「80's洋楽についての書き下ろし本はこれが最後」。ノーナ・リーヴス西寺郷太さんインタビュー

author (聞き手/米田智彦、文/開發祐介、写真/廣田達也)
「80's洋楽についての書き下ろし本はこれが最後」。ノーナ・リーヴス西寺郷太さんインタビュー

今後は日本のポップスについて書きたい

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米田:洋楽に関する本の執筆は今回の『ジャネット・ジャクソンと80'sディーバたち』でやめられるのですか?

西寺:80's洋楽について書き下ろすのは最後ですが、邦楽については書きたいことがあるんです。『ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い』で80'sポップスの終わりについて書きましたが、同じ現象が2、3年後の日本でも起きるんですよね。その象徴が少年隊と光GENJIであり、その後のSMAPです。

70年代から80年代にかけての完成形としての少年隊と、そこにポンと入ってきたローラースケート履いた光GENJI。そして、その短期政権が終わったあとに、SMAPが長期政権を築く。この3世代のことについては書きたいんです。まずは少年隊についての本を書きたいと思っていて、本が出ることも決まってます。が、いつになるでしょうね。

米田:西寺さんが日本のポップス、それもジャニーズについて書くという、今後の展開は楽しみですね。

西寺:日本の邦楽について、40代で何冊か書ければと思います。

少年隊は、僕は3人それぞれと直接仕事をしたことがあって仲良くさせてもらってます。だから、まだ皆さんが現役のうちに、僕が話を聞いて書くということをやりたくて。ジャニーズもいろいろな論評の仕方があると思いますけど、実際に仕事をしたり曲を作ったりしている人間が書くというのは、今までなかったと思います。

米田:小説に関してはいかがですか?

西寺:小説は、2、3年温めている企画があるんです。今年の秋にA.B.C-Zの舞台『ABC座2016 株式会社応援屋~OH & YEAH~』の脚本を書いていて、それが終わったらスタートする予定でしたが、2017年はワーナーからデビューして20周年で、ノーナ・リーヴスの活動もこれまでになく活発になるのでなかなか難しいです。少年隊の本はもうちょっとあとで、小説のほうが先ですね。

以前1冊だけ、小説とドキュメンタリーが混じったような、『噂のメロディ・メイカー』という本を書きました。これは半分小説ですが、主人公は僕なので、沢木耕太郎スタイルって言ってるんですけど(笑)。

今回は完全にフィクションで、音楽にちょっと関係のある話なんですけどね。

米田:小説を書くときのモードっていうのは、また違うものですか?

西寺:どうですかね。でも今回書いた脚本も小説みたいなものだとすれば、すごく楽しいですけどね。楽しいっていうか、面白い。「80's洋楽モノ」は、事実関係や情報の誤りなどがあれば明らかに「間違い」となってしまうけど、クリエイティブなものってつまんないか面白いかだけで、間違いってさほどないですからね。もちろん全部難しいですけど。

80's洋楽モノは次々と周りや編集者が企画を持ってきてくれたり自由を聞いてくれちゃうようになって、僕もそれで揺れ動いちゃう可能性もあるんで、戒めとして「これを最後にします」って言っているんです。なので、小説のようなクリエイティブなものと邦楽モノは、これからも書いていきたいですね。

ノーナ・リーヴスというグループがあるのが僕の強み

米田:西寺さんはマルチタレントのように、ご自身の音楽活動に加え、楽曲提供、執筆、舞台の脚本まで、さまざまな活動をされていますが、それらを並行して行っていくのはとても大変じゃないですか?

西寺:大変ですけど、いろいろなことをやれているからいいなと思いますね。この秋も『ユーリ!!! on ICE』というTVアニメーションが始まって、その作詞をやったり、Charisma.com(カリスマドットコム)ではトラック作りとプロデュースをやったり。

A.B.C-Zの舞台では、作詞作曲編曲をやって脚本も書きました。ジャニーさんにも直接お会いできてエキサイティングな舞台でした。その前、同じ錦織一清さん演出で行われた1月の『JAM TOWN』というミュージカルでは、音楽担当で、自分で全公演ドラムも叩いたんですよ。1年にバンドのアルバムもリリースして、ツアーもして、新作ミュージカル2つ作って、本も出版するっておかしいペースですよね(笑)。ただ、なんかいろいろなやり方があるから、ストレスが溜まらないっていうのはありますね。

僕にとっては、ラーメンを食べて、次の日はカレー食べて、次の日はおすし食べてって、鍋にしよういうのと一緒で、むしろずっと毎日ラーメンのほうがつらくて、ちょっと気分変えたいなっていうのがある。締め切りが一番近いのはどれかなとか、今のこのテンションでやりたいのはこれかなという感じで、選んでやったりもしてます。だからむしろ、歌手だけとかの仕事が嬉しかったり。

米田:西寺さんみたいな人って、なかなか日本にはいないですよね。このクオリティーで文筆業をやっているミュージシャンは他にいないと思うんですよ、本当に。ミュージシャンでありながら批評家、評論家、研究家ですよね。

西寺:研究家ですよね、どちらかと言うと。批評や評論は僕には無理です。

米田:研究家として、ここまでの本を完成させるのは大変じゃないですか。さっきのお話にもありましたけど、この本に書かれている何万倍っていうデータに当たってるわけですよね。加えて自分の記憶の掘り下げとか、自分なりの切り口をいくつもいくつも重ねながら本を作っていくわけで、その中でジャニーズの曲も作り舞台の脚本もやって、なんていう人本当にいないと思います。そういうクリエイター像って、20代のころ想像されてました?

西寺:いや、してないですよね。だから、ありがたいですよね。

20代でバンドだけの活動してたころ、俺暇だったのかと思って(笑)。。あのときはあのときで、早く次のシングル作らなきゃとか、追い立てられていたつもりだったんですけどね。

米田:ミュージシャンだったらミュージシャンとして集中したいっていうのがだいたいの人だと思うんですけど、西寺さんのキャリアはだんだん分散型になっていくじゃないですか。

西寺:もちろん自分のバンドの歌が死ぬほどで売れていたりとか、それだけでやりくりしていくというのは、それはそれで憧れではありますけどね。でも、たとえば『WOWOWぷらすと』という番組で司会をしたりして、そこで学んだことも実は他のことにすごく活きていたりとか、ラッキーと言えばラッキーで。

でも、やはり今のままでは自分では納得できてないので、今やっていることをさらに40代、50代で大きくしていかないとな、というのは思ってますよ。まだ全然、本当に何やってるんだろうな、と思うときもあるし。

ただ、1つだけ言えるのは、ノーナ・リーヴスというグループがあるというのはやっぱり僕の強みで、20年近く1度も休むことなく、レーベルもなくならず、そんなに頻繁ではないけどライブもやって、1年か2年に1度ずつアルバムも出してきて、メンバーもそれぞれがめっちゃ忙しいし。メンバーチェンジもデビュー以降はなくやって来れていて、そういう部分が、やっぱり僕の一番の精神安定というか...。

米田:帰るところ、ホームがある、ということですね。

西寺:そうですね。で、ビルボードでちゃんとライブやったり、お客さんも入れ替わってはいるものの、ずっといてくれてっていうのが、すごく大きいと思いますね。

「必殺技」を捨てて、より強くなっていく

西寺:うれしいのは、ここ何年も、日本のテレビやニュースでジャネットの名前が出ることなんかなかったじゃないですか。でも、今妊娠中のジャネットのお子さんが生まれてくれれば、また報道されるし、その子にもし本当にマイケルって名前付いたら、それこそ東スポネタでも取り上げられるネタだと思うんですよ。

そんなときに、今回のジャネットの本があって、読んでくれた何人かの人が、「あ、私、ジャネット好きだったわ」ということを思い出してくれるかもしれない。

米田:しかもマイケルが50歳で亡くなって、ジャネットは50歳で妊娠ですもんね。そういう輪廻転生的なものはありますよね。

西寺:そうですね。やっぱり今の女性にとっての高齢出産というのは、1つの大きな考えなきゃいけない問題じゃないですか。それで、ジャネットは去年ツアーを組んでいたのをバラしたわけで。もうラストチャンスかもしれないと言って。

彼女の人生にとっては、1回ツアーやることよりも子供を産むほうが大きかったのかもしれないし、それは『アンブレイカブル』というアルバムを作ってマイケルを継いでいくというのと同じく、「家業を継ぐ人」と本には書きましたけど、彼女の中の、私はジャクソン家の伝統を守る子を産むのよっていう、そういう意思を僕は感じました。

米田:ツアーを中止したのは残念ですけど、ジャネットの遺伝子がこの世に残るのはうれしいですよね。そうやってまた歴史が変わって、ジャネットの人生がハッピーになっていくような気がします。

ここ数年、暗いニュースが多かったじゃないですか、ジャクソン家って。

西寺:そうですね。絶対にまた変わってくるんじゃないかなと思います。なんか自分の運の良さっていったら変ですけど、センサーがなんとなくそう信じてるんですよね。

80's洋楽本を今回を最後にやめるっていうのも1つの僕のセンサーで、もっと書いてと言ってくれる人も多いんですけど、それはまた別の戦場でやれたらなと思います。

古舘伊知郎さんが、「必殺技を捨てていくと、さらに強くなれる」というようなことを言ってらしたんですよ。プロレスをやってバラエティーをやって、ニュースもやってきて、それで今回ニュースもやめたじゃないですか。僕もそういう意味でいうと、80's洋楽というのは大好きだけど...。

米田:「必殺技」ですよね。

西寺:そうですね。だから、「80's洋楽」に関しては本を書くこと以外の伝え方や手法がもっといろいろとあるんじゃないかなと、今は思ってます。


来年メジャーデビュー20周年を迎えるノーナ・リーヴスですが、12/18(日)に行われた恒例のクリスマス・ライヴ『ノーナとHiPPY CHRiSTMAS 2016』にて、以下の4つの重大発表がありました。執筆業はもちろんですが、2017年はノーナ・リーヴスとしての活動から目が離せなくなりそうです!

(1)古巣のワーナー・ミュージック・ジャパンに移籍&帰還!

(2)2017年3月8日(水)に、20周年記念ベスト・アルバム『POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES』をリリース!新録音2曲(1曲は完全新曲、1曲はライヴでお馴染みのENJOYEE! (YOUR LIFETIME)の新録音予定)を含む全16曲入り予定。

(3)2017年3月26日(日)及び5月28日(日)に、デビュー20周年記念の対バンライヴ・イベント「赤坂ノーナ最高祭(さいこうさい)!!!」を前後編として連続開催!第一夜の3/26公演には、第一弾アーティストとして、堂島孝平の出演が決定!

(4)2017年に、13thオリジナル・アルバムをリリース予定!

公式サイトより)


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