ランニングの怪我から学び「怪我をしないランナー」になる方法
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ランニングで怪我をするのは最悪です。やる気はなくなるし、走るのを休まなければならないし、一生懸命練習して鍛えた身体が衰えていくのをただ見ていることしかできません。
かつて私は慢性的な怪我に悩まされていました。
1番ひどい怪我は、最初のマラソンの後になったITバンドシンドロームで、6カ月休むことになりました。しかしこの怪我が私にとって最高のランニング人生につながりました。結果的に筋力が強くなり低燃費で走れるようになったため、自分の能力に新たな自信をもたらしてくれました。
ほどなく、私はフィラデルフィア・マラソンで自己記録を更新し、2時間39分32秒で完走しました。ITバンドシンドロームになっていなければ、ここまですぐに記録が伸びなかったと思います。
怪我の一番の功名は、トレーニング方法を見直さなければならなかったことです。この変化が怪我を予防することを前提としたランニングの原則や哲学につながりました。
健康でいられればもっと走ることができます。走る距離と練習量に一貫性を保つことができ、長距離を走れるようになり、速く走れるようになります。このようなことが怪我を防ぐ「Strength Running」の根幹になっています。
今回は、怪我から学び、そこからさらに強く、賢く、速く走れるようになる方法をお教えします。
怪我の原因を解明する
ランナーが「脚が痛い」と言っているのをしょっちゅう聞きます。まず最初にどんな怪我をしたのか、最初に怪我をした原因は何かを調べます。よくある怪我には以下のような兆候があります。
- ITバンドシンドローム
ほとんどの場合、膝の外側や側面に痛みがある。下り坂で悪化し、階段を歩いて下りる時に痛めることもある。
- ランナー膝(膝蓋大腿疼痛症候群)
膝頭やその周りに鈍痛などの痛みがあり、走っている間だけ痛むことがほとんど。
- アキレス腱障害
アキレス腱に痛みがあり速く走ると悪化し、じっとしている時も痛むことがある。
- 足裏の筋膜炎
朝はかかとに鋭い痛みがありますが、動いた後は良くなる。
- シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
脛骨の内部や周りに焼けるような痛みや鈍痛がある。初心者によくある怪我。
痛みがあるのにどういう怪我なのかわからない場合は、医師や理学療法士など専門家に診てもらいましょう。
しかし自分の体が発するサインを理解してセルフケアがうまくなることも大事です。毎回ささいなことで病院に駆け込んでいたらすぐに挫折してしまいます。
次に、怪我をした理由を解明するのは少々厄介ですが、練習の記録を見直し以下のような危険信号がないか探しましょう。
- 短期間で1週間で走る距離が増えすぎていないか?
- 1週間に走る距離を無理して20%以上伸ばしていないか?
- 1週間で走る距離にムラがないか?
- 筋トレのような体を鍛える運動をおろそかにしていないか?
- いつも同じ靴、同じペース、同じ地形を走っているか?
怪我をする理由は数え切れないほどあります。しかしこれらは、何年にもわたって数千人のランナーのトレーニングを見てきた私が思うもっともよくある理由です。
多くの情報があれば、怪我に対処する準備ができ、怪我を予防することもできます。
怪我をしないために練習方法を変える
ここまでは、自分の怪我とその怪我が起こった原因を特定しました。次は、二度と怪我をしないようにランニングの練習を変えていきましょう。同じ怪我を繰り返し「頑丈な体だったら...」と願うのは賢い選択ではありません。
あなたの怪我は、先ほどあげた原因で起こったのかもしれません。疑わしい原因があったとしたら今度の練習では反対のことをしましょう。例えば、無理をして走る距離を20%以上伸ばしていたとしたら、今度はゆっくりと楽に走って、全体の走行距離を少なくとも80%くらいに抑えます。
他にもいくつか例を上げてみましょう。
- 筋力を強化するトレーニングをしたことがなかったら、今すぐ始める。
- 走る距離に大きなムラがある場合は、一定の距離を走るようにする。
また、練習記録が手元にあるなら以前の怪我を思い出してください。
1週間にある一定以上の距離を走るといつも痛くなりますか? それなら距離を伸ばす前に筋力をつけ、走る距離は少し落としましょう。
ランナーはどのように怪我から学ぶのか?
私は、世界中のランナーがどのように怪我と向き合うのかを見るのが好きです。良いランナーは、普通のランナーがやっていない、怪我を防ぐために効果的なやり方を知っているのでしょうか? どのように考え方を変えれば、強くなって復活できるのでしょうか?
私の著作『Coming Back Strong』では、エリートランナーがどのように怪我に対処しているのかを紹介しています。
2015年ワールド・マウンテン・ランニング・チャンピオンのPatrick Smyth氏は、怪我からどのように学んだのか答えています。
怪我の予防はささいなことの積み重ねです。私は適切なウォーミングアップ、補助的な筋トレ、アイシング、回復のルーティンを毎回のランニングやトレーニングなどの日ですらやっています。
また、長い間休んだ後は色々な怪我が起こるように感じられるので、鍛えていく時は特に注意しています。多めにの補助的な筋トレをトレーニング全体に取り入れ、回復の過程以上に真剣にウォームアップをしています。
1マイル(約1.6㎞)のアメリカ記録(3分46秒91)保持者であり、長年怪我をしていたAlan Webb氏の例も紹介しましょう。彼は怪我に対してこのように考えています。
怪我の後で練習を戻す時はゆっくりと時間をかけます。焦る必要はありません。キツい時期なので、信頼できるコーチがいるととても力になります。ランニングは足に自分の体重の3〜5倍の重力がかかるスポーツです。しっかりと練習計画を立てることで怪我が少なくなり、より速く走れるようになります。
優秀なランナーの言葉を引用したらキリがないです。どのランナーも同じようなことを言っています。
ささいなことが怪我をするか否かを左右するので、徐々に距離を伸ばしたり練習をキツくして少しずつ体を鍛え、怪我をしないように意識しましょう。
怪我の予防を優先しない限り、怪我に苦しむことから逃れられません。
怪我から学ぶという経験は理想的
あなたの体は機械ではありません。適切な負荷をかけ適切な回復をした時だけ、筋肉を強く鍛えることができます。怪我をしたらこの負荷と回復のプロセスを大事にしないと大変なことになります。常に適切なバランスになるよう努力しましょう。
練習で負荷をかけすぎ、疲労が酷い場合はおそらく怪我をします。しかし、試行錯誤を通して学ぶものなので怪我が必要なこともあります。自分は生身の人間で、練習のプロセスに気を配らなければならないこと知ることができます。
臨機応変を心がけ、練習計画はあくまでも理想的な練習の一例なのだと認識しましょう。練習とは流動的なものなので、体の声に耳を傾け、違和感を感じたら練習の日程を変える、ということを忘れないでください。
怪我の原因を知れば、それだけ長く健康でいられます。健康でいれば何でもできます。速く楽しく走ったりして、スポーツの素晴らしさを存分に味わえます。
How to Learn from the Silver Lining of Running Injuries | Strength Running
Jason Fitzgerald(原文/訳:的野裕子)
Photo by David Marcu via Unsplash.ランキング
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