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「頭のいい自分」に近づくために知っておきたいキホン

「頭のいい自分」に近づくために知っておきたいキホン

書籍よりも手に取りやすくなるからでしょうか? ビジネス書などの「まんが版」が人気を維持しています。たとえば、『まんがでわかる頭をよくするちょっとした「習慣術」』(和田秀樹:原作、青木健生:脚本、薙澤なお:漫画、祥伝社)もそのひとつ。精神科医である著者による累計21万部のベストセラー『頭をよくするちょっとした「習慣術」』を、漫画にすることでさらに読みやすくしたものです。

要領が悪くケアレスミスが多い新人編集者の主人公が、仕事を通じて成長していくというストーリー。そこに「頭をよくする習慣」「仕事の効率か」「英語学習のポイント」など、著者独自のさまざまなメソッドを絡めているのです。

多岐にわたるテーマを扱っていますが、ベースになっているのは、「頭のよしあしの差を作るのは習慣であり、生まれついての能力の差などは微々たるもの」という私の信念です。(「まえがき」より)

著者によれば、習慣とは「生き方のクセ」のようなもの。つまり「頭をよくする」可能性がある一方、「頭を悪くする」よくない習慣になってしまうこともあるということ。そこで本書では、「いい習慣」を身につけて頭をよくするためのノウハウを明かしているわけです。

とはいえ、まんがをここでご紹介することはできないので、きょうは「プロローグ」から、著者の基本的な考え方を確認してみたいと思います。

「頭のよさ」の3つのポイント

「頭がいい」とは、どんな人のことをいうのでしょうか? この問いに対して著者は、「問題が起きたときに、より適切な対処をすることができる」ことだと答えています。そういう頭のよさを身につけていれば、人生で大きな失敗をすることを避けられるというのです。そして著者が考える「頭のよさ」を分析すると、次の3つに分解できるそうです。

1. 自分自身の状態(感情)を知っている

2. 困ったときに頼りにできる人間が複数いる

3. いろいろと起こってくる問題に対する、解決能力が高い

(18ページより)

なかでもいちばん大切なのが、1.「自分自身の状態を知っている」。「自分自身の状態」とは自分の感情のことであり、つまりは自分の感情を自分がちゃんとわかっていることが大切だということ。

「なんだ、そんなことか」と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし著者も指摘しているように、できているようで、これがなかなかできていないもの。私たちは自分で思っている以上に感情に左右され、支配されているということです。(17ページより)

思っている以上に恐ろしい「感情の力」

感情は、その人のものの見方を変えてしまうほどの恐ろしいパワーを持っているのだと著者はいいます。そしてそのパワーは、「頭がいい」と世間が認める人に対しても、例外なく力を発揮してしまうことがあるのだとか。どんなに賢い人でも、落ち込んでしまうと、いい見通しが立たなくなってしまうもの。人生のいい面を思い出せずに、悪い記憶ばかりが再生されるというのです。

「EQ(感情的知能、Emotional Intelligence)」という概念では、第一に大切なことを「自分の感情を知る」ということに置いているのだそうです。そこを出発点として、自分の感情をコントロールする、楽観的に物事を考える、相手の感情を知る、社交能力を身につける、とステップアップしていくということ。スタート地点というべき自分の感情を知らなければ、なにもはじまらないわけです。

そして、自分が落ち込んでいるときや、悩んでいたり、不安を強く感じたりしているようなとき、いってみれば自分が本調子ではないときに、「そういった心理的状況に自分はいる」ということを知っておく。それだけで、致命的な判断ミスを防ぐことができるそうです。

本当に賢い人間であっても、感情に振り回されると致命的な判断ミスを起こしてしまいます。その一方、それほど賢くはない人間であっても、感情に振り回されなければ、おおむね適切な判断ができるということです。これこそまさに、「頭がいい」ということ。(20ページより)

だからこそ、人生の重大な決断の局面で、冷静に自分の感情の状態を知っておくことは、「頭がいい」人間に必須の条件なのだと著者は記しています。

「頭のよさ」についての、残り2つの要素についても触れてみましょう。2.「困ったときに頼りにできる人間が複数いる」は、組織や社会において人と良好な関係を築けることが、「頭のよさ」にも直結するということ。そして3.「いろいろと起こってくる問題に対する、解決能力が高い」は、著者が考える「頭のよさ」の本質。人生のいろいろな状況において、適切な判断を下すことが求められるわけです。(18ページより)

アメリカで見なおされる「習慣」の重要性

「仕事をする気が出ない」「会社に行きたくない」というような気持ちは、誰でも持つことがあるもの。そういった「負の感情の動き」に対しての有効な処方箋として、「習慣」や「行動」を重視する動きが出てきているのだと著者はいいます。「形から入る」ことの重要性が見なおされているということで、精神医学の世界では「行動療法」というのもがそれにあたるのだそうです。

著者の解説によれば「行動療法」とは、アメリカの著名な心理学者、故スキナー博士らが1930年代ごろから主張しはじめた「行動主義」をベースとした精神科の治療法。そしてここで紹介されているのが、「オペラント条件づけ」という動物実験です。

強化したい行動をとった場合は賞を与え、好ましくない、抑制すべき行動をとった場合には罰を与えるというもの。そうすることで、行動をよりよい方向に変えていこうというのです。そして、こうした「オペラント条件づけ」などを人間に利用すれば、人間の行動や知能は変えられるとするのが「行動主義」の考え方なのだそうです。

たとえば、不安神経症の人が、不安が高じて仕事が手につかない時でも、会社を休ませずに、とにかく出社させて仕事をさせるようにします。もちろん強制するだけではなく、呼吸法を変えてリラックスするような指導も併せて行います。

つまり、ある種の指導によって行動を変えて、その行動を習慣づけると、だんだん症状が改善されていくということがわかってきました。(23ページより)

ある種の指導によって行動を変え、その行動を習慣づけると、だんだん症状が改善されていくということ。「やる気が出ない」「なにをしてもつまらない」などの「感情のふれ」を乗り越え、安心した心の状態をできるだけ保つようにすることが、「頭のよさ」の重要な条件だというのです。(21ページより)

どうやって「思い込み」を防ぐか

「行動を変える」以外のもうひとつ重要な「習慣づけ」が、ものの見方を変えるということ。ある種の思い込みを持ってものを見ていると、どんどんそういうふうに見えてくるようになってしまうわけです。とはいえ、「ものの見方を変えましょう」と、急に変えることは困難です。

そこで著者は、ビジネスの決断でもなんでも、なにかを思いついたらメモを取ることを勧めています。そして、その思いつきだけではなく、その他の可能性をひとつでもいいから考え、それもメモするという習慣をつけるべきだというのです。

頭のなかで「別の見方をする」といってもなかなか難しいので、頭のなかで考えたことを紙に書き、客観的に見る習慣をつける。そうすることによって、自分の一方的なものの見方や、思い込みが修正されるわけです。理屈ではなく「行動」で、さらにはそれを「習慣づける」ことができれば、「頭のいい自分」に一歩近づけるということ。(24ページより)


こうした基本を軸に、「落ち込んだときの」「人に好かれるための」「仕事ができる人の」「感情の老化を防ぐための」「語学に強くなるための」さらには「頭のいい子を育てるための」、さまざまな習慣が紹介されています。まんがが主体ということもあって気を張らずに読めるだけに、多くの実用的なメソッドを吸収できるのではないかと思います。

(印南敦史)

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