脚だけに頼らない快適なランニングとは? 〜走るための「走らない」体づくり
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マラソンランナーの鈴木莉紗です。前回の記事では、ランニングをする上で「筋トレなくして今の私は存在しない」とまで言える理由についてお話しました。今回は少し具体的に、私が今まで行ってきた筋トレメニューやポイントをお伝えいたします。
最初は自重トレーニングから
現在はウエイトをかけたトレーニングをメインで行っていますが、加圧トレーニングのパーソナル指導を受ける前は自分で自重トレーニング(自分の体重だけで負荷をかけるトレーニング)をしていました。特に探究心もなかったのでランジウォーク(大またで左右交互に前進する下半身の筋トレ)やプランク、クランチなど。
この頃は、どこに効いているのかもイマイチわからないままトレーニングしていました。運動生理学がまったくわからなかったので、ハードに走ったあとにやってしまっていましたが、走る前にやるべきだったと今ではわかります。しかし、回数や頻度も深く考えずにテキトーにやっていたためカラダはまったく変わりませんでした。
加圧トレーニングのパーソナル指導でカラダに変化が
マラソンでサブ3(フルマラソンを3時間以内に完走すること)を達成したあと、もっと上を目指すには何かを変えないといけないと思っていた矢先、「加圧はいいらしい」─ そんな噂を聞きつけて、現在の勤務先である加圧トレーニングジムDEUXの門を叩きました。加圧トレーニングを筋トレだということも知らず、事前に何も調べないで行きました。ジムの代表はマッチョで「"リアルケンシロウBODY"」なのですが、「このマッチョなひとにトレーニングされて、私は果たして無事でいられるのか...」そんな不安が脳裏をよぎりました。
加圧トレーニングは専用のベルトで血流を制限し、人工的に酸欠状態を作り出して筋トレを行うものです。「平地にいながら富士山山頂でトレーニングしているのと同じ状態」をイメージしてもらうとわかりやすいかと思います。低負荷でも脳下垂体が「大変なことをしている!」と勘違いをして、乳酸という疲労物質(フルマラソン30km以降に出る、あの脚が重くなるイヤ〜なやつ)が大量に出ます。
この加圧トレーニングを初めて試した時、力こぶなんてできなかった細腕の私の上腕二頭筋が、たった500gのダンベルでポパイの腕のようにパンプアップして、感動したことを今でも覚えています。乳酸が出れば出るほど成長ホルモンが分泌されるため、筋肉量が増し、脂肪がエネルギーとして使われやすくなり、乳酸に対する耐性もどんどん高くなります。低負荷なためカラダへの負担はとても軽くランニングの練習に支障が出にくいのもうれしいポイント。特に筋肉が全然なく、かなり非力だった上半身の筋肉量が見違えるほどつきました。
上半身を鍛えることで「脚だけに頼らない」走りに
加圧トレーニングでは主に全身の筋力がバランスよくつくように鍛えていたのですが、ランニングにも良い影響がありました。まず、腕振りがしっかりできるようになって「脚だけに頼らず上半身も使える」走りに変わりました。
今まで使えていなかった筋肉が使えるようになり、むしろ走るのが快適になったのです。筋肉量が増したので、高強度のスピードトレーニングや距離走に耐えられる筋力もつきました。


加圧トレーニングでしっかりと筋力をつけ、体脂肪が削ぎ落ちたからこそ高強度のトレーニングに耐えられるカラダになりハードな練習メニューもこなせるようになり、結果的にタイムも上がったと断言できます。
基礎となるフォームを徹底的に叩きこむ
今でこそ高重量のトレーニングも好んで行っていますが、何事も基礎が大切です。基礎となるフォームがカラダに定着しなければ、効果的なトレーニングはできません。
特に、私は運動神経が悪く本当に不器用なので意識する部位を体感できて習得するまでに時間がかかりました。パーソナル指導だと「どこを意識するのか?」「どのようなフォームが効果的なのか」を教えてもらえるので、私のような人間でも最短距離で結果を出すことができます。私の場合は、パーソナル指導でも時間がかかっていたので、自己流でトレーニングをしていたらいつまで経ってもカラダは変わらなかっただろうな、と思います。加圧トレーニングでも基礎となるトレーニング(スクワットやランジなど)を最初は自重で行っていました。

ベンチプレスもずっとやってみたくて懇願していたものの許可が下りたのはトレーニング開始から約半年後でした。それまではチェストプレス(胸を鍛えるマシントレーニング)や腕立て伏せなどで大胸筋を鍛えていました。
加圧トレーニング歴は今年で5年目になりますが、10kgのバーでトレーニングするのがやっとだった私も今では22.5kgを挙げています。コツコツやればどんなひとでもカラダは変わります!
次回は具体的なトレーニング方法について書いていきます。
神奈川県出身。運動部への所属経験などはないが、走歴1年半の時点でサブスリー(フルマラソンを3時間以内に完走すること)を達成。丸の内の受付を経て、現在は加圧トレーニングジムDEUXで加圧トレーナーとして働く傍ら、アートスポーツの契約マラソンランナーとして活動中。著書に、『1日10分も走れなかった私がフルマラソンで3時間を切るためにしたこと』『フルマラソンを最後まで歩かずに「完走」できる本 一番やさしい42.195kmの教科書』がある。ベストボディ・ジャパン東京オープン大会グランプリ、横浜大会準グランプリ。
(写真/松島徹)
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