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30代までに社長になる方法。僕らの時代の社長論──2016.5.27 Night School

30代までに社長になる方法。僕らの時代の社長論──2016.5.27 Night School

どんな大失敗をしても誰もあなたの命は奪わない

米田:次のテーマに移ります。社長になるにあたって一番影響が大きかった人は誰でしたか? もしかしたら人生で影響受けた人とか、大きな出会いかもしれませんが、いかがでしょう?

齋藤:私は起業しようかなと思ったときに、結構年配の先輩だったんですけど、現地で現地法人の社長をされてる方がいました。普通にプライベートでご飯を食べてるときに、「やっぱり、やってみようかどうしようかちょっと迷ってます」みたいなことを言ったら、「どんなことがあっても、どんな大失敗をしても、どんな損害を抱えても誰もあなたの命は奪わない」と言われました。

もちろん、今の世の中わからないですが、やりたいことが見つかったのにやらなかったらたぶん一生後悔して、悶々としながら生きていくんだなと思っていたので、その一言はすごい響きましたね。あとはやっぱり、今は結婚して主人がいるんですけど、自分の真横で精神的なサポートしてくれる人がいるのといないのとでは違うだろうなとは思いましたね。ただ、それが前向きなサポートじゃなく、結構心配されたりとか、本当にそんな冒険していいの? って心配するような保守的な人だったら、逆にストレスになってしまっていたとは思います。

社長になってから足りないものを集めたほうがいい

米田:今の「社長」や「経営者」というキャリアが見え始めたころ、どんなことを心掛けましたか? 人を雇うとか、大きな変化があると思うのですが、心掛けたことがなんかあれば教えてください。

山田:僕の場合は社長になっても、まだしばらく甘い時期が続いていて、創業者が本当にいなくなってから社長になって、ようやくこれ知っておかないとやばいなと思って勉強したことが身になったという感じです。だからキャリアが見え始めてからいろいろ意識して準備するっていうよりは、なっちゃってから足りないものを集めたほうがいいと思います

社長としてのマネジメント術

米田:人を育てるとか後輩を育てるとか、社長になるなら知っておいたほうがいいマネジメント術はありますか?

疋田:うちの採用では、その人のキャリアや何ができるかは重要視していなくて、一緒のビジョンや夢を持っているかのほうが重要だと考えています。目標がずれてたら、会社としてこれやれと言ってもそこに自分の夢とかキャリアがつながってないと頑張れないですよね。

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例えば、うちの会社に入る新卒は、4月に入社にしたら1カ月ベトナム、カンボジア、ドバイなどの海外に送り込むんですね。というのも、日本の常識は世界の常識じゃないんだよっていう部分をいかに伝えるかっていうところから、グローバルな会社を作ろうとしているので、例えば、うちの新卒がベトナムやカンボジアのオフィスに行ったり、大学に行ったりもするんですけど、日本の学生は日本語しかしゃべれないしITの技術もそれほどないのに、初任給が20万以上もらえるわけですよね。例えば、ベトナムとかだと初任給が4万円くらいです。でも、ベトナム語のほかに英語もしゃべれて、大学でエンジニアになるためにITを勉強する。モチベーションも高いからITの技術をかなり持ってる。で、日本語も3カ月くらいしたらけっこうしゃべれるようになるんですよ。

日本に生まれたかベトナムに生まれたかでもってそもそも給料格差が違う。なのに、向こうのほうが優秀だったりするんです。じゃあ自分たちが世界で働くときに、この人たちと比べて4倍も5倍も価値がなきゃいけないわけですよ。そういったところを実体験してもらうんです。

米田:齋藤さんにお聞きしますが、海外で人を採用したり、また日本とは違う難しさも経験されたりしたと思うんですけど、そこはいかがですか?

齋藤:日本が特殊なのかなと思う部分もあるんですが、やっぱりシンガポールはキャリアに対する考え方が全然違いますね。ジョブホッピングが当たり前で、何のために仕事をするかって聞くと、家族や自分の生活を豊かにするためなんです。例えば、自分のやりたいことを会社で実現するとか、会社で心を1つにして一緒に理念を共有するとかっていうことではあまり付いてきてくれなくて、でもそれが文化なので、そこに日本スタイルを強要するのは違うなと思っていています。でも逆に、彼らのすごいところは効率とか合理性なんですよね。

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シンガポールの日本企業はなかなかマネジメントのやり方が伝わらないとか、人が辞めちゃうから困ってる、といった話を聞きます。私もそこに最初はすごく悩みました。例えば、いろいろ考えて従業員に接してるのに、別の会社で給料が少し上がるとすぐにそっちに移ってしまう。とてもドライなんですよね。でも、ドライだからこそいいのが、辞めてもまた戻ってきてくれたりもするんですよ。だから、変な人間関係でもめたりとかはあまりないのはいいと思います。

経営者として心がけたほうがいい行動習慣

米田:社長業を続けるうえで、マインドよりも行動の部分で、自分にルーティンを課していることってありますか?

疋田:ビジネスをしていくのであれば自分のターゲット領域の生活を経験するように心がけたほうがいいですね。例えば、富裕層をターゲットにするんだったら、普段から自分が高級ホテルとか高級デパートとかに行くべきだと思います。逆に、一般人がターゲットだったり、一般人よりもお金を持っていない人たちがターゲットなら、高級ホテルには泊まらず、ビジネスホテルに泊まるべきだし、スーパーに通って、そういった人たちが食べる場所で食べたほうが自分が知りたい情報が入ってきます。

仕事は、責任を取って初めておもしろくなる

米田:最後に、今日来てくれた人々やライフハッカー読者に向けてメッセージがあればお願いします。

山田:社長になったときに、いろんな人にたくさん言われたんですよ。「30歳ちょっとで30人近くの人たちを養うなんてすごい大変でしょ」って。僕自身、その言葉はあまりピンと来なかったんですね。日本では「責任」という言葉がとてもネガティブに捉えられてて、「責任取れ」とか「責任を負わされる」みたいな感じがありますけど、僕は、仕事って責任を取って初めておもしろくなると思ってるんです。

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経営者って大変だとか、いろんな情報入ってくると思いますが、それ以上にすごい楽しいことあるし、自分でいろいろ選べるようになるんですよね。僕は社長になったとき、とても新鮮だったのが、命令がぴったりと止まったことですよね。それまでも別に命令されてる感じはなかったんですが、やっぱり命令されてたんですよね。でも、社長になると自分自身で命令して、自分で責任取ればいい。こんなに楽しいことはないですよ。責任が大変そうだからなかなか足が踏み出せない人も多いと思いますが、責任を負った先にすごい楽しみがあるものなので、まずは社長になってみてダメだったらまたやり直せばいいのかなって思ってます。

服部:私の場合、ベンチャー起業の支援をしていることもあって起業家の知り合いがたくさんいるんですが、めちゃめちゃ楽しそうに働いてるっていうのは保証できるなと思います。やっぱり、自分がやりたいことを本当に心からできる環境なので、これから80歳まで仕事をするなら、仮に5年であったとしても、1回ぐらいやってみたらどうかなと思っています。

とはいえ、ほとんどの人にとっては、今いる会社を辞めて起業するなんてハードルが高いわけで、不安だと思います。しかし、簡単にできることが2つあります。まず、自分の周りの友達の5割以上を起業家にしてください。そうすると、不安に思うとき、自分の頭の中で必要以上に起業に対するハードルを高くしてしまうのを防げます。サラリーマンの友達ばっかりだとそれが常識なんですけど、そうじゃない世界が身近にあると感じられるだけで、簡単にハードルは越えられます。

もう1つは、今の会社を辞めなくてもできる実験ってけっこうたくさんあるんですよね。ビジネスプランを書いている人もいるかもしれないんですけど、小さく試してみたら意外と反響が高い、とわかったりします。支援してくれる人たちはたくさんいるので、ただ一言助けてくださいって言ってみてください。

米田:人に言ってみるって大事ですよね。ソーシャルの時代は特にそこから始まりますからね。

服部:そうですね。人に話せばフィードバックをくれるので、ポジティブに捉えたほうが良いと思います。起業して失敗は絶対ないんですよ。起業したら成功と学びしかないんです

齋藤:そうですね、私はたぶん社長になったらこんないいことがあるよとか、なったほうがいいよっていうメッセージは、すみません、一切ありません。

私はこの1年間「社長ってなんだろう」っていろいろ考えていて、社長は社員を率いる強いリーダーじゃないといけないって思ってずっと走ってきたんですけど、やっぱり私がやりたいのはリーダーそのものじゃないと気付きました。じゃあ社長辞めますってことではないのですが、結局、組織の中で強いリーダーになると、みんなの当事者意識が薄れるじゃないですか。だから、私ができるのは、社長という地位にこだわらないで、フラットな対話の中で今までの知見とか経験を生かせるベストな最終決定者であることなのかな、と思っています。

私も若い方から起業したいんですって相談を受けるんですけど、何やりたいの?って聞くと、探してる途中です、って言う人が圧倒的に多いんですね。でも、今日の登壇者の方々を見ても、誰も社長になりたくてなってるわけではないんですよね。やりたいことが目の前にあって、やるべきことが目の前にあったから社長になっている。それを考えると、今皆さんがやれることは、もっと知見を広げて視野を広げて、さまざまな人から学んで、自分はこれをやりたいとか、自分はこれをやらなきゃいけないってものを見つければ、自然と社長になってしまうものなのかなと思います。

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国内外で活躍する5人の社長を招いて開催した今回のイベント「Night School」。考え方や仕事のやり方はそれぞれ違うので、どれが正しい、誰が正しいとは一概に言えません。ただ、1つ共通して言えるのは、 登壇者は社長になること自体が目的だったわけではなく、自分がやりたいことを見つけて、それを実現するために社長になった、という点です。この記事を読んで、あなたはどんな社長になりたいと思いましたか?

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(文・写真/大嶋拓人、協力/株式会社クオーターバック)

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