特集
カテゴリー
タグ
メディア

「無制限休暇制度」を利用して猫カフェを創業してしまったNYビジネスウーマン。アメリカの新しい起業スタイルとは?

「無制限休暇制度」を利用して猫カフェを創業してしまったNYビジネスウーマン。アメリカの新しい起業スタイルとは?

オーナーとして最大のチャレンジングなことは人の採用

160523erin10.jpg

スタッフと談笑するエリンさん。スタッフもみんな猫好き!

── 2つの仕事を持つことは本当に大変だと思いますが、エリンさんにとって具体的にどういうところが特に大変ですか?

エリン:まずは、とにかく自分の時間がないということですね。たまにはヨガやジムでエクササイズしたり映画にも行きたいですが、今はオープンから間もないので自由な時間がまったく取れません。マネージャーが見つかればこの多忙なスケジュールを少しステップバックして、時間を確保できると思っています。

それから、課された責任が大きいということも大変なことです。特に猫カフェの方は私はオーナーですから、毎月の店の家賃やスタッフの給料など支払い関係でものすごく大きな責任を背負っています。

また、店をやっていく上でおそらく最大のチャレンジは人の採用でしょう。人を雇ってトレーニングして信用できるスタッフに育て上げても、すぐに辞められたり...。実は私が体調を崩していたオープン前からずっと支えてくれた素晴らしいマネージャーがいたのですが、彼女にも夢があり、最近その夢を実現するためにここを離れていったのです。私はもちろん彼女の夢を応援していますが店にとっては必要な存在だったので、そういう意味では複雑な思いも確かにありました。

あえていばらの道を選ぶ、そのワケとは

160524erin3.jpg

本職の上司がエリンさんの起業に寛大なのは、元Googleでの経歴も含めいわゆる「やり手」のキャリアウーマンであり、失いたくない才能であり、そして彼女が本職を抜かりなくやっているからにほかならないだろう。

── 大変なのに2つの仕事をやり続ける、その理由は?

エリン:私の周りもみんな「なんで?」と、大変な方向に進んでいくことについて疑問を投げかけてきます。他人から見たらそうでしょうね。でも、私にとってこの猫カフェをオープンすることは夢だったんです。開業のプロセスは大変でしたが、メニューやインテリアを考えたりそういうクリエーションの部分はすごく楽しんでやれました。そして無事に店がオープンし、猫が里親にもらわれていったり、お客さんがここに来てくれて喜んでいる姿を見ると救われます。

それに、この「いつも仕事でとても忙しい」という生活スタイルはこれまでもずっとそうでしたし、これからも自分の性に合っているような気がします。もちろんストレスは付いてまわりますが、それでも自分にとっては、何もやることがない、もしくは何をやっていいのか分からずただ机に座っているよりずっとマシです。

何より、今は店がオープンしたてで資金面も安定しているわけではありません。先ほども言いましたが私にはオーナーとしての責任がありますから、毎月の安定した収入を得るために本職を辞めるわけにはいきません。

とは言え、やっぱり休日は欲しいですね(苦笑)。マネージャー候補が見つかるであろう、あと数週間の辛抱だと思うので、がんばって乗り切ります!

── 副業を持つことや会社員をしながら創業することを、日本の読者にもおすすめしたいですか?

エリン:もし、何かにチャレンジしてみたいという強いパッションがあるのならおすすめします。多くの人は「やったこと」より「やっていない」ことに後悔しますから。もちろん、先ほども言いましたが、2つの仕事を持つことはとてもハードで疲れることで、こんなにストレスフルなのは私が選んでいるからに他なりません。でも自分でそれをどう捉えるかによるのかなと思います。

私の場合2つとも業種が違うし、自分の与えられた職務、責任もまったく違うので、いいバランスだと思っています。頭の中でいつも一つのことにフォーカスする必要がなく、それぞれ脳の違う部分を使っているので、いろんなことをやりたい人にはいいでしょう。

創業や開業に関して言えば、雇用する側に立つと学びもたくさんあるものですよ。そして、会社員としての本職があれば、創業した会社なり店の成功についてがんじがらめに頭を痛める必要もありません。もちろん創業したからには成功したいと思うのは当たり前のことですが、たとえばもしこの猫カフェの運営がうまくいかなくなったとしても、本職を持っていれば基本的な衣食住の心配をする必要はありません。

創業する際、自分1人でやっていくことに不安な人はビジネスパートナーを持つことをおすすめします。私は昔から、可能か不可能かに関わらず「何でもお茶の子さいさい」と思ってしまう性格で、両親の助けもあり1人でここまでやってこれたのですが、オーナーはなんだかんだで難しい選択を迫られることが多々あります。そのときにビジネスの相談相手がいるのといないのとでは雲泥の差でしょう。


私も日々忙しい毎日ですが、Little Lionsでかわいい猫たちと接すると慌ただしい生活から一瞬解放され、優しい気持ちになってとても癒されました。そして、大都会ニューヨークで自分の夢や人生にひたむきに向き合うエリンさんの生き方に刺激を受けました。陰ながら、彼女やその活動をこれからも応援していきたいです。


(文・写真/安部かすみ)

swiper-button-prev
swiper-button-next