4週間で朝型・早起き習慣を身に付ける方法
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集中力が高まり、生産性が上がる午前中に効率よく作業するために、朝型・早起き人間になるぞ! そう何度となくトライしたもののなかなか習慣にすることができません。
習慣化コンサルタントの古川武士さんによれば、「起きる時間と寝る時間は、1日の行動や習慣が複雑につながりパターン化しているので、早起きは難易度が最も高い習慣化のひとつ」とのこと。
では、くじけてしまいがちな早起き・朝型習慣をどうすれば手に入れることができるのか、古川さんに聞いてみました。
「早く起きる」からはじめると負のスパイラルに陥る
秋は、日の出から日の入りまでの時間が1年で最も短く、夜の時間が1番長い季節。ついつい、あれもしたい、これもしたいと就寝時間が遅くなりがちです。そんなときに、早起きをしようとすれば決まって睡眠不足に陥ります。そこでまず、早起きを習慣にできない失敗例を参考に、やってはいけない行動や改善すべき生活パターンを考えてみたいと思います。
古川氏:失敗する多くの場合は、起きる時間を目標に設定してしまうことです。人それぞれに適正な睡眠時間がありますが、いつも通りの時間に寝て、起きる時間だけ早めると、当然のように寝不足状態になり、借金と同じように睡眠負債を抱えることになります。するとどうなるでしょう。- 昼間に睡魔が襲い、集中力の欠如、作業効率の低下を招く。
- 週末に溜まった睡眠負債を返済しても疲労感の軽減は難しい。
- 短眠のはけ口として食べ過ぎなど悪習慣に走りがちになる。
- 睡眠欲に支配され、生活パターンは改善されることなく、負の連鎖が続く。
そこで考え直して欲しいのが、睡眠負債を抱えずに寝ることに投資すること。つまり、「早く寝れば、早く起きられる」という原理原則のもとに、起きる時間ではなく寝る時間にフォーカスをすることです。
関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。約2万人のビジネスパーソンの育成と約500人の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、オリジナルの習慣化理論・技術をもとに個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。主な著書に「人生の主導権を取り戻す『早起き』の技術」などがあり、全10冊、計30万部を超え、中国・韓国・台湾など海外でも広く翻訳され読まれている。
最初の4週間は、「寝る時間」を守ることに集中する
「早く寝れば、早く起きられる」ことは確かに理に適った話ですが、早く寝るということは、これまでの生活パターンや行動を犠牲にすることにもなります。果たしてどのようにすれば、大改革とも言える睡眠習慣を変えることができるのでしょうか。
古川氏:たとえば、深夜1時に寝ていた人が午後11時に寝ることにしたとします。2時間早くなりますが、これまでと同じような充足感を得ることは大変ですし、その時間に眠くなるようなリズムに持っていくことも簡単ではありません。実現するためには、仕事を早く終えて帰宅するなど、すべてを前倒しする必要があります。しかし、寝る時間を早めることから着手して、その後に結果として起きる時間が早くなるというようにしないとうまくいきません。
また、体内時計のレコードを入れ替えるには、ある程度の時間が必要です。そこで、おすすめしているのが、4週間かけて徐々に寝る時間を早めていく方法です。
- 「そうだいつもより早く寝よう」と毎週30分ずつ早く寝るようにすると、脳は抵抗感を感じることがなく、移行しやすくなります。
- 睡眠負債を溜めずに1週30分×4週で、2時間早く寝るように仕向けます。
- 最初の3週間は、早く起きられない朝があってもOKにして自己承認します。
- 4週目以降、睡眠負債があっても起きる時間を守ります。負債分は翌日早く寝てすぐに返済します。
帰宅後の時間を削らないために、「仕事を高密度化」する
古川氏:仕事に振り回されて帰宅する時間が遅くなっている現状があったとします。この場合は、仕事の時間を凝縮して、その分だけ集中して生産性を高める「高密度化の仕事術」が求められます。高密度化とは、単位時間当たりの生産性を極限まで高めていく仕事のやり方で、実現させるためには、3つの原則があります。
1.帰宅時間を徹底して守る
働く時間にリミットをかけ、絶対ルールとして緊張感を持ちながら、すぐに行う重要なこと、今日中にやるべきこと、明日にしてもよいことなど、作業内容の優先順位を設定します。仮に、今日中にすべきことで時間が足りずにできなかった場合は、翌日に「朝残業」して乗り切る。
2.充分な睡眠で集中できるエネルギーを確保する
睡眠負債を溜めずに充分な睡眠時間が取れていれば、圧倒的に集中力が高まるので、特に生産性が高まると言われる午前中に重要な作業を行えば、仕事時間を効率的に行うことができます。また、帰宅時間を守り、快適な時間を過ごせば精神的な満足感が明日へのエネルギーを充電してくれます。
3.完璧主義を捨てて、最善主義で考える
自分の理想を追求して過度に仕事を行う完璧主義から、限られた時間で可能な限り手を尽くす最善主義に考え方を変えてみましょう。完璧は幻想で、力の入れどころと抜きどころをちゃんと明確にしないと帰宅時間にリミットを設定しても改善には限界が訪れます。
古川氏:最後になりますが、早起きは規律を持ちながらも柔軟性がないと守ることが難しい習慣です。紹介した早起き習慣の方法を規律として続けていきながらも、飲み会で帰宅が遅くなる日は週1回OKにするとか、多少はイレギュラーなことに振る舞わされながらも、修正できる余白を心に持っておいてください。そうすれば、早起き・朝型の生活習慣の先にある、理想に描いた生活スタイルが待っていると思います。難攻不落とも言える「遅寝・夜型の睡眠習慣」を陥落させて、新たな「早起き・朝型習慣」を築くためには、コツコツと脳とカラダに浸透させていく堅実さと強くて柔軟な意志が必要となりそうです。
しかし、古川氏によれば、「早起きは飽きることがなく、体内時計が寝る時間と起きる時間を覚えてくれるので、そのリズムがカラダにインストールできれば習慣として続きます」とのことです。ただし、しっかり定着させるためには3カ月程度かかるそうなので、新年を朝型・早起き元年でスタートさせるためにこの秋からトライしてみるのもよいかもしれませんね。
(香川博人)
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