
テレビ業界はここ最近、元気がないように思われます。このまま死んでしまうのではないか、と動向を気にしている方は多いかと思いますが...。以下、最新のデジタルマーケティング情報をいち早く伝えるDIGIDAY[日本版]のこちらの記事より転載します。
事実、オンラインビデオにおいてテレビは、重要な役目を担い始めています。米有料テレビ放送局HBOが、新しい事業としてストリーミングアプリをローンチしたあと、多くの放送局やスタジオが同様のアプリを開発。また、老舗である大手メディア企業のNBCユニバーサルやハーストも、ビデオ事業も手掛ける新興デジタルメディア企業のBuzzFeed、Vox Media、Complexなどに投資をはじめました。有料テレビのプロバイダーであるディッシュやコムキャスト、ベライゾンなども、昔ながらの設置機器を使用しない、デジタル動画を提供する実験を行っています。
テレビは生き残ります。よりデジタル化しているだけなのです。そんな未来を予感させる、5つのグラフを見ていきましょう。
人々のテレビ視聴行動は、よりデジタル化している
一番最初に、少々ショッキングな数字について言及しましょう。2015年の第2四半期にて、有料テレビビジネスは約56万6000人の登録者を失いました。これは2014年の第2四半期の32万1000人と比べると76.3%の増加を示します。有料テレビにとって、第2四半期の結果は毎年悪いとされているが、50万人以上の解約者が出たとなれば、誰でも背筋が凍るはずです。

青:有料テレビ/赤:Netflix、Amazon、Hulu
しかし、56万6000人という数字は、現存する1億人のユーザー数を考えれば、わずか1/200を占めるにすぎません。また、ウォール街のPacific Crest社によると、NetflixやAmazon、Huluといったストリーミングプロバイダーたちが、2013年以降の年平均成長率を30%と、順調に登録者を増やしていると発表しています。彼らが提供する多くのコンテンツは、テレビ番組であるのを考えると、少し楽観的になれるかもしれません。
視聴者はどんなスクリーンにおいても長編動画を好む
従来の考え方では、スマートフォンは短めの動画を視聴するのに使用し、長編動画はテレビで視聴するものと考えられています。しかし、動画配信プラットフォーム事業を展開するウーヤラ(Ooyala)が発見した新たな情報によると、この分かれ目はあまり明確ではないといいます。


同社の2015年第2四半期における報告書「Global Video Index」によると、スマートフォンで視聴されている動画の33%は、10分以上の動画です。その割合は、タブレット端末になると、57%になります。これはOoyalaが「過去の四半期を比べてみても同様の結果となる」と述べた通り、信頼できる数字といえるでしょう。
長編動画では収益化も行われている
米動画配信プラットフォームのフリーホイール(FreeWheel)の報告によると、2014年の第2四半期と比べて、2015年は広告の視聴率が32%上昇しているといいます。20分以上と定義される長編コンテンツや、スポーツイベントなどのライブコンテンツの増加が、この成長の主な起爆剤になりました。

デジタルプラットフォームで視聴者が、より長い動画を見ることで、パブリッシャーにとって収益化が簡単になってきたことが分かります。そして、この現象は、従来のテレビ番組が、いままでとは異なる方法で配信されているにすぎません。
やはりストリームの視聴者は、若い世代が中心
米マーケットリサーチ会社ミルワードブラウンデジタル(Milward Brown Digital)の研究結果によると、Netflixユーザーの51%は、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた若年層)だといいます。次にジェネレーションX世代(日本の団塊ジュニア世代)が34%となり、ベビーブーマー世代(日本の団塊の世代)が残りの15%となります。ケーブルテレビの視聴者の35%がミレニアル世代、40%がジェネレーションX世代、25%がベビーブーマー世代であるのを比べれば、世代ごとによるギャップは判断しやすいでしょう。

また人々は年配になるにつれ、複数のプラットフォームでテレビコンテンツを視聴することが、当たり前になっています。これにより、ケーブルテレビはより積極的にデジタル配信を行っていかなくてはならなくなるはずです。
これらを踏まえた上で、テレビ業界は消滅しない
先述のミルワードブラウンデジタルの調査によると、2015年の上半期においてケーブルテレビの登録者のうち、NetflixやAmazon、Huluなどのストリーミングサービスにも登録しているのは、22%ほどにしかなりませんでした。

これまでのチャートを見るかぎり、テレビが完全にデジタルへ移行するまでには、少しばかり猶予がありそうです。また、たとえデジタル化したとしても、現在のテレビコンテンツに大きな変化をもたらされることもないでしょう。
デジタルは、結局「テレビ業界」を殺さない。その生き残る理由を示す、5つのグラフ | DIGIDAY[日本版]
Sahil Patel(原文/訳:小嶋太一郎)
Photo by Shutterstock.ランキング
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5