カフェインを断つと生産性が上がる

MakeUseOf:誰もが、コーヒーをやめるのは到底不可能なことだと思っているかもしれません。
コーヒーは単なる飲みものではなく、生活必需品であり、限界を超えそうなくらい生産性を求められている状態の中で、なくてはならないツールです。また、ある人々にとっては、それ以上の存在でもあります。たとえば、コンピューターマニアのアイデンティティの中にコーヒーは根深く浸透しています。
信じられないなら、パソコンオタク向け通販サイトの「ThinkGeek」を見てください。そこでは、「code(コード)」というタグのついた商品がたった34件しか見つからないのに対し、「coffee」とタグが付いた商品は91件も販売されています。
ショーディッチやサンフランシスコなどのデジタル産業が盛んな場所では、技術系スタートアップ企業が、社員サービスとしておいしいコーヒーの提供を自慢していますし、何千もの会社が通販で選りすぐりのコーヒー豆を届けてもらっています。
どうやら、コンピューターの専門家になるには、コーヒー臭い息を吐き、休み時間には神経質にイライラしなければならないようです。では、そんな彼らがカフェインを断った場合、どうなってしまうのでしょうか? そして、なぜそれが望ましい状態と言えるのでしょうか?
私のコーヒー習慣
カフェイン断ちに関する状態について、私は心の底から理解しています。というのも、先月コーヒーをやめたところだからです。もちろん、永久に。
私は11歳の頃からカフェイン中毒でした。
最初はミルクたっぷりのNescafe(思春期直前の私は、それが極限まで洗練された飲みものだと確信していました)から始まりました。14歳で初めて自分用のドリップ式のコーヒーメーカーを買ってからは、筋金入りのコーヒー中毒者への道をたどってきました。
次第に、私の味覚は洗練されていきました。ある誕生日には豆ひき器をもらい、その後、イタリア製の直下式コーヒーメーカーを購入しました。やがては、エアロプレスでエスプレッソやアメリカンを淹れるようになっていました。私は単なるコーヒー中毒者ではなく、コーヒースノッブだったのです。
この間に、私のカフェイン耐性は強くなり、コーヒーの量を増やさなければ耐えられなくなりました。シングルのエスプレッソを飲んでいたのが、すぐにダブルになり、トリプルになりました。最終的に私は、ゾウに動悸を引き起こさせるほどのコーヒーを、1時間おきに飲んでいたのです。
このことが、身体および性格に恐ろしい影響を及ぼしていることに気づきました。
率直に言うと「嫌なやつ」になってしまったのです。私は絶えずイライラし、ごくささいなことで他人にガミガミ言っていました。
さらに、終始具合の悪さを感じていました。絶えず胸やけと腹痛がしている状態だと言えば、イメージしやすいでしょう。ずっと疲労と不安を感じていました。コーヒーはもはや楽しいものではなくなってしまったのです。
何かを変える必要がありました。
何が変わった?
そこで私はコーヒーをやめました。突然、何の準備もなしにです。
数週間はとてもつらかったです。集中できなくて生産性はがた落ち、執筆活動は恐ろしくスローペースになり、頭は常時ズキズキと痛んでいました。
しかし、このつらい状態が2~3週間続いたあと、急速に調子が良くなって、仕事の質や執筆活動のスピードが向上したことに気づくまで長い時間はかかりませんでした。つまり、ますます多くの仕事をこなせるようになったのです。
まず最大の変化は、寝起きにコーヒーを欲しがらなくなりました。つまり、生まれて初めて、起床してすぐ仕事を始められるようになったのです。血流を良くするためのカフェインが必要なくなりました。
さらに私は、根気が大幅に向上したことにも気づきました。長時間座って仕事ができるようになり、多くのカフェイン中毒者のようにイライラすることも、気力充電のために淹れたてのコーヒーを用意することもなくなりました。
また、睡眠が阻害されなくなったため、寝起きが以前より良くなりました。
私はコーヒーの代わりに水を飲むことにしました。1時間おきに1パイント(約500ml)の水を飲んでいますが、多くても少なくてもいけません。その結果、以前よりも気分転換がはかどり、頭が働くようになりました。
考えてみると、コーヒーをやめたことで生産的になり、健康を手に入れ、さらには幸せを感じられるようになったのです。もっとも、これは簡単にできることではありません。
コーヒー断ちをするためのコツ
カフェインは、他の依存状態と同じくやめるのは困難です。何の準備もなく突然やめると、どうしても何らかの生理的影響を受けてしまいます。これは倦怠感から、あまりにもひどい頭痛までさまざまです。
これらの症状のほとんどは、自分ではどうにもなりません。しかし、対処方法はいくつかあります。
先ほど述べたように、私はコーヒーの代わりに、健康的で価格も安い水を飲むことにしました。これが、カフェイン断ちのつらい部分を緩和してくれたことは間違いありません。定期的に飲むために、私はポモドーロ・メソッドを用いました。
ポモドーロ・メソッドとは、時間を分割し集中力を高めるスケジュール管理方法です。たとえば、タイマーを用いてタスクを25分ごとに区切り、合間に5分間の休憩をとります。私は、この5分の間に1/2パイント(約250ml)の水を飲みました。そうすることで、コーヒーから離れても集中でき、コンスタントな水分補給もできました。
もしこれがうまくいかなかったら、コーヒー断ちをゲーム感覚でやってみましょう。
たとえば、コーヒー断ちをRPGにして、その日1日コーヒーを飲まなければ1ポイントもらえることにするのです。週の終わりに7ポイントゲットしたら、「レベルアップ」です。
このようなやり方を簡単にするためのすばらしいツールはたくさんありますが、『HabitRPG』がもっとも有名です。2013年に初めて発表されるや、すぐに私たちを魅了しました。
急なコーヒー断ちに気が進まないのなら、徐々にコーヒーの量を減らしていきましょう。これには、もっともコーヒーが効く時間帯に量を制限するのが良いでしょう。そのときにはコルチゾール値が最低になっているため、身体への影響が大きくなります。
コルチゾールは人間の注意力をコントロールするホルモンです。通常、起床の約90分後からホルモン量が下降し始めるので、寝起きのコーヒーを飲むには起床してから90分後がベストということになります。
別の方法としては、摂取したカフェインについて、意識的に記録するというやり方があります。メモを取る方法はいろいろありますが、エクセルなどを使用しても良いでしょう。
『Up Coffee』のような、カフェイン・トラッキング専用のアプリもあります。これは飲んだ量を記録する以外に、依存の兆候があれば警告してくれる機能もあります。
健康に対する最善の決断だった
自慢するわけではありませんが、コーヒーを断つという行動は、健康に関して私が下した決断の中でも最善のものでした。
注意力は以前より向上し、一生懸命かつ長時間働けるようになりました。疲労感は減少し、イライラすることも少なくなりました。万が一、再びコーヒーを飲み始めたら、カフェイン耐性が低下しているため心身に影響を受けるでしょう。
How Quitting Caffeine Made Me More Productive|MakeUseOf
Matthew Hughes(訳:コニャック)
Photo by Shutterstock.ランキング
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