
深夜になりました。友だちが酔いつぶれてソファに倒れ込んでいるけれど、様子がおかしい...。
彼女はどのくらい危険な状態なのでしょうか? 足元がおぼつかないだけで、ベッドに連れて行けば済むのでしょうか? それとも、病院に連絡しないと危険なほど泥酔しているのでしょうか? 今回は、友だちが酔いつぶれたときの正しい対処法をご紹介します。
細かな対処法の説明の前に、絶対に覚えておいてほしいことがあります。
判断に迷ったときは、とにかく救急車を呼びましょう!アルコールの過剰摂取が危険なのはなぜ?
過度の飲酒によって亡くなる人の多くは、アルコールの作用によって気道を確保する機能が低下し、呼吸困難を起こして死に至ると言われています。
アルコールには中枢神経系の機能を抑制する作用があり、脳の働きが鈍くなったり、損なわれたりします。何杯かビールを飲んで酔っぱらい、昔の恋人にメールを送ってしまったりしたことはありませんか? これはアルコールによって自制心をなくしてしまったことが原因です。酒量が増すと、視界や言語能力にも影響が出始め、一定量を超えると、呼吸困難になり、命の危険を回避する反射神経の働きも鈍くなっていきます。アルコールの影響がさらに深刻なレベルに達すると、意識喪失が起こります。
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意識と呼吸を確認しよう
「酔った友人を眠らせてはいけない」とよく言われますよね。アルコールには眠気を催す作用があるので、ほろ酔いでうたた寝するくらいなら問題はありません。しかし、意識喪失だったら非常に危険です。以下の2点を確認してみてください。
- 「声をかけて起きるかどうか」を確認する
- 「呼吸できているか」も確認する
救急医のRyan Stanton医師はこのときの判断の難しさを次のように説明しています。
放っておいても問題ない人と、救急処置が必要な人の区別はとても難しいです。ちょっと前まで普通に歩き回っていたのに、自分の吐いたものを喉に詰まらせて無呼吸状態になってしまう人がいます。その一方で、酔いつぶれていても、問題なく呼吸できている人もいるのです。私たちは、「危険な状態かもしれない」と少しでも思ったら、病院に連れてくるように伝えています。
Stanton医師によれば、次のような人は気道が確保されておらず、呼吸ができていない可能性があると指摘しています。
- 声をかけても起きない
- 嘔吐しようとするのに、吐瀉物が口から出てこない
- 吐き出そうと転げ回る
最悪、呼吸回数が致命的なレベルまで低下し、昏睡状態に陥る可能性もあります。ですから、「吐いていないから大丈夫」などと決めてかかるのはやめてください。
酔った人が危険な行動を取らないように目を離さない
酔った人はケガをしやすいので、目を離さないようにしましょう。泥酔状態の人が転倒しても、そのまま立ち上がって行動しようとする場合があります。アルコールの作用で痛覚が鈍くなっていて、本人が気づかぬうちに重傷を負ってしまうおそれがあります。それが頭部のケガの場合は、非常に危険です。
また、酔った勢いでケンカに参戦したり、バルコニーから飛び降りたり、ボートに乗ってふざけ回ったりと危険な行動を取ろうとすることがあります。もちろん、飲酒運転は論外です。ほろ酔い程度でも、重大な事故を起こす恐れがあります。
危険だと思ったときにとるべき行動
東京消防庁などが公開しているガイドなどを参照しておくとよいでしょう。
酔った人に意識があり、なおかつこちらの呼びかけにも応える場合、つまり「救急車を呼ぶほどの酔っ払い」ではないときは、以下のような措置を取りましょう。
- 目を離さない:酔っぱらっている人がもう飲んでいない場合でも、それまでに摂取したアルコールがまだ消化管に残っていて、状態が悪化する可能性があります。呼びかけに応えられるかどうかを絶えず確認しましょう。自分も酔っ払っているなら、シラフの友達を見つけて介抱役を代わってもらってください。いざというときにすぐに助けを呼べるようにしておきましょう。
- 安全な場所に運ぶ:運ぶ先はその人の自宅や友だちの家などがいいでしょう。また、あなたも飲酒しているのなら、どんなに近くても車で送ってはいけません。
- 回復体位を取らせる:舌根沈下や吐物による窒息を防ぐことができる姿勢を取らせることです。回復体位を取らせることで、状態がさらに悪化しても、吐いたものが口から自然に流れ出るようになります。それでも窒息しそうだと感じたら、即座に救急通報しましょう。
- 酔い覚ましは不要:コーヒーや冷たいシャワーなどは勧めないようにしましょう。酔った人の肝臓に余計な負担をかけないようにして、アルコールを分解する時間を与えるようにしましょう。
酔った人が「こちらの呼びかけに応えない」「意識がない」「呼吸が遅くなってきた」「発作を起こした」などの危険な兆候を示していた場合は、次のような行動を取ってください:
- 緊急通報をする:救急隊に連絡しましょう。
- 救急隊が到着するまで目を離さない:回復体位を取らせ、万が一に備えて心肺蘇生ができる人を探しておきましょう。
- 救急隊員に経緯を説明する:飲んだ酒の量、種類、症状やケガについて伝えましょう。
病院での措置は?
Stanton医師によれば、病院では以下の3つの措置をとるそうです。
- 容態をモニターする:呼吸は正常か、体温は安全域にあるかを確認する。
- 身体の回復を促す:点滴をしたり、痛みや吐き気を抑える薬を投与したりする。
- 気道を確保する:必要であれば、呼吸用のチューブを挿入する。
アルコールが原因の症状が治まったら、ほかにケガなどしていないか、より詳しい検査を受けることになります。特に深刻な異常がなければ、翌朝には退院できるはずです。
Beth Skwarecki(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)
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