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満開なのは桜ばかりじゃありません。花を愛でる美術館:都心編

満開なのは桜ばかりじゃありません。花を愛でる美術館:都心編

クリスマス、お正月と美術館・博物館のちょっと変わった楽しみ方をご紹介しましたが、春、お花見の時期も美術館・博物館はとても素敵な場所になります。

美術館や博物館という施設は公共の施設であることが多く、広大な庭園を備えているところも珍しくありません。また、人が多く集まる場所と隣接している場合もあり、自然と素晴らしい景観を持つところはたくさんあります。

今回は桜をはじめ、館内敷地や隣接した場所でお花見を堪能できたり、この時期、館内で花を愛でる事ができる、花を描いた作品が展示されている美術館・博物館をご紹介します。

かならず桜に会える美術館

まもなく桜も満開の時期を迎えますが、花見の時期を逃しても、桜の名所に行かずとも、間違いなく満開の桜を堪能できるのが「郷さくら美術館 東京」です。

大勢の花見客で賑わう目黒川のほとりに立つ同館では、現代日本画画壇で活躍する中島千波や平松礼二といった日本画家たちが描き下ろした桜の絵が、企画展(『第3回 郷さくら美術館 桜花賞展』を5月10日まで開催中)として常時展示されており、1年中いつでも花見が楽しめるところと言えます。

中島千波の『桜雲の目黒川』は同館から歩いてすぐの場所を描いており、この時期なら絵と実物をいっぺんに楽しむ贅沢ができます。

また、住宅街の一角にひっそりと建つ同館のファサードは、桜の花がデザインされた無数の陶板で覆われており、建物そのものがアートと言えます。設計はブルースタジオが手がけています。

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中島千波『櫻雲の目黒川』

おなじ、目黒川の桜でも、描くアーティストが違えば、その印象も変わります。「原美術館」では写真家・映画監督の蜷川実花の個展「蜷川実花:Self-image」を5月10日まで開催していますが、2010年の春、蜷川さんがプライベートで辛いことがあった時に、思わずカメラを持って出て、取り憑かれたように目黒川の桜が川面に散る様を撮影し続けた時の一枚がこの写真だそうです。

原美術館のある品川・御殿山は、昔から桜の名所として知られている場所で、原美術館に隣接した東京マリオットホテルをはじめ、周辺一帯のあちこちで咲き乱れる桜に出会えるでしょう。葛飾北斎も富嶽三十六景の『東海道品川御殿山ノ不二』で御殿山の桜を描いています。

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『PLANT A TREE』2011

©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

絵で花を楽しむなら広尾にある「山種美術館」もおすすめです。こちらは横山大観や上村松園、川合玉堂といった日本画の巨匠の作品をコレクションしています。現在開催中の「花と鳥の万華鏡 ー春草・御舟の花、栖鳳・松篁の鳥ー」(4月12日まで)では、巨匠たちが描いた、愛らしく優美な花と鳥の美しさをじっくり楽しめます。

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速水御舟『翠苔緑芝』

桜もアートも楽しむならやっぱり上野

毎年、花見の時期は大賑わいになる上野ですが、アートエリアとしての普段の静かな上野が好きな人にとっては、どんな風に写るんでしょう? やっぱり花見の時期は避けてしまうのでしょうか? それはちょっともったいないかもしれません。

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ヤエベニヒガンと茶室転合庵。庭園にはこの時期だけのさくらカフェもお目見え。

「春の庭園開放」は4月19日まで

東京国立博物館」では「博物館でお花見を」と銘打って、この季節だけの鑑賞プログラムを開催しています(4月12日まで)。

本館である日本ギャラリーでは「桜めぐり」として、国宝『花下遊楽図屏風』や『吉野山図屏風』、『振袖 紅縮緬地桜流水模様』といった"桜の名品"を展示し、存分に春を感じられる趣向が凝らされています。

また、庭園を開放し、桜の花びらが舞い散る庭を散策できる「春の庭園開放」も行われています。3月27日と4月3日には桜のライトアップも行われます。

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吉野山図屏風(左隻)渡辺始興筆 江戸時代・18世紀 個人蔵

4月19日まで本館7室に展示

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振袖 紅縮緬地桜流水模様 坂東三津江所用 江戸時代・19世紀 高木キヨウ氏寄贈

5月17日まで本館9室に展示

上野恩賜公園は花見客で大賑わいですので、公園とは反対側の谷中方面へ出れば、「SCAI THE BATHHOUSE」などのギャラリーもありますし、オープンしたばかりの、古民家をリノベーションし、ビアホールやベーカリーを設けたコミュニティ空間「上野桜木あたり」に行くのもいいでしょう。ここまでくれば谷中霊園の桜もすぐそこです。

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3月14日にオープンした「上野桜木あたり」

船上から楽しむ桜とアート

東京駅八重洲口の再開発、京橋や日本橋、室町の商業施設の開業などが一段落し、これまで以上に賑わっている東京・日本橋ですが、このエリアは上野、六本木に並ぶアートエリアでもあります。

銀座から京橋、日本橋にかけて数えきれない数のギャラリーがあり、「ブリヂストン美術館」、「出光美術館」、「三井記念美術館」、「三菱一号館美術館」、「東京ステーションギャラリー」といった美術館もあり、なかでもビル建て替えに伴い長期休館に入るブリヂストン美術館(「ベスト・オブ・ザ・ベスト」開催中)はぜひ訪れておきたいところです。

美術館やギャラリーの帰りには、都心にありながら150本ものソメイヨシノを見ることができる、東京駅八重洲口から日本橋方面に抜ける「八重洲さくら通り」へぜひ。

また、日本橋では三越やコレド室町を中心に日本橋 桜フェスティバル2015が行われており、その一環として、日本橋のたもとの日本橋船着場から、平日夜に隅田川をクルーズする「日本橋花見ぼんぼり船」(4月10日まで)が運航しています。

隅田川の桜を水辺から楽しみつつ、浅草、墨堤まで進めば、桜の向こうにはフィリップ・スタルクがデザインしたフラムドール、そして安藤忠雄が監修した東京スカイツリーをじっくり鑑賞できます。

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日本橋花見ぼんぼり船は残席僅か

この他にも、国立近代美術館と世田谷美術館のある砧公園、小金井にある江戸東京たてもの園、横浜の三渓園など、アートと桜をいっぺんに楽しめるところはたくさんあります。また、地元の小さな美術館や博物館、資料館のような場所にも、きっと多くの人には知られず、地元に愛されている花が咲いているはず。どちらも美しいアートと花を愛でに出かけませんか?

(チバヒデトシ)

チバヒデトシ|ジャーナリスト

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