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データ分析力が、ビジネスの武器として有効な理由

データ分析力が、ビジネスの武器として有効な理由

必要なのは、データ分析に関する個別手法の解説ではなく、それらを新しい分野に適用する「総合的な手順」。そして正しく用いたなら、データ分析は強力な武器となり、ビジネスを手助けしてくれる。『武器としてのデータ分析力──データ・サイエンティストの「未来を予測」する技術』(中西達夫、畠慎一郎著、日本実業出版社)で著者が訴えたいのは、こういうことだといいます。

しかし、そもそもデータ分析はなぜ必要なのでしょうか? ビッグデータというキーワードもすっかり一般化しているからこそ、逆になかなか聞きづらいことでもあるはず。そこできょうは、そんな「基本」について解説された第1章「ビジネス成功の必須ツール、それが『データ分析』だ!」に目を向けてみたいと思います。

なぜ、データ分析が必要なのか

「なぜ、データ分析が必要なのか?」この問いについて著者は、「データ分析をすることによって、現在の仕事をもっと客観的に眺めることができ、明確な目標に向かって行動を起こすことができるようになる」ためだと答えています。その理由は、顧客情報や取引情報、アンケート、ウェブサーバーのログなどのさまざまなデータは、消費者の行動や取引の結果を示しているから。そこには非常に有効な情報が含まれているため、ビジネスにおいて取引先や顧客、市場の動きを予測するためには、データ抜きでは考えられないわけです。

また、消費者ニーズの多様化などの市場環境が変化するなかにおいては、経験やカンに頼るだけではなく、適切に市場を理解し、速やかに商品やサービスを投入していくことが必要。その市場や顧客を捉えるための道具が「データ分析」だということです。(14ページより)

データ分析に必要なこと

では、データ分析を効率よく行なうにはどうすればいいのか。この点について著者は、次の4つが必要だと説いています。

1.「データ」── データ分析のおおもと

2.「理論」── データをどのように活用するのか

3.「ツール」── データを分析するための道具

4.「目的」── データ分析をするための大前提

車の運転にたとえるなら、データそのものはガソリンだとか。つまり、それを動かすための運転技術や知識(=理論)、そしてツールとしての車が必要になるということ。燃料が欠けても、運転技術と知識が欠けても、車(=ツール)が欠けても運転することは不可能。そして、どこに行くのか、なぜ行くのかという「目的地と目的」も必要。これらのポイントを押さえておくことにより、データ分析を始めることができるという考え方です。

そして、いちばん問題になるのが4点目の「目的」。その理由は、「なんのためにデータ分析をするのか」という目的をはっきりさせずに分析を始めることが多いからなのだそうです。しかし、目的が定まっていないことを恐れる必要はないと著者は言います。なぜなら多くの場合、「ビジネスの目的=データ分析の目的」であることが多いから。営業であれマーケティング担当であれ、自分が行なっている活動の目的を「データ分析の目的」とすればいいということです。(20ページより)

「統計」の知識はなぜ必要?

データ分析には専門的で難しそうなイメージがありますが、現在、データ分析を行なっている人の多くは、オートマチック車を運転しているのと同じ状態だといいます。クラッチやエンジンの構造を知らなくても車を動かすことができるように、ツールの操作方法と最低限の操作知識さえあれば、データを活用するのは可能だということ。

そしてそのうえで必要な知識は、集計や分析結果を「どのように解釈するのか」という知識。とはいえデータの読み方についても、多くの解説書が存在し、ネットでも情報を得ることができるので心配はいらないそうです。

ただ、より効果的にデータを活用したいなら、分析の根底にあたる統計学、あるいは統計解析やデータマイニングについての理論を学習しておくといいといいます。統計は標本(サンプル)から母集団を推定するものであり、「仮説を検証する道具」となるから。つまり分析を行なう人は、必ずなんらかの仮説を持っていて、その仮説が正しいのか、正しくないのか(一般的に起こり得ることなのか、偶然起こることなのか)を、データによって答え合わせ=判断をしているということです。(22ページより)

「データマイニング」と「マーケティング」

統計とともに重要なのが、データマイニングの知識だといいます。これはデータをマイニング(掘る)すること、つまり大量のデータから価値のある「宝の山」を発見する分析手法。これについては、アメリカのスーパーマーケット、ウォルマート社のエピソードが紹介されています。

ウォルマート社が分析の結果として得たのは、「紙おむつとビール」が一緒に購入されることが多いという事実。理由を明らかにしていくと、子どもの紙おむつを買ってくるように妻から頼まれた夫が、ついでに自分用のビールも購入しているということが判明したのだとか。データマイニングとはこのように、「仮説そのものを発見する手法」。データ全体を分析してみて「なんらかのパターン」を発見したり、予測をしたり、グループを分類したりすることに利用されるわけです。

また、顧客分析を行なううえで知っておきたいのが、マーケティングの知識。特にデータ活用を目的とする場合に知っておきたいのは、セグメンテーション(S)、ターゲティング(T)、ポジショニング(P)というSTP理論。

マーケティングにおける課題の多くは、「いかにターゲットとなる顧客を発見するか」ということ。マーケティング領域におけるデータ分析は、この優良顧客を発見する際に不可欠な「軸を見つける」ことに活用されるのだそうです。軸とは性別、年齢、居住地区やライフスタイル、購入品目など、その企業や製品の視点から見た市場の見方。この軸をいかに設定するかが、マーケティングにおいては重要。そのためマーケティングの知識も習得しておくと、よりよくデータを活用できるというわけです。(23ページより)

このような基本について説明がなされたあと、第2章以降ではデータ分析の方法が具体的に紹介されています。そのメソッドを習得してビジネスに活用すれば、新たなチャンスを見つけることができるかもしれません。

(印南敦史)

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