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Appleが成功したのは、すべてを「WHY」から始めているから

Appleが成功したのは、すべてを「WHY」から始めているから

新しいアイディアに心をひらいている人、その場限りではない成功をおさめたいと模索している人、自分の成功には人の支援が必要だと感じている人。そんなみなさんは、ぜひ挑戦してもらいたい。そう、いますぐ、WHYから始めよ。(13ページより)

人々の胸をときめかせ、鼓舞することに成功した個人や組織がとってきた行動のパターンは、すべてWHY(なぜ)から始まっていると主張する著者は、『WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う』(サイモン・シネック著、栗木さつき訳、日本経済新聞出版社)でそう主張しています。

でも、「WHYから始める」とはどういうことなのでしょうか? 第2部「WHYから始まる世界」内の第3章「ゴールデン・サークル」から要点を引き出してみます。

ゴールデン・サークル

インスパイアできるリーダーは、それが個人であれ組織であれ、著者が「ゴールデン・サークル」と命名した"自然に起こるパターン"に従っているのだそうです。私たちがとっている行動の理由を知る手助けとなり、「大きな影響力を及ぼす組織やリーダーがなぜ存在するのか」という疑問に対する答えでもあ「ゴールデン・サークル」は、円の中心(WHY)から始まり、外側に向けてHOW、WHATへと広がっていく考え方。円のなかに記されている単語の意味は次のとおりです。

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WHAT:企業や組織がWHAT(していること)。つまり、自社製品やサービスのこと。いわば、企業や組織にとっては明確に説明できること。

HOW:自分がしていることのHOW(手法)。「価値観に差異を持たせる」「独自の工程」「ユニークな販売計画」など、他とは違う方法、よりよい方法をとること。

WHY:自分がいましていることを、しているWHY(理由)。著者によれば、これを明言できる人や企業は少ないのだとか。そして、ここで留意してほしいのは、このWHYには「お金を稼ぐため」という理由は含まれないということだといいます。

大半の組織や人間が、円の外側から内側に向かう順番で、つまりWHATからWHYの順番で考え、行動し、コミュニケーションをはかっている。(中略)ところが、傑出した企業は違う。傑出したリーダーも違う。かれらは、内側から外側へと向かう順に考え、行動し、コミュニケーションをはかっている。(47ページより)

その例として著者が引き合いに出しているのは、Appleです。(44ページより)

WHYを地で行くApple

独自の道を歩み成功を遂げ、何年経っても革新的な企業であり続けているAppleは、「ゴールデン・サークル」の原理を実践する恒例。たとえばマーケティングメッセージがそうで、もしもAppleが外側からのメッセージを送っていたとしたら、こんな感じになるだろうと著者は想像しています。

われわれは、すばらしいコンピュータをつくっています。

美しいデザイン、シンプルな操作法、取り扱いも簡単。

一台、いかがですか?(48ページより)

(1)自社がしていることを説明し、(2)どんな手法をとったかを説明し、(3)さあ購入しましょうと呼びかけ、見返りを期待する。これが大半の企業にとっての標準。しかし、これをアップルの方法論に置き換えると、次のようになります。

現状に挑戦し、他者とは違う考え方をする。それが私たちの信条です。

製品を美しくデザインし、操作法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています。

その結果、すばらしいコンピュータが誕生しました。

一台、いかがですか?(49ページより)

情報の順番をひっくり返しただけすが、これこそ「WHYから始まるメッセージ」。WHYとは目的、大義、理念であり、WHAT(していること)とは無関係。Appleを史上で傑出した存在にしているのは、説明しにくいもの、真似るのが無理なものだからだというのがその理由です。

人々はあなたのWHATではなく、それをしているWHYを買う。それが、アップルが見事な適応性を身につけた理由だ。アップルからコンピュータを購入した人は、いい気分になる。(中略)アップルを際立たせているのは、アップルのWHATではない。それをしているWHYだ。アップルの製品は、かれらの信念に命を吹き込んだものなのだ。(52ページより)

ちなみにこのことについて、第4章「これは生物学だ」にもわかりやすい具体例が示されているので、そちらもご紹介しておきます。

2004年、アップルは世界的に高い評価を受けているアイルランドのロックバンドU2と提携し、U2モデルのiPodを発表した。この戦略は、じつに理にかなっている。アップルがセリーヌ・ディオンと提携し、iPodのセリーヌ・ディオンモデルを販売することはないだろう。(中略)アップルとはそぐわない。だがU2とアップルは仲間意識を共有できる。(中略)たとえセリーヌ・ディオンの曲を聴く人の数がどれほど多くても、彼女とアップルとのあいだにパートナーシップは生まれない。(65ページより)

別の表現を用いるなら、「クリエイティブな価値観を共有できるか否か」と言い換えることも可能かもしれません。繊細にも見えるそんな部分にこそ、WHYの存在意義があるということです。(47ページより)

本書では以後も、「WHYから始める」ためのリーダーのあり方から、信じる人間を集結させる方法までがわかりやすく解説されています。そしてその多くは、私たちに多くの気づきを与えてくれるはず。とてもスリリングな内容なので、ぜひご一読をおすすめします。

(印南敦史)

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