特集
カテゴリー
タグ
メディア

元スターバックスジャパンCEOが、息子(と僕ら)に宛てたメッセージ

元スターバックスジャパンCEOが、息子(と僕ら)に宛てたメッセージ

働く君に伝えたいこと―プロフェッショナル経営者の父から息子への28通の手紙―』(岩田松雄著、フォレスト出版)は、元スターバックスジャパンCEOであり、数々のベストセラーを送り出してきた著者による新刊。

「私には2人の息子がいます。父親として、彼らを心から応援したいと常々思っていますが、その気持ちをうまく伝えられていません」(「はじめに」より)

この言葉は少し意外な気もしますが、つまりは「2人の息子に向けた手紙」という形式によって、働く人へのメッセージを伝えているわけです。第3章「壁にぶつかったときの考え方」に目を向けてみましょう。

「我慢」を楽しめる体質になりなさい

著者の息子は、入社5年目で中堅のポジションとなりながらも、なかなか大きな仕事を任せてもらえず悩んでいるのだそうです。そして次第に「自分は会社に必要とされていないんじゃないか」「これは私のやるべき仕事じゃない」と考えはじめたのだとか。そんな息子に著者は、「自分の努力が『報われるかどうか』は、将来時間が経ってからでないと見えてこない」と指摘しています。

人は目の前のことがおもしろくないと、やる気をなくしてしまうもの。だからこそ勉強でも仕事でも、楽しくなれるような小さな喜びを積み重ねながら続けていくべき。そして忘れてはいけないのは、どんなことでも少し我慢すれば、いくらでもリセットして再チャレンジできるということ。つまり、いまなにかを我慢して「やろう」と思えば、新たな人生がそこから始まるというわけです。(112ページより)

目標は下げてもかまわない

著者はアメリカ留学前の時期、勉強と仕事を大量に抱え、両立の困難さからうつ病にかかってしまったのだそうです。「なにがなんでも留学したい。そしてトップ10を目指す」という思いが、自分自身を追い詰めてしまっていました。しかし、トップ10にこだわるあまり精神的に壊れたとしたら本末転倒。そこで、当時の成績でもなんとかなりそうだった「トップ30」に目標を下げたところ、一気に気持ちが楽になったといいます。

そして、そんな経験があるから気になるのは、仕事がうまくいかず自信を失っているように見える息子のこと。そこで、「もしも精神的な疲労感があるなら、ゆっくり休むといい」と勧めています。たとえば学生時代の友人に会ってみると、みんな同じような悩みを抱えていて、自分だけが苦しんでいるわけではないということがわかる。人生はなんとかなるもので、しかも、いまの仕事だけが人生ではないのだから、希望を見いだせるような逃げ場を作っておくことも大切だと伝えています。(119ページより)

涙が出るまで、目の前のことに没頭する

仕事の目標をつくり、目の前のことに打ち込みはじめたものの、なかなか結果がついてこない息子に対し、著者は「限界を超えるレベルまでがんばる」ことを勧めています。なぜなら、そうすれば「達成感」「自信」「おもしろさ」「コツ」などをつかめるものだから。そのために、これ以上は無理だというところまでやってみる。体力や能力の限界まで、自分を追い込んでみることが大切だという考え方です。

もちろん、努力に対する成果がすぐに伴わないこともあって当然。しかし自分がどれだけがんばったかは、自分が一番よく知っているはず。そして限界を超える体験をすると、それまでのレベルがとても楽に感じられるもの。いまの苦しさは、その先にあるもっと大きな飛躍のチャンスだと思ってがんばることが大切だということです。(127ページより)

外の世界に目を向けよ

外の世界に出てみないと、そこで起こっている出来事や物事の真偽は決してわからない。いまはインターネットで世界中の情報を見ることができますが、真実は自分の目で確かめ、感じなければいけない。

そこで著者は海外で緊張感を持ちながら暮らす経験や、多様な価値観に触れることが大きな財産になるということを主張しています。海外に出ると、日本という国や、日本人という国民がいかに素晴らしいかを実感することも可能。海外に目を向けることが、人生に転機をもたらすこともあるというわけです。(132ページより)

読んでいて気持ちがいいのは、ひとつひとつの言葉から愛情を感じることができるから。しかしそれらはパーソナルなメッセージというより、社会との関係性に悩むすべてのビジネスパーソンへの言葉としても機能しています。ページをめくるたび、気持ちが軽くなっていくかもしれません。

(印南敦史)

swiper-button-prev
swiper-button-next