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「メタボローム解析」は僕らの体と生活の「たぶん」を短期間で明らかにする

「メタボローム解析」は僕らの体と生活の「たぶん」を短期間で明らかにする

日本人の国民病ともいわれる「がん」。その発見に際し、少量の唾液や血液から診断が可能で、しかも短時間かつ高精度だという技術があるのだそう。それが「メタボローム解析」です。この解析ではがんの他に、うつ病を見抜いたり、創薬にも役立ったりするといいます。

国内外のイベノーションを取り上げるウェブメディア「Mugendai(無限大)」では、メタボローム解析を推進する慶應義塾大学先端生命科学研究所長の冨田勝教授にインタビュー。その可能性の一端をうかがい知ることができます。

冨田 糖やアミノ酸など体内にある代謝物質のことをメタボライトと言います。そのメタボライトの数百種類の含有量を、一度に丸ごと分析する究極の成分分析技術がメタボローム解析です。(中略)

唾液からはすい臓がん、乳がん、口腔がん、血液からは肝臓がんなどの9種類の肝臓疾患を、短時間かつ高い精度で診断することができます。「地球上に3億5000万人の患者がいる」と言われるうつ病の診断にも有効で、いま実用化を目指しています。この他にもありとあらゆる疾患について、いろいろな機関と共同研究をしています。(中略)

ある病気の患者30人と健常者30人の血液を調べて、患者グループに特徴的な代謝物質を見つけます。それはこの病気になると体内に増える物質ですので、病気の診断マーカーとして使えるのです。例えばうつ病の場合は、エタノールアミンリン酸(EAP)という代謝物の量で判定ができます。

また、メタボローム解析は医療分野だけでなく、農業や微生物の分野でも活用できるのだそう。たとえば、自分たちでつくった米と、市販されている米の成分を調べ、うま味成分が優っているとわかれば、そのデータをブランドの価値として位置づけられるのです。

お酒が好きな人にとっては、日本酒を解析した結果が興味深いでしょう。「毎月同じように作っているのに出来がちがう」と話す酒蔵の疑問から、山形県の地酒50種類を買い集めてメタボローム解析し、利き酒師4人の協力を得て、酸味や甘みを採点してみたそう。

いろいろな要因が考えられますが、酒蔵の環境中にいる菌(乳酸菌など)も日本酒の品質に影響している原因の1つではないかと思います。

また日本酒をビン詰めして1、2、4カ月後に調べてみると、成分が随分変わっていました。雑味のもとになるアミノ酸が減り、逆に糖類が増えてまろやかになるのです。ですから、酒の味はビン詰め後何カ月経ったものかを知らないと比較や評価はできません。

メタボローム解析の優れたところは「たぶんこうではないか」「なぜこうなのだろう」という疑問や知りたいことを、すぐに明らかにしてくれる優れた技術はないでしょうか。

下記リンクより、冨田教授のインタビュー全文が読めます。メタボローム解析の他にも、遺伝子研究について、自らが創業したベンチャー企業の事業や日本におけるベンチャー企業を取り巻く問題点、そして受験制度の問題点まで、さまざまなトピックが話題にのぼっています。

「メタボローム解析」が拓く未来の健診――わずかな唾液や血液、尿の検査で、すい臓がんからうつ病まで一挙に早期発見する | Mugendai(無限大)

(ライフハッカー[日本版]編集部)

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