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リーダーにカリスマ性は不要:「普通の人」のためのリーダーシップ論

リーダーにカリスマ性は不要:「普通の人」のためのリーダーシップ論

リーダーシップのなかった僕がチームで結果を出すためにした44のこと』(佐藤達郎著、実務教育出版)の著者は、大手広告代理店のクリエイティブ・ディレクターとしてコンペ連戦連勝、世界3大広告賞受賞(カンヌ国際広告祭、クリオ賞、One Show)などの実積を残した人物。しかしその裏側では、チームリーダーとしての自分自身のあり方に苦悩したことがあるのだそうです。

リーダーシップというと、多くの人がスティーブ・ジョブズやオバマ大統領のようなカリスマを連想します。(中略)そういう意味ではあなたも僕も凡人であり、普通の人です。そんな普通の人もチームを動かさなければならない。(「はじめに」より)

つまり本書で展開されているのは、苦い経験を踏まえたうえでの実践的なリーダーシップ論。第2章「部下の力を最大限に引き出すための思考法」から、いくつかを引き出してみましょう。

押しつけと感じさせない

チーム運営においては、部下は自分の分身ではないということを意識し、次の3つのポイントを意識する必要があるといいます。

1.部下と競争しない。

2.部下の意見を一定程度取り入れる。

3.部下に"自分が役に立っている"と感じさせる。

1は、ここぞというポイント以外で、自分の能力を必要以上にアピールするのはデメリットが大きいということ。2は、あくまでも「いいところをすくってあげる」という意識で臨むべきだということ。そして3については、人は「役に立っている」と感じることができれば「工夫してもっと役に立ちたい」と思うものだからこそ、2の意見を尊重することが大切だということです。(52ページより)

育てながら結果を出す

部下を育てなければならない一方で、チームとしての成績も上げなければならない。そんな立場にいるチームリーダーにとってのポイントは、次の3つだそうです。

1.経験の浅い部下に仕事を任せる。

2.副担当(バックアップ)としてベテランも起用する。

3.当の本人にも、副担当にも意図をよく伝える。

つまり大切なのは、可能な限り若手の部下に任せ、その一方で業務に支障が出ないようにリスクヘッジを図ること。企画であれ営業であれ、あらゆる業種にあてはまることだといいます。(60ページより)

曲者部下とのつきあい方

リーダーにとっていちばん厄介なことは、"曲者部下"の存在だとか。そして曲者部下は、大きく次の2つに分けられるそうです。

1.年齢が近いなどの理由で、リーダーであるあなたを認めておらず、反抗的で指示に従わない。リーダーであるあなたとは異なる専門性を持っていて、その部分であなたを出し抜こうとしたり、試そうとしたりする。

2.実力があるだけに一目置かれていて、扱いを誤るとチーム全体のまとまりに影響を及ぼすため、こういう部下はリーダーにとって悩みの種。

では、そんな曲者部下とはどう接すればいいのでしょうか? この点について著者は、次の2点をセットで行なうことが大事だと主張しています。

1.曲者部下の力を認め、本人にも周囲にも表明する。

2.その上で、「決めるのは俺だ」と怯むことなく行動でハッキリ示す。

実力を持つ曲者部下は、認められたがっているもの。そこで、1が必要。まず本人に「A君の企画力はなかなかだと思っている。君の経験はチームの中でも光っている」などと照れずに割り切って伝え、他のメンバーにも「Aさんの経験に学ぶ必要がある」と公言すべきだということです。

ただし、厄介なのはそこから先。意思決定に従わなかったり、リーダー不在のときなどにあたかもリーダーのように勝手に振る舞ったりする曲者部下も少なくないため、そこで意味を持つのが2。リーダーになったとき、あるいは曲者が部下になったときにこそ必要だそう。最初のうちに、関係性とお互いのポジションをハッキリさせる。「それはリーダーの仕事だから、君ではなく僕がやる」と明言し、実行するべきだということです。(68ページより)

冒頭で触れたとおり、著者の実体験をもとにしているため、ひとつひとつの記述に説得力があります。また具体的な実例もふんだんに盛り込まれているので、自分自身の状況と照らし合わせながら読み進めることもできるでしょう。リーダーシップのありかたについて悩んでいる方は、手にとってみてはいかがでしょうか?

(印南敦史)

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