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リーダーが活用できる「元祖プロ・コーチ」の考え方

リーダーが活用できる「元祖プロ・コーチ」の考え方

米国大学バスケット史上最高のコーチといわれるジョン・ウッデンが、いかにして名選手たちを育ててきたかを明かしているのが、『元祖プロ・コーチが教える 育てる技術』(ジョン・ウッデン、スティーブ・ジェイミソン著、弓場隆訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

2010年に99歳で亡くなったウッデンといえば、アメリカ人の尊敬を集めた人格者としても有名。著者はその人材育成と指導に対する考え方を、リーダー論的な角度から見つめなおしています。Part 1「人を育てる」から、いくつかを引き出してみましょう。

指導下にある人に敬意を

指導者の最も基本的な条件は、自分の指導下にある人たちの尊敬を得ること。ウッデンはそう主張しています。そしてそのためには、自らが彼らに敬意を示すことが重要だとも。ちなみに、たとえ相手のことを好いていなくても、相手に敬意を抱くことは可能だといいます。

自分たちは「自分を愛するのと同じように、汝の隣人を愛しなさい」と教わったけれども、それは隣人のすることすべてを好きになれという意味ではない。つまり、彼らに対する愛とは関係ないのだというクールな視点です。

敬意とは愛の一種であり、指導者が彼らに敬意を抱けば、彼らは指導者から頼まれたことをするもの。そればかりか、「彼らはチームという枠組みのなかで最大限のことを達成するためにプラスアルファの努力をしようとする」といいます。(24ページより)

恐怖心ではなく誇りで、人を動かす

「誇りは、恐怖心よりも人びとにやる気を起こさせる」、それがウッデンの考え方。だから、恐怖心や罰、脅しを通じて教えたいと思ったことは一度もないのだそうです。恐怖心をあおれば、短期的にはなにかをやらせることができるかもしれない。しかし長期的に考えると、やる気を起こさせるには誇りを持たせることがずっと効果的だという確信があるから。だからその方が、長期にわたってよい結果が得られるというわけです。(33ページより)

相手に敬意を示してはじめて相手は誇りを持つ。このことを忘れてはいけない。(34ページより)

最善を尽くすことを課す

ウッデンが大切だと信じているのは、自分の能力を最大限に発揮するという目標。反対に、人がなし得る最悪の行為は、自滅することだと考えているそうです。自滅するとは、最善の努力をせず、自分の能力を最大限に発揮しないで終わるという意味。

だから人を判断するときも、基準は、その人がその人なりの100パーセントにどれだけ近づいたかということ。そして選手たちには、毎日少しずつ向上し、ベストの状態に近づく努力をするよう義務づけたといいます。とはいえ、完全な状態になるのは不可能だと率直に話し、そのうえで伝えたのは「私は諸君が完全な状態に到達するために最善を尽くすことを期待している」ということだとか。(39ページより)

どこまで完全に近づけるかが、われわれの努力目標だった。(中略)人がその課題を真摯に受け止めるとき、驚異的な結果が出る。(40ページより)

最善の方法を見つけたうえで決断

指導者の立場にある人は、決断を下さなければならないもの。しかしそれは、厳しい仕事でもあるとウッデンは言います。そしてその決定は、最善の方法を見極めたうえで行なわれるべき。そのためにも、決定に至るまでには、他人の提案とアイデアをよく考慮すべきだといいます。

そして大切なのは、我を通すのではなく、最善の方法を見つけることに興味を持つ姿勢。「私がこう言うのだから、こうしろ」というのは、なにをするうえでも根拠のない貧弱な言い草だと主張しています。(46ページより)

頑固さ、我を通そうとする気持ち、偏狭さ、人の意見を聞こうとしないこと、物事の両面を見る能力に欠けること。これらはすべて、指導力とは相容れないものばかりだ。(47ページより)

いうまでもなくウッデンは、スポーツの世界に生きた人間。ですからすべての主張が、そのままのかたちでビジネスに応用できるとは限らないでしょう。しかしそれでも、気づきになりそうなフレーズが本書に数多く散りばめられていることは事実です。

ひとつの言葉について1〜2ページ程度でまとめられているため、時間が空いたときにパラパラとページをめくるにも最適。特に部下をお持ちの方は、デスクサイドに置いておけば意外に役立つかもしれません。

(印南敦史)

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